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- 2024/09/05 掲載
富士通「生成AI戦略」を5分で完全解説、他の大手SIer・コンサルの戦略と何が違うか?
連載:デジタル産業構造論
【一覧まとめ】各社のLLM展開の最新動向とは?
現在、生成AIの産業・ビジネス用途の活用が加速している。そうした中で、生成AIサービスを利用するというフェーズから、これまで進めてきたDXの取り組みや、既存の業務オペレーションに生成AIを組み込むといった活用が重要になってきている。そうした流れの中で、生成AIと密接に関わる「大規模言語モデル(LLM)」の活用の在り方も変化してきている。具体的には、OpenAI社が展開するGPTなど、特定のLLMを活用するような在り方から、次第に業務特性や用途に応じて最適なLLMを使い分ける形式へと変化してきているのだ。
たとえば、富士通、NTT データ、NEC、IBMなど、業務特化の個別型LLMなどを展開する企業においても、自社独自開発のLLMと、汎用型LLM、オープンソースのLLMなど、複数のLLMを用途に応じて使い分ける「マネージドサービス型サービス」として、企業の生成AI活用を支援するケースが多くなってきている。
これら企業の動向を見ると、「LLM自体で売上を上げる」ことが狙いなのではなく、自社開発LLMも含めた複数LLM活用や使い分けのノウハウを提供する中で、顧客のビジネス・オペレーションを支援する「総合ソリューションとして売上を伸ばす」といった狙いが見えてくる。
下記が主な複数LLMを使い分けて支援するマネージドサービスを展開している企業一例とその特徴である。今回は、そのうち富士通の展開について見ていきたい。
富士通の「生成AI展開」の方針
富士通は、以前から従来型の「顧客課題に基づき、個別カスタマイズを行う、工数ベースのSI(システムインテグレーター)型のソリューション展開」から、「社会・産業課題を捉えて先回りした価値提供を行うソリューション展開」へと移行してきている。そうした取り組みの中心となるコンセプトが「Fujitsu Uvance(ユーバンス)」だ。これは、あらゆるもの(Universal)をサステナブルな方向に前進(Advance)させる」という意味が込められた造語だ。
Fujitsu UvanceのAI活用方針としているのが「Beyond Chat」という考え方だ。チャット機能に留まらない、業務に根付いた価値あるAI活用をオファリングに組み込み、高い生産性を実現する。チャットやレポート作成、非構造データの構造化など従来のユースケースに留めず、LLMを複雑な業務にも組み込むことで、ビジネス課題と社会課題の両方を同時に解決へと導くことを目指す。
現在、製造業をはじめ、あらゆる業界において、データ連携など企業・業界をまたがる関わり合いの重要性が増してきている。そうした中、Uvanceというコンセプトの下、組織・企業・業界を横断する難しいプロジェクト(=提供価値が大きい)の領域に焦点を定めてオファリング展開を行う狙いがあるのだ。
近年は、Uvanceに沿ったオファリング展開の中に、生成AIを取り込み提供価値の強化を図っているところだ。また、2024年2月22日に新ブランド「Uvance Wayfinders」を発表するなど、顧客・社会課題を解決していくための、コンサルティング提供を行っていく体制を強化している。
すでに、製造業・小売・医療・スマートシティ・金融をはじめとして、国内外500社とのビジネスを展開しており、グローバルにUvanceと生成AIを掛け合わせた展開を進める予定だ。
富士通のAIサービス「Fujitsu Kozuchi」とは
そんな富士通は、AIを軸にどのようなサービスを展開しているのだろうか。同社のAIサービスの前提となるのが、AIを「高い生産性を実現するAI」および「創造性を拡張するAI」と位置付け、人間の生産性と創造性を拡張する「バディ」とする考え方だ。その上で、顧客が有する特定業務の要求に応える「特化型のバディ」を提供することを目指している。そうした考えに基づき、顧客の業務内のAI活用に主眼を置いたAIサービス「Fujitsu Kozuchi」は下記の7つの領域に区分されている。
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