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  • 2009/04/10 掲載

【連載】IT経営が日本を救う(1)激変する環境を生き残る

LLP ITC-Labo.理事長 川端一輝氏

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身近に起こっている恐ろしげな変化についてはマスコミの報道を待つまでもなく、ビジネスパーソンとしてわれわれが日々直面している。そのようななかで、あえて「IT経営が日本を救う」というテーマを選んだ。経営、あるいは企業活動とはいったい何なのか。それが企業戦略とどう関わりITとどう結びつくのか。ITに支えられた「いい会社」、「元気な会社」が日本を救うためにはどうすればよいのか。LLP ITC-Labo.理事長の川端一輝氏が語る。
執筆:川端 一輝

川端 一輝

ITC-Labo. 理事長

はじめに:激変する環境を生き残る

 「いよいよ、改革は本番を迎えます。我が国は、黒船の到来から近代国家へ、戦後の荒廃から復興へと、見事に危機をチャンスに変えました。これは、変化を恐れず、果敢に国づくりに取り組んだ国民の努力の賜物であります。私は、変化を受け入れ、新しい時代に挑戦する勇気こそ、日本の発展の原動力であると確信しています。進化論を唱えたダーウィンは、『この世に生き残る生き物は、最も力の強いものか。そうではない。最も頭のいいものか。そうでもない。それは、変化に対応できる生き物だ』という考えを示したと言われています」。2001年9月27日、第153回国会における小泉純一郎首相の所信表明演説だ。

 この後段の「ダーウィン云々…」はビジネス系の書き物でよく見かける言葉だが、初めてこれを見たとき、なかなか面白い言い回しだなと思いながらも「ほんとかな?」と思った。というのは、仮にダーウィンがそう言ったとしても「生き物」は個体のことではなくて「種」のはずだし、選択(淘汰、再生)-交叉-突然変異という遺伝的操作を何世代も経て結果的に適合率(適応度関数)の高い遺伝子が子孫を残していくということなのだから、企業は「種」と考えるのか「個体」と考えるのか、企業戦略論とどう結びつくのか、そういう意味で疑問に思ったのだ。実際、大洪水が来たから、あるいは海面が上昇してきたからといって陸生動物がいきなりエラ呼吸に変身するわけにもいかないのだから。調べてみると、やはりダーウィン自身の言葉ではなかったようだ。小泉元首相の演説も「という考えを示したといわれています」になっている。巧妙ではある。

 国家や企業を「種」と考えるべきか「個体」と考えるべきか、ダーウィンの所謂ネタ元が怪しい以上、あまり突っ込んで考えても意味がないかもしれない。

 ・変化が起きていることを見ない、見ようとしない人への警鐘
 ・変化に対応するための行動をためらう人への戒め
 ・変化への適応には痛みや犠牲が伴うという冷厳な事実の想起

これらが、「ダーウィン」―「進化論」―「自然淘汰」というようなキーワードの連鎖の中で妙に説得力がありそうに響くために、あちこちで引用(?)されるのだろう。

 第一次小泉内閣が発足したのが2001年4月26日、さきの所信表明演説は第一次改造内閣が発足した直後のものだ。1990~01年の日本のバブル経済の崩壊から約10年が最近再びよく耳にする「失われた10年」。日本経済史上最長の不景気、GDPはマイナス成長、5%を超える失業率、企業・金融機関の破綻や再編成…。小泉元首相が「聖域なき構造改革」を唱え、ダーウィンまがいまで援用して改革を訴えたのはまだ耳に新しいところだ。その後、2002年2月から2008年8月まで、今度は戦後最長といわれる景気回復がもたらされたものの、サブプライムローン問題を抱えた米国経済の減速を背景に、ついに日本経済も後退局面に入った。そして、9月15日のリーマンショックをむかえることになった。
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