- 2026/07/31 15:52 掲載
マイクロソフト、AI訓練基盤「Echoverse」発表、9Bモデル性能は36.5%→67.1%に
Echoverseは、画面だけを似せた模擬サイトではない。FastAPIとSQLiteのバックエンド、Reactの画面を組み合わせ、送信、予約、振り込み、権限変更などの操作がデータベースに反映される。課題の成否もスクリーンショット上の見た目ではなく、操作前後のデータベースの差分で判定する。AIが「完了した」と回答しても、状態が変わっていなければ不合格となる仕組みだ。
論文では、メールや銀行など10種類の業務領域と、日付選択、複合フィルターの操作に特化した2環境を用意した。GPT-5.4が正しく処理した2万1,009件の操作履歴を使い、90億パラメーターのQwen3.5-9Bを訓練。14の評価区分を平均した成功率は36.5%から67.1%へ上がり、教師役のGPT-5.4との差は14ポイント以内に縮まった。
一方、環境を量産するだけでは逆効果になる可能性も示した。料理サイトAllrecipesを模した浅い環境で訓練すると、実サイトでの精度は80.0%から75.0%に低下した。Hugging Faceでも48.0%のまま改善しなかった。これに対し、複数手順の依存関係や状態変化まで再現した深い環境では、それぞれ85.0%、65.0%へ上昇した。研究チームは、データの量より、実業務の因果関係を保った環境の「深さ」が重要だとみている。
また、仮想環境、課題、判定器をAIモデルと同時に改善する「共進化」の仕組みも採用した。宿泊予約を再現するEchoStayでは、人数指定の不具合などを修正した上で訓練をやり直し、モデルの成功率が16.2%から38.5%へ上昇した。さらに、試行錯誤から学ばせる強化学習では、未使用課題の評価スコアが58.8%から68.0%に高まったという。
同社はEchoStay、開発者向けのEchoForge、日付選択、複合フィルターの計4環境をGitHubで公開した。コード、初期データ、判定器を含み、他のAIエージェントの評価や訓練に利用できる。企業が操作型AIを本番システムへ導入する際、実データに触れさせる前の検証環境として応用が進む可能性がある。性能競争の焦点が、モデル本体だけでなく「どこで安全に失敗させるか」に広がりそうだ。
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