- 2009/03/27 掲載
【セミナーレポート】IT活用のヒントから仮想化/サーバ統合によるTCO削減まで多彩な情報を提供
3月11日開催「BladeSymphonyセミナー~仮想化/サーバ統合によるTCO削減、不況をのりきるIT活用」
IT導入成功のヒントを披露
セミナーは、日立製作所 エンタープライズサーバ事業部 事業部長 山本章雄氏による挨拶で幕を開けた。BladeSymphonyの歴史を簡単に振り返り、セミナー前日に発表された新しいBladeSymphonyが紹介された。同時に、ブレートサーバにおいて初となる7年サポートの意義が強調された。
また、日経ソリューションビジネスが実施したパートナー満足度調査のブレードサーバ部門で、BladeSymphonyが2年連続で1位をとったこと。そして、BladeSymphony搭載の仮想化製品「Virtage(バタージュ)」が、日刊工業新聞社の2008年(第51回)「十大新製品賞」に選ばれたことが紹介され、BladeSymphonyが高く評価・認知されていることが説明された。
続いての基調講演は、モバイル・インターネットキャピタル 代表取締役社長 西岡郁夫氏による「不況をのりきるIT活用」であった。西岡氏は、1992年から1999年までインテル社のトップをつとめたIT業界の重鎮。現在は、VCとしてベンチャー企業の経営指導に注力している。
講演では、西岡氏自身が関わったさまざまな企業のIT活用事例が具体的に語られた。自身が社長をつとめたインテル社でERPパッケージを導入し、在庫を1/60にまで圧縮した事例を皮切りに、手漉(す)きの高級和紙を製造する製紙工場が顧客管理ソフトウェアを導入し、柔軟な顧客管理を実現した事例、大手コンビニエンスストアの店長向け情報システムや清涼飲料水メーカーの自動販売機の料金回収システム、原子力発電所でも使用される高性能のバネを製造する中小企業のIT化事例などが、独特の語り口で語られた。
これらのIT活用事例を通じて、「IT導入で成功させるにはバリューチェーンの精査に基づく成功シナリオと周到な企画が必須である。そして、もう一つの重要な鍵は、対象となる業務を熟知している人物がIT導入をドライブすべきである」(西岡氏)と説明した。同時に、最もやってはいけないのが「他もやっているからウチも導入する」というやり方だとも強調。流行に流されず、自社のコアコンピテンシーは何なのかをしっかり見極めたうえでITを導入することが大切であると強調して講演を締めくくった。
キーテクノロジーは「仮想化」と「省電力」
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まず、企業から個人・家庭までITを活用したさまざまなサービスが生まれ、ITの利用形態も「所有」から「利用」へ移行していると指摘。それと呼応して、ITの提供形態も従来型のシステムインテグレーションだけでなく、「クラウド」による形態が徐々に増えてくると説明した。
そして、クラウド型サービスの提供基盤には、「継続のための信頼性」「構築の容易性」「仮想化による柔軟性」「機器・設備の省電力」の4つが必要であるとし、特に「仮想化」と「省電力」がキーテクノロジーであると強調した。
続いて、「仮想化」と「省電力」に対する日立の取り組みが説明された。まず「仮想化」については、自社の仮想化製品であるVirtageの信頼性と性能について触れ、「日立は自前でサーバ仮想化を開発している国内で唯一のメーカー」(河村氏)と、その技術力の高さをアピール。特に、Virtageの特長である「ハードウェア透過性」を強調し、「Virtageのオン/オフにより、物理環境と仮想環境を簡単に切り替えられるため、アプリケーションの不具合などが発生しても、仮想化の影響かどうかを簡単に切り分けられる」(河村氏)と説明した。
もう1つのキーテクノロジー「省電力」については、日立の製品により2025年度までに年間1億トンのCO2排出抑制を目指す「環境ビジョン2025」という取り組みを紹介。さらに、IT機器の省電力を推進するHarmonious Greenプランなどの活動を説明した。
そのうえで、BladeSymphonyおよびその周辺装置・ストレージなどに投入された省電力技術が説明された。
セッション後半では、セミナー前日に発表されたBladeSymphonyの新製品BS2000とBS320の概要が説明された。ハイエンドモデルのBS2000は、「信頼性」「拡張性」「柔軟性」の3方向での強化が行われた。特にVirtageが標準搭載となり、2パーティションまでの仮想サーバを無償で利用できるようになった点が目を引いた。ミッドレンジ向けのBS320は、サーバブレードメニューの拡充と外付けストレージの適用拡大の2つが強化ポイントとなる。
また、ロングライフサポートとして、従来は5年であったサポート期間を7年とすることで、TCO削減に貢献するとともに、より安定したシステムを長期間利用できるようになるメリットが強調された。 セッション最後には、Virtageの導入事例を紹介。Virtageによる仮想化でコスト削減と省電力に成功したいくつかの事例が示されてセッションを終了した。
ワークフローツールR@bitFlow
セミナー最後は、リコーテクノシステムズ ITソリューション本部 第1ソリューションセンター 副センター長 中家宏之 氏による特別講演「業務改善を支援するワークフローツール「R@bitFlow」(ラビットフロー)」であった。
冒頭では、企業を取り巻く環境の変化について言及。ガバナンスやコンプライアンスに代表されるように、企業に対して強い倫理意識・社会的責任が要求される一方で、規制緩和による競争の激化が進んでいると説明した。そして、この相反する状況に対応するには、個人の能力を引き出し、同時に組織の能力を向上させる情報活用の実現が必要だとし、それにはドキュメント管理の仕組みが重要になると説明した。
ただし、現実にはさまざまな課題があるとし、特に文書の電子化がなかなか進まない現実を指摘した。その原因と対策について、「電子化が進まない原因は、電子化のためによけいな仕事、たとえば文書のスキャニングなどの仕事が発生するためであり、これを解決するには、電子化された文書が企業内で自然に蓄積される仕組みを構築することが重要である」(中家氏)と説明。そのツールとして、R@bitFlowが有効であると強調した。
講演後半は、R@bitFlowの機能説明や帳票作成のデモが行われた。実際に、R@bitFlowを使って稟議書を作成し、ワークフローを構築するプロセスがデモされ、プログラミングレスで帳票が設計できたり、承認経路の設定ができたりすることに参加者の注目が集まっていた。
また、R@bitFlowはマイクロソフト社のExchangeやSharePoint Serverとも連携可能であると説明。SharePoint Serverのポータル上に、R@bitFlowで作成した帳票が一覧表示されている画面を示し、SharePoint Serverとシームレスに連携しながら稟議書などの文書が管理できることが紹介された。さらに、これらのシステムをBladeSymphony上に構築することで運用が大幅に効率化するとともに、小さい規模でスタートして徐々に拡張していくことも容易になると説明された。
最後に、企業のドキュメントソリューションについて「電子化そのものが目的ではなく、紙文書の利便性と電子文書の有効活用を融合することが目的である。また、使う人が利益を実感できる仕組み作りが大切だ」(中家氏)と強調して講演を締めくくった。
IT活用のさまざまな事例、BladeSymphonyの最新情報、「仮想化」と「省電力」への日立の取り組み、さらにBladeSymphony上で稼働する具体的なワークフローソリューションの紹介と、セミナーの内容は多岐にわたった。また、会場入り口には、発表されたばかりのBS2000、BS320が展示され、多くの参加者が係員の説明に聞き入っていた。参加者にとっては、自社のIT活用を見直したり、まったく新しい視点・アイデアを入手したりできるよい機会になったのではないだろうか。
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