- 2026/10/09 07:10 掲載
「生成AIでコンサル不要」に創業100年マッキンゼーの答え、自ら名乗る“ある肩書”(2/3)
創業100年、マッキンゼーが変え続けた“2つのこと”
マッキンゼーの設立は1926年にまでさかのぼる。つまり2026年は、同社にとって創立100年の節目の年だ。生成AIによるコンサルティング、そして自社への影響について、アレックス氏は同社の歴史を絡めて次のように述べる。「我々が100年間存続してこられたのは、つねに変革してきたからです。イノベーションを起こさなければ、生き残ることはできなかったでしょう。では、そのイノベーションとは何か。1つはクライアントの声に耳を傾けること、つまりクライアントが何を必要としているかを理解することです。そのニーズは、生成AIが登場したこの2年で大きく変わりました。そして2つ目がテクノロジーです。テクノロジーは、私たちの仕事の基盤にあるものなのです」(アレックス氏)
たとえば、同社は2023年に社内向けの生成AIエンジンをリリースしている。社内知識ベースにはマッキンゼーが過去100年にわたって蓄積してきた知的財産が学習され、提案書のドラフト作成や業界トレンドのリサーチ、データ分析などに活用されている。
また、同社の業務のほとんどがクライアントが望む成果ベースで行われ、従業員の報酬もクライアントの成果(インパクト)に連動しているという。つまり、支援しているクライアントの利益が増える、生産性が向上する、製品・サービスの市場投入が早くなるといった成果そのものが、同社のコンサルタントのインセンティブとなっている。
AIエージェントで人が余る…日本企業に必要な“ある準備”
マッキンゼーは「2025年の技術トレンド」でエージェンティックAIを最重要トレンドの1つとして位置づけ、2026年には「エージェンティック・オーガナイゼーション(人間とバーチャル/フィジカルAIエージェントが協働する新しい組織モデル)」への移行を提唱している。人に代わってAIが業務を遂行するAIエージェント(エージェンティックAI)は、調査・分析から実装までの一連のワークフローを自動化する段階に入り、多くの分野で導入が加速している。
ただし、AIエージェントを導入すれば人が削減されることになる。このため、いくら旗を振っても現場がなかなか動かない状況が生まれることは、容易に想像できる。
それを防ぐには、AIエージェントと人の役割分担、KPIをしっかりと定義して、経営層にコミットしてもらうことが重要になる。工藤氏は、具体的な対策について自らの経験を交えて次のように説明する。
「AIエージェントによってある業務を半分の人でできるようになれば、当然、残りの半分の人をどうするか考えなければなりません。したがって、システム部門だけでプロジェクトを進めてはなりません。CDOや中期経営計画の作成に関わる企画本部長、さらに人事役員などにも参加してもらい、AIエージェントの導入で余った人材をどう活用するのかを、同時に検討することが重要になります」(工藤氏)
東京では実感できない…地方で起きている“切実なニーズ”
ただし、少子高齢化が急速に進行している日本では、セクターによって状況が大きく異なるとも工藤氏は指摘する。「東京にいるとあまり実感できませんが、地方では本当に人が採用できず、産業自体が立ちいかなくなりつつあります。こうした領域では、生成AIやAIエージェント、さらにロボットなどをいますぐ導入したい、しなければならないという切実なニーズがあることも、忘れてはならないと思います」(工藤氏)
では、その「実装力」を、マッキンゼー自身はどう手に入れようとしているのか。実は同社はいま、自社だけでは埋められない“ある能力”を、外部に求め始めている。 【次ページ】なぜPFNと組む? マッキンゼーが協業相手に求める“条件”
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