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  • 2010/11/12 掲載

セカンドライフのその後、爆発的に増え続けている仮想世界ユーザー:○○はビジネスになるか(16)

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3年前、ネットの世界では、仮想世界や「メタバース」が連日話題になっていた。3D仮想世界サービス「セカンドライフ」がブームに火を付け、先進ネットユーザーは次世代インターネットの到来だと目を輝かせ、熱く語った。だがその後、世間のセカンドライフへの興味は急速に薄れていった。“セカンドライフ的ビジネス”は駄目なのか──。しかし、英KZeroの調査によれば、世界の登録ベースの仮想世界ユーザー数は過去1年間で3億5000万人も増えており、すでに10億人を超える巨大市場になっているという。一体何が起こっているのだろうか。

行宮翔太

行宮翔太

ローカルTV記者、全国紙記者を経て、ITやビジネス分野のライティングを手がける。NTTPCコミュニケーションズ運営時のCNET、(株)ガリレオの「Infostand」などで執筆。四半世紀以上前に数年間住んだインドが“IT先進国”になったことを、どうしても信じられない。

億万長者を生んだセカンドライフブーム

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精巧に作り込まれたセカンドライフの街だが、人影はなく…
 セカンドライフが米国で注目を集めだしたのは2006年半ばだ。広大な3Dグラフィックの世界を、自分の好みの外見と衣装で仕上げたアバターを操って、歩き回り、ときに飛行し、出会った他のアバターとチャットを楽しむ。自由度の高いサービスで、運営するリンデンラボから仮想土地を購入すれば、風景、建物も好きなようにデザインして、クリエイティビティを発揮できる。構築された建物などのアイテムは、すべてユーザーの手で作り上げられたものだ。

 また、内部で流通している仮想通貨「リンデンドル」はリアルマネーのドルと交換可能なため、セカンドライフ内でアイテムなどの売買をすれば、実際にもうけることができる。目端の利くユーザーは土地を開発して街を作り、他のユーザーにレンタルする不動産業を営んだ。メディアに大々的に取り上げられた「アンシェ・チャン」(実体は中国系の女性起業家)は、その代表で、100万ドル相当の資産を築きあげたという。彼女はビジネスウィーク誌の表紙も飾り、“セカンドライフの最初の成功者”ともてはやされた。

 セカンドライフには、仮想世界がビジネスの場になると考えた起業家がどっと参入し、マーケティングなどに活用しようと考えた大企業が次々にパビリオンを建設した。地価は上がり、個人ユーザーも押し寄せる。2007年には日本版が上陸して日本でもセカンドライフブームが起こった。

 しかし、メディアやブログでは次第に「セカンドライフはつまらない」といった声が上がるようになる。最初は熱心にログインしていたユーザーもだんだんと足が遠のいた。メディアで取り上げられることも少なくなり、翌年にはすっかり話題に上らなくなった。とくに日本のユーザーは定着しなかったようで、仮想不動産業者や企業などビジネスでの参入者も次々に撤退した。最近で仮想世界がニュースになったのは今年5月、国産仮想世界サービス「エクシングワールド」の運営元ビズインターナショナルが特商法違反の疑いで強制捜索を受けたことぐらいという情けない状態だ。

セカンドライフが廃れた理由

 セカンドライフの人気がマスに定着しなかった理由については、さまざまな分析があり、次のようなものが指摘されている。

  1. パソコンのスペック要求が高い(ノートPCでは動かないことが多かった)
  2. アバターの操作が難しい
  3. 目的が設定されてないので何をしていいかわからない
  4. 広い仮想世界が閑散としていて、つまらなく、不気味

 特に一番の問題は閑散としていたことだろう。セカンドライフブームは「人が集まる仮想空間」であることに着目した企業やクリエーターらの参加に支えられていた。したがって、人がいない、少ない、ただCGの空間があるだけでは意味がない。

 リンデンラボは一時、黒字化したとも伝えられるが、リーマンショック後の不況による経営環境の悪化で、今年6月には従業員の約30%を削減すると発表。組織も再編縮小した。他のセカンドライフ型サービスはもっと厳しかったようで、ライバルとしてしばしば取り上げられたThere.comは今年3月9日に閉鎖している。同社のマイケル・ウィルソンCEOは、閉鎖声明で、会員数は増え続けているが、収益が減ってサービスを維持できなくなったと述べている。

 だが、「仮想世界サービス」そのものは全然廃れてなどいない。そのユーザー数は世界で10億人を超え、すでに巨大市場になっているのだ。

【次ページ】仮想世界ユーザーは10億人

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