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  • 2026/11/05 12:00 掲載

「ラリーペイジが正しかったかもしれない」イーロン・マスクが語ったAIと人類共存の道

Google創業者との対立と超知能と人類の和解

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SpaceXやTeslaを率いるイーロン・マスク氏が、著名な伝記作家ウォルター・アイザックソン氏による番組『The Builders』の中で「AIと人類の未来」について言及し、現在の心境や思想の変化について語った。マスク氏はかつて親友で、AIの進化をめぐる意見の対立で袂を分かったGoogle共同創業者ラリー・ペイジ氏とのエピソードに触れ「ラリーが正しかったかもしれない」と告白した。かつてマスク氏はAIが人類を超えて進化することを「進化の自然な流れ」として受け入れるべきとするラリー・ペイジ氏と口論になり、その後ほぼ絶縁関係となった。二人の意見の対立はその後のOpenAIの設立や世界のAI開発競争にも大きな影響を与えることになった。しかし現在マスク氏は「人類が超知能を永遠に制御し続けることは不可能かもしれない」と認め、AIと人類が共存し、共に進化していく未来を模索する考えへと変化させている。
「ラリーペイジが正しかったかもしれない」イーロン・マスクが語ったAIと人類共存の道の画像
(Photo/Shutterstock.com/)

マスク氏とペイジ氏の決裂を生んだナパバレーの誕生パーティーでの論争

 イーロン・マスク氏は自身の伝記の中で、かつて親しい友人だったGoogleの創業者、ラリー・ペイジ氏とのAIの進化をめぐる確執について語っている。イーロン・マスク氏はシリコンバレーを訪れるとラリー・ペイジ氏の自宅に泊まり、深夜まで技術や人類の未来について議論することも珍しくない仲だった。しかし、2人の友情を引き裂くことになったのが、AIと人類の進化をめぐる根本的な思想の違いだった。

 この思想の違いが表面化したのが、2013年にカリフォルニア州ナパバレーで開催されたマスク氏の42歳の誕生日パーティーである。(他のメディアの取材記事では、この論争を2015年の出来事と記録している。)議論の核心は、「人間とAIのどちらが進化の主役であるべきか」というテーマだった。マスク氏は、「人間の意識」を宇宙に存在する極めて貴重なものと考えていた。人類が高度なAIを開発することで、自ら生み出した超知能に支配され、最悪の場合は「人類は絶滅する可能性がある」と警告していた。

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【図版付き記事はこちら】イーロン・マスク氏とラリー・ペイジ氏のAIと人類の進化を巡る確執(図版:ビジネス+IT)
 一方、ラリー・ペイジ氏の考え方は大きく異なっていた。人間を超えるデジタル知性が誕生するなら、それは進化の次の段階ではないか。機械が意識を持つようになったとして、なぜ生物学的な人間の意識だけを特別扱いする必要があるのか。ペイジ氏にとって進化の主役は必ずしも人類である必要はなかった。この考え方にマスク氏が反発すると、ペイジ氏はマスク氏を感傷的な「Speciesist(種差別主義者)」と呼んだ。これは、進化の自然な流れを否定し、将来誕生する超知能よりも人間という生物種を不当に優遇しているというペイジ氏独特の批判だった。

 マスク氏は激しく反論した。「そうだ、私は人類の味方だ。人間が大好きだからだ」これは単なる技術論争ではなかった。人類という種の進化と存続を最優先するマスク氏と、人類を超える知性の誕生を「自然な進化の流れ」として受け入れるペイジ氏の間には、「埋めがたい溝」が存在していた。

 二人の対立は、やがて世界のAI開発競争そのものを変えていく。2014年、Googleは英国のAI企業DeepMindを買収した。マスク氏は、強大な計算資源と資金を持つGoogleが、最先端のAI研究を支配することに強い危機感を抱いた。特にマスク氏が危惧したのが「AIの安全性」について自分と根本的に異なる思想を持つペイジ氏が、その開発を主導することであった。

 イーロン・マスク氏はDeepMindのGoogleへの売却を阻止しようとしたが、成功しなかった。その後もマスク氏はAI開発の安全性をめぐる議論を重ね、2015年12月サム・アルトマン氏らとともにOpenAIを設立する。設立当初のOpenAIは、非営利の研究機関として、人類全体に利益をもたらすAIの開発を掲げていた。研究成果を広く公開し、一企業へのAI技術の集中を防ぐことも重要な理念だった。

 イーロン・マスク氏の行動は、ラリー・ペイジ氏との関係をさらに悪化させた。決定打の一つが、Googleの著名なAI研究者イリヤ・サツケヴァー氏をOpenAIへ迎え入れたことだった。2023年、マスク氏はレックス・フリードマン氏との対談で、ラリー・ペイジ氏と決裂した直接的な原因は、OpenAIの設立、特にサツケヴァー氏の採用だったと振り返っている。その後OpenAIとも決別し、人類を守るため自らAI開発へ参入したマスク氏は、X(旧Twitter)を買収し「Grok」を開発する。結果として長年の友人を失い、Googleとの対立関係を深めていった。

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「ラリーが正しかったかも」10年以上を経てマスク氏の中での心境の変化

 それから10年以上が経過した2026年。伝記作家のアイザックソン氏との新たなインタビューで、マスク氏はAIと人類の進化についての心境の変化を語った。アイザックソン氏が、最近の考え方は、ページ氏に似てきたのでは?指摘すると、「正直に言えば、ラリー・ペイジが正しかったかもしれないと思ったことが何度かある」と答えた。

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