- 2026/02/27 掲載
【AIの深い闇】AIを使うほど残業が増え、その後燃え尽きる傾向
AIを利用する従業員ほど業務範囲を広げ、休憩時間を削って作業を行う傾向、その後燃え尽き症候群を経験し、離職を検討する割合も高い。
調査の結果、AIツールは労働時間を短縮するどころか、労働の強度を高める結果を招いていた。従業員はAIによって個別のタスク処理にかかる時間が減ったことで、余った時間を休息に充てるのではなく、新たな業務の処理に転用していた。具体的には、プロダクトマネージャーがコードを書き始めたり、デザイナーがエンジニアリング領域の作業を引き受けたりするなど、本来の専門分野を超えた業務拡大が常態化していた。
労働の境界線も曖昧になっている 。従業員は昼休みや会議の開始前などの短い空き時間にAIへのプロンプト入力を済ませるようになり、労働と休憩の明確な区切りが消失した。ドキュメントの作成やコードのレビューを行いながら裏で複数のAIエージェントを同時に稼働させるといった並行処理も増加し、常に人間と機械が動き続ける高密度な労働環境が形成されていた。
AIの導入効果に関する認識と現実の乖離も指摘されている。AIシステムの能力評価を行う非営利機関METRの実験では、経験豊富な開発者がAIツールを使用してタスクを行った結果、完了までに19%長く時間がかかった。それにもかかわらず、参加した開発者自身は作業が20%速くなったと感じており、生産性に対する自己評価と実際のパフォーマンスの間に重大なズレが存在することが実証された。AIが生成した出力の検証作業や誤情報の修正にかかる見えない負担が、総労働時間を押し上げている。
こうした労働の高密度化は、従業員の心身に深刻な影響を及ぼしている。労働プラットフォームを運営するUpworkの調査では、AIの利用で生産性が40%向上したと回答した労働者のうち88%が燃え尽き症候群を経験しており、離職を検討する割合も高かった。負担の増加は組織内の階層によっても異なり、エントリーレベルやアソシエイトレベルの従業員の60%以上が燃え尽きを報告する一方で、経営幹部層では38%にとどまっている。
研究チームはテクノロジーの導入による無秩序な労働の加速を防ぐため、組織的な対策の必要性を提起している。意思決定の前に意図的な一時停止の時間を設けたり、緊急性の低い作業の処理を特定の時間にまとめたりするなど、AIを活用した業務のリズムと境界を規定する運用手法の構築が求められている。
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