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  • 2009/03/11 掲載

「3年の仮想化フェーズのあと、数年かけてクラウドへ移行する」ガートナー カール・クランチ氏

【仮想化新潮流】

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「仮想化」と「クラウドコンピューティング」、この2つの概念はわずか2年ほどの間で、ビジネスとITにおける非常に大きな潮流となってきた。昨年後半から本格化してきた世界的な金融危機によって、企業はコストダウンはもとより、事業の選択と集中を推し進めることが喫緊の課題になっており、こうした問題の切り札として、仮想化はさらなる注目を集めつつある。今後、企業のITシステムはすべて仮想化、クラウド化されてしまうのだろうか。ガートナー リサーチ バイス プレジデント 兼 最上級アナリストのカール・クランチ氏に伺った。
仮想化がクラウドコンピューティングの流れを後押し
ガートナー リサーチ バイス プレジデント 兼 最上級アナリスト カール・クランチ氏

ガートナー リサーチ
バイス プレジデント 兼 最上級アナリスト
カール・クランチ氏


──仮想化という技術そのものは新しいものではありません。なぜ、いまこれがITの大きな潮流になっているのでしょうか。

 マーケットの要望と技術的な動向がちょうど一致した段階だからだと思います。まず、背景として、サーバーの小型化や低価格化によって、サーバーの数そのものが増えてきました。同時にサーバールームや設備も拡大しています。大規模なデータセンターにとって、こうした機器の使用効率を上げ、管理をしやすくする要求が高まりました。確かに仮想化は新しい技術ではなく、メインフレームでは昔から行われてきたものです。しかし、VMwareのような仮想化ソフトウェアの登場により、x86やIAサーバーでも仮想化機能を実装できるようになり、サーバーのハードウェアリソースの使用効率を高めたことで普及が加速したのだと思います。

──仮想化とともにクラウドコンピューティングという流れもあります。両者の特徴と違いについて教えてください。

 両者は相互に関係していますが、仮想化技術がクラウドコンピューティングという流れを後押ししている面があります。仮想化の潮流は、ハードウェアの統合などによるコスト削減の手段として大きな注目を集めました。多くの人が仮想化にさらなる付加価値を求める中、ビジネスの要求にすばやく応える仕組みとしても用いられ始めています。一方、クラウドコンピューティングは、IT資産を従量制サービスとして提供するもので、企業のITに高い柔軟性と拡張性をもたらします。クラウドの世界では、ハードウェアを購入することがなく、サービスの契約も短期だったり、必要なときに必要なだけ利用できるようになります。仮想化は、クラウドコンピューティングのサービスモデルとコストモデルの差を埋めてくれるのです。それぞれは本来別々のものなので、単独でも成立することは可能ですが、仮想化技術を採用していないクラウドは運用面で苦労するでしょう。

仮想化とクラウドへの流れはゆっくりと長く続くもの

──仮想化とクラウドコンピューティングは今後どのような展開を見せていくのでしょうか。またそのタイムラインはどうなるのでしょうか。

 仮想化への移行と、クラウドコンピューティングへの移行は同時に進行していますが、現在は、まだ仮想化への移行フェーズといえるでしょう。この流れはあと3年くらいは続くとみています。仮想化への移行がほぼ終了してから、本格的なクラウドコンピューティングの時代になると思います。これは、現在のところ、企業の仮想化導入の比率がクラウド化の比率より高くなっている調査結果からもいえると思います。ただし、この流れはゆっくりと長く続くものになるだろうと思います。常に従来型のアプローチは混在し、100%クラウド化されることはないはずです。したがって、何年後にどうなるというゴールの定義が難しいのですが、3年の仮想化フェーズのあと、数年かけてクラウドコンピューティングの移行フェーズが続き、安定していくのではないでしょうか。

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