通常のデスクトップPCと比較してスリムなボディを持つ省スペースPCは、ビジネスシーンと非常に相性が良い。拡張性やメンテナンス性に優れたデスクトップPCでありながら、専有面積が少ないため置き場所を選ばず、オフィスの限られたスペースを有効に使える。また、ノートPCに比べてローコストで大量導入しやすい点も大きなメリットだ。さらに、従来使っていたディスプレイやキーボードなどの資産をそのまま使えることや、これらを用途・目的に応じて選ぶことができる柔軟性の高さもメリットだ。
各メーカーは、さまざまなビジネス向け省スペースPCをリリースしている。選択肢は豊富だが、その分導入する際に重視しておきたいポイントの見極めが難しい。まず率直に言って、基本性能の単純な比較はあまり意味がない。ほとんどの製品がBTOに対応しているため、CPUやメモリ容量、HDD容量などといったニーズはカスタマイズで対応できてしまう。このような差は製品ごとの差別化の対象とはなりにくい。違いが出るのはそういう基本的なスペック以外の部分、例えばビジネスに必須のセキュリティ機能などを提供するソフトウェアや、内部のメンテナンス性、エアフローなどのボディ設計で、こうした部分のほうが優先度は高いと言えるだろう。
そこで今回は、メーカー各社のビジネス向け省スペースPCを実際に重視したいポイントに絞って比較してみたい。用意した機種のラインアップは、「HP Compaq 8000 Elite SF」(以下、8000 Elite SF)、「HP Compaq 8000 Elite US」(以下、8000 Elite US)、「Dell OptiPlex 780 スモールシャーシ」(以下、Dell OptiPlex 780)、「NEC Mate タイプME」(以下、Mate タイプME)、「富士通FMV-ESPRIMO FMV-D5390」(以下、FMV-ESPRIMO)、「Lenovo ThinkCentre M58p Small」(以下、ThinkCentre M58p)の5社6機種である。なお、各項目について10点満点での点数評価も行っている。