• 2026/03/27 掲載

【Copilot Studio超入門】簡単すぎて絶句…地味作業が消える「AI自動化」の新常識(2/2)

連載:Copilot for Microsoft 365で変わる仕事術

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【事例2】問い合わせメールを管理台帳に記録

 もう1つの例として、ヘルプデスクの問い合わせ対応のような業務を考えてみましょう。「ユーザーから問い合わせメールが届いたら、内容を整理して、SharePointリストなどのケース管理台帳に記録する」。これもよくありそうな業務です。

 この作業の厄介なところは、メールが非構造化データである点です。書き方は人によってバラバラで、情報が足りないことも多くあります。担当者はメールを読み、要点を抜き出し、必要な項目に合わせて整理し直し、入力します。問い合わせの対応そのものよりも、記録のための作業に時間を取られることが少なくありません。

 ここでもCopilot Studioでエージェントを作成しておけば、次のような作業をエージェントに任せられます。

  • ユーザーからの問い合わせメールが届いたことを確認
  • メール本文を読み取り、必要な項目を整理してリストに登録
    ―問い合わせ種別
    ―件名
    ―内容の要約
    ―緊急度
    ―過去の類似案件
  • 必要に応じて、担当者へメールやTeamsで通知

画像
問い合わせメールの内容から要点を整理し、リストの項目に合わせて登録作業を行ってくれる
(画像:筆者提供)

 これだけでも、入力作業の負担を減らし、担当者が本来注力すべき判断や対応に時間を使えるようになります。適切に記録できるようになることで、あとから履歴を活用しやすくなる効果も期待できます。

「Power Automateの自動化」と何が違う?

 ここまで読んで、「Power Automateの自動化との違いはなんだろう」と思った方もいるはずです。実際、Microsoft 365ユーザーにとって自動化と言えばPower Automateが最有力の選択肢ですし、今後もその位置付けは変わらないでしょう。

 ただしPower Automateが得意なのは、手順が明確に定義されたルールベースの自動化です。条件分岐や例外処理を組み立てて、決まった形式の入力を処理することは得意な一方、メール本文や議事録のような非構造化データを扱おうとすると急に難易度が上がります。入力が揺れるほど、フローは複雑になり、保守も大変になります。

 Copilot Studioのエージェントが面白いのは、AIが非構造化データを理解し、後続処理にわたせるよう形を整える「緩衝材」としての役割を担える点です。先ほどの問い合わせメールの例で言えば、メール本文という曖昧な入力を、ケース管理に必要な項目へ変換してくれます。その変換ができると、その後の登録や通知といった部分はルールベースの自動化にものせやすくなります。

 つまり今後の業務の自動化では、「ルールベースで処理できる部分はPower Automate」「曖昧な入力を理解・整理する部分はAIを活用(Copilot Studio)」という役割分担が考えられるようになります。これによって、これまで適用が難しかった業務にも、自動化や効率化の検討を進められるようになる可能性があります。

ポイントは「誰でも簡単に」自動化できる

 ここまでの機能的な話のほかに、もう1つ大きな変化も考えられます。それは、自動化や効率化の仕組みを作る側のハードルです。

 これまで自動化を組むには、条件分岐、変数、例外処理など、プログラミング的な思考が不可欠でした。Power Automateがローコードとはいえ、複雑化すれば難易度は一気に上がります。結果として、自動化は一部の得意な人やIT部門に偏りやすくなるという点は課題でした。

 Copilot Studioでは、エージェントに「この業務をこうやって進めたい」という意図を自然な言葉で伝え、いくつかの設定を行うだけでまずは動きだします。外部システム連携も、画面操作だけで進められるものが増えています。実際に触ってみたユーザーからも「思ったより簡単に感じる」といった声を多く聞きます。

 その結果として、現場の人が自分たちの業務を自分たちで改善する余地が広がります。これは、単なる効率化だけでなく、改善活動のプロセスそのものにも影響を与える可能性があります。

 もちろん、何も知らずに作れるわけではありません。連携先のシステムを理解する必要がありますし、Copilot Studio自体の使い方も知る必要があります。ただ、それでも「最初の一歩の踏み出しやすさ」は確実に変わってきています。

 まず試してみるのであれば、指示は簡単なもので済む場合も多いです。たとえば議事録の内容からPlannerにタスクを追加する処理は、3行の指示でもその動きを確かめることができます(図5)。

画像
議事録の内容からタスクを抽出し、Plannerに登録する処理は、たった3行の指示でも可能
(画像:筆者提供)

注意すべきは「人間の仕事」

 さて、便利になる一方で、忘れずに注意すべき点もあります。AIの出力は常に一定ではなく、常に正しいとも限らないということです。つまり、AIを業務に組み込むときに欠かせないのは、「AIにすべてを任せる」ことではなく、人がどこでどう関与するかを設計することです。考えるべき問いは、たとえば次のようなものです。

  • AIによる自動登録は下書き扱いにして、確定には人の承認を挟むか
  • 緊急度の推定は目安として提示し、最終判断は人が行うか
  • 失敗時は誰に通知し、どこまで人がフォローするか

画像
人によるチェックや判断を入れることで、効率化に加えて成果の品質も保つことができる
(画像:筆者提供)

 冒頭で整理したステップ(1)や(2)は、基本的に個人が自分の作業を行うために使う場面が多いでしょう。ところがステップ(3)は、業務フローの中に組み込まれ、同僚や他部署を巻き込む形になるかもしれません。となると、役割分担、運用ルール、ガバナンス面の配慮など、考えるべき範囲が広がります。

 AIによる自動化は、完全放置できる仕組みではありません。むしろ「人によるレビューを伴う」という前提に立った方が、結果として業務も結果も安定しやすいでしょう。ここは、取り組む前に押さえておきたい観点です。

 Microsoft 365 Copilotの活用は、話しかけて会話をしながら便利に使うという段階から、業務の流れの中でその一部として働き、私たちと共に作業を進めてくれるようになる段階へ進みつつあります。そのときに重要になるのは、プロンプトをうまく書けることだけではありません。

 どの業務に組み込み、どこで人が関与し、ガバナンスをどう考えるか、いかに現場が回る形に落とし込めるかが、これからのAI活用における不可欠な価値になっていくはずです。そしてCopilot Studioは、そうした試行錯誤を現場で進めていくための選択肢の1つとして、機能がそろってきたように感じます。

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