- 2007/02/06 掲載
【古川健介氏インタビュー】ドロップシッピングから見た日本のネットビジネス戦略
自分で値段がつけられる点
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『新しいネットの稼ぎ方 ドロップシッピング成功術』 |
――まず、ドロップシッピングを始められたきっかけを教えていただけますか?
古川健介(以下、古川)●インターネットでドロップシッピングが流行り始めた時期に色々なニュースサイトを調べておもしろいな、と思ったのがきっかけです。ただ、いまいち内容がわかりにくいものが多かったので、それでドロップシッピングの解説サイトを立ち上げました。
――ドロップシッピングをされていた中で、一番面白かった点というのは何でしょうか?
古川●やはり、「値段を自分で決められる」という点です。今までのアフィリエイトとかとは違い、自分で「いくらくらいの値段をつけようか」と考え、戦略を立てることが出来るのが一番面白いですね。
――では、今注目されているアフィリエイトより、古川さんの中ではドロップシッピングのほうに魅力がある、と?
古川●面白さという観点からいうと、ドロップシッピングのほうが面白いですね。ただ、儲かるか儲からないという話になると、紹介できる商品の幅が大きく、利用者も多いアフィリエイトのほうが上かもしれません。このあたりは、ケース・バイ・ケースだとは思いますが。
――古川さんのプロフィールを拝見させていただいたのですが、「劇団ブサイコロジカル。」のような演劇から、したらばやドロップシッピングのようなネット技術までさまざまな分野に関わっていらっしゃいますよね。
古川●ええ、それは性格が飽きっぽいというか、すぐに新しいものに手を出したくなってしまう、というところからでしょうか。ドロップシッピング以外ですと、私は2000年から、大学受験生や予備校生をターゲットとした掲示板「ミルクカフェ」というのをやっています。私が浪人生のときに、大学受験に役立つ情報をインターネット上で探してみたのですが、なかなか見つからなかった。そこで、不便なので自分で情報が集まるサイトを作ろう、と思い自分で作ったことが始まりです。軽い気持ちで始めたのですが、同じように考えているユーザーが多かったようで、多くの人が集まりました。思いついたことは何でもやってみると面白い、というのはそのあたりから学んだのかもしれません。
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古川健介氏
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古川●そうですね。まず立ち上げてみて、そこでユーザーの反応を見ながら色々変えていく、というのはそこで学びました。ドロップシッピング関連に関しても、作ってから多くの人に見せて幅広く意見を聞いて、改善し続けていました。
――どのような人にドロップシッピングをやって欲しいですか?
古川●ガツガツ儲けたい、という方がやるのももちろんいいと思うのですが、今はお店を作って楽しんでやりたい、という人にやってもらいたいという気持ちのほうが強いですね。個人的には、儲かることだけが成功だとは思っていなくて、店を経営して楽しい、好きな商品を紹介できることが楽しい、という状態も一つの成功だと考えています。むしろ、ドロップシッピングの場合、そういうことに喜びを感じる人のほうが向いているような気もします(笑)。
――儲けることだけが成功ではないとおっしゃりましたけれども、古川さん自身、成功のビジョンというのはどういうものをお持ちなのでしょうか?
古川●最初のフェーズにおける「成功」は、やってること自体が楽しいという状態だと思っています。また、サイトやお店を運営するという経験により、自分自身が人間的に成長できる、というのが僕の中での成功の定義です。今回の本は、成功とは儲けることだけではなく、自分が楽しんでできることも成功なんだ、ということが伝えたかったのです。とにかく、ドロップシッピングに関しては、まずは楽しんでもらいたい、という気持ちが大きいですね。
――今回この本を読んだところ、ドロップシッピングの紹介というよりは、ドロップシッピングを通して、何かを示しているな、という印象を受けたんですよ。ネットビジネスのやり方だとか、もう一歩奥に入って、ビジネスとはなんなのか、というところにまで食い込んでいるような気がいたしました。
古川●まさにおっしゃる通りです。この本で書いてある事は、ドロップシッピングだけではなく、他のネットビジネスにも転用できる部分が多くあります。この本をドロップシッピングの小手先の解説書として、仕組みやシステムの話などに終始してしまいたくはないと考えていました。ネットビジネスにも歴史や蓄積があって、目新しく見えるものが登場しても、それは過去のネットビジネスの延長線上にあったりするので、過去の成功例がそのまま活きたりするわけです。
――ネットにおいて集客する際、重要な点というのはどのようなことでしょうか?
古川●あまり対象を広げすぎないで、自分のサイトに訪れて欲しい人を特定することだと思います。「ミルクカフェ」のときも、大学受験生というターゲットに向けたコンテンツだったため、その層の人たちが集まったと考えています。このように、誰にでも受けるといったものを作らないで、自分が本当に伝えたい人たちを視野に入れてコンテンツを作ることが大事かな、と思います。
――既存の店舗型ビジネスでは、まず多数の人を取り込んで、そこから客層をわけていくという形が基本だと思っていたのですが、ネットビジネスにおいては逆だということですか?
古川●はい。ネットでは誰でも気軽に店を作れてしまうため、差別化をしないとどの店も同じということになってしまいます。例えばリアル(現実の)店舗だったら、銀座の一等地に店舗を構えれば、それだけで差別化できるのですが、ネットだと立地という概念がないのでその方法は使えません。そのため、他の人が狙っていないところを狙っていかないと、多くの店に埋もれてしまうため、うまくいかない場合が多いですね。
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