- 2026/05/25 掲載
パランティア、ICE向けシステムに「監査機能」を追加──社内の倫理的懸念が背景
パランティアは長年、米国の国家安全保障や法執行機関におけるデータ集約基盤を提供している。現在、ICEの捜査官はパランティアが開発した専用ツール「ELITE」をモバイル端末に導入し、約2000万人規模の対象者リストにアクセスできる状態にある。国境警備関連の会議におけるICE高官の発言によれば、同システムの運用開始以降、対象者の居場所を特定する成功率は従来の27%から80%へ上昇した。米トムソン・ロイターなどが提供する個人の住所や属性データもシステムに統合され、住所の確実性を示す信頼度スコアを提示するなど、家宅捜索や対象者確保の迅速化に直結している。また、国土安全保障省の文書により、AIを活用して一般からの通報データを自動整理する機能もシステムに組み込まれていることが判明している。
トランプ政権による不法移民の強制送還計画への加担が明確になるにつれ、パランティア社内では倫理的懸念が表面化している。流出した社内チャットツールSlackの記録には、ICEとの契約に関して従業員が企業倫理の境界線について疑念を抱く内容や、自らが市民的自由を侵害する側に回っているのではないかと危惧する声が含まれていた。
アレックス・カープCEOら経営陣は、ソフトウェアが国家のハードパワーを決定づけるとする22カ条の理念「技術共和国」を掲げて社内の批判を一蹴し、Slackの履歴を削除する措置をとった。その一方で、組織内の摩擦を和らげる対応策として今回のハックウィークを実施した。電子フロンティア財団(EFF)などの人権団体も同社の姿勢を批判しており、今回追加された監査機能は対象となる移民の人権を保護するものではなく、あくまで法執行機関側のシステム管理能力を補強するものにとどまっている。
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