- 2026/07/22 06:10 掲載
生成AIの請求書を見て絶句…予算オーバー招く「トークン課金」の罠、回避の4ステップ(2/2)
生成AIの「ROI」問題、測定企業はわずか43%の現実
準備の次のステップが、「価値やROIを実証するようビジネス部門に求める」ことだ。経営層が生成AIに対して大きな期待を抱く一方で、実際に利益増を達成している企業は多くはない。「我々の調査でもROIを向上できたとの回答は全体の55%ほどです」とデッカー氏は説明する。
CFO(最高財務責任者)に対する調査でも、生成AIがROIの向上にどの程度貢献したかを測定できている企業は、わずか14%ほどにとどまっている。測定を試みた企業自体も全体の43%と、半数にも満たない。
「ここから読み取れるのは、ビジネス上の利益をできる限り早期に得ようとするあまり、生成AIサービスの価値評価を省略してしまうステークホルダーが多いということです」(デッカー氏)
この状況の改善に向け、生成AIの導入検討にあたっては、ユーザー部門にビジネス価値の見積もりを要求することをデッカー氏は推奨する。同時に、導入規模やビジネス機会、認識済みのリスクに基づき、段階的な承認プロセスを設けるべきだという。
さらに、ROI分析を省略する際には、「ビジネス部門がコスト超過分を負担する」ことについて、経営幹部の承認を得るというルールも設定する必要がある。
デッカー氏は「ROI測定時には財務的な利益だけでなく、各種タスクの短縮時間や人の介入率、顧客満足度なども測定対象に含めるべきです」とアドバイスする。
「それが標準です」を信じるな…生成AI契約で損しない交渉術
ステップの3つ目が、「コストの予測可能性と利用の柔軟性をもたらす契約となるよう交渉する」ことだ。交渉にあたって留意すべきポイントは多岐にわたる(図3)。「利用契約を細かく見ていくと、追加ユーザーには契約時の割引が適用されなかったり、クレジットが月単位で管理され、月内に使い切らなければ失効したりするなどのリスクが次々に見つかるでしょう。その見直しを要求しても、ベンダーはそれが標準だと主張するはずです」(デッカー氏)
だが、そこで諦めてはならない。これまでのステップでサービスに対する理解を深めたことで、すでに交渉の準備はできている。
「ベンダーの話をうのみにしてはいけません。バランスの取れた取引の実現に向け、断固とした姿勢で交渉することが肝要です。そこで心がけるべきは、予算の予測可能性をできる限り高め、また、利用状況が変わった際には契約内容を見直せるようにすることです」(デッカー氏)
そのうえで、予算に無駄が生じないようクレジットを全社で共有化したり、利用期間の満了時にクレジットを繰り越せるようにしたりなど、契約内容を詰めていくのだという。
予算超過を防ぐ、生成AI導入後の監視ポイント
準備の最終ステップが「使用状況の監視と最適化を、AI/生成AIへのあらゆる投資の前提条件とすること」だ。生成AIサービスはその汎用さゆえに、利用方法は継続的に変わると推察される。その中での予算超過を防ぐためには、サービスの使用状況の監視が不可欠だ。その点は多くの企業ですでに広く理解されており、ガートナーの調査でも全体の82%が使用状況の監視/アラート・システムを従量課金制のソフトウェア購入時の重要な要素だと捉えている。
監視のために採るべきアクションとしてまず挙げられるのが、ソフトウェア資産管理チームやFinOpsチームとの連携だ。また、ステークホルダーに対してコストの将来的な不確実性を認識させ、対処のための計画を策定させるべきだという。
一方で、コスト最適化に向け前提条件を検証し、ストレステストを通じて利用法の継続的に見直す取り組みも必要となる。予算超過の発生が予見される際のアラート機能の構築は当然、外すことはできない。
「生成AIを上手に使いこなすためには、スキルと準備、さらにその場その場での賢明な判断が必要になります。価格設定に関する深い理解と、AIのROIに対する貢献度の明確化、ベンダーとの交渉、契約状況の監視の実践を通じてそれらを必ずや身に付けられるはずです。生成AIを企業の次の成功物語につなげられるよう、ぜひとも実践してみてください」(デッカー氏)
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