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2011年10月24日

社会インフラの被害や生体情報の漏えいをどう防ぐか

ITで情報漏えいや事故のない安全な社会は実現できるのか?安田浩 東大名誉教授に聞く

企業や官公庁、医療機関のクラウド導入、スマートフォンやタブレットなどの新しいデバイスの登場、さらにはスマートグリッドやスマートシティといったインフラ構築まで、ITが利用されるすそ野が広がっている。一方で利便性と危険がつねに隣り合う構造は、ITの黎明期からまったく変わっていないのが実情だ。我々が本当に安心できるネットワーク社会は実現可能なのだろうか。一般社団法人日本通信安全促進協会(以下、JCSA)の理事長で、東京大学名誉教授、そして東京電機大学 未来学部 学部長でもある安田浩 氏に取り組みを伺った。

“神経系”の整備はまだ始まったばかり

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一般社団法人日本通信安全促進協会 理事長
東京大学名誉教授
東京電機大学 未来学部 学部長
安田浩 氏

──スマートグリッドや医療IT、テレマティクスなど、ITの適用範囲が急速に広がっています。こうした動きを先生はどう見ておられますか。

 ITは順調な発展を遂げてきているので、当然のことだと思います。ただ、ITはどちらかというと縁の下の力持ちで、それを売りにするというものではありません。情報をどう扱うか、それをどう広めるか、そしてどういう結果を出すのかということが大事なのです。

 その一方で、現在は本当に欲しい情報が手に入らない、せっかく手に入れても津波や地震で失ってしまう、といったことが問題になっています。

 いまのITを人間の身体にたとえると、血液、すなわちモノやデータは流れていますが、まだ神経系が十分に行き渡っていない状態です。だから痛いところがわからないのです。

──神経がないと、どういう問題が発生するのでしょうか?

 たとえば、荷物を送る場合、受け取る側には受け入れ準備が必要です。それには、荷物の情報を先に届ける必要があります。宅配便では、荷物を送るとそれが今どこにあるか追跡できますね。クロネコヤマトが成功したのはそこです。いまのITやインターネットの基本技術には、まだそれが整備されていない状態だと考えています。

──相互接続性は段階的に整備されてきているように感じますが実際はそうではないのでしょうか?

 まだまだ不足しています。端的な例はテレビでしょう。当初テレビは持ち運んで使われるとは思っていませんでした。それが今や携帯で見られるようになりましたが、日本の中でさえ、どこでも見られるというわけではありません。アメリカやヨーロッパはもちろん見られません。方式そのものが違うからです。もちろん、ハードウェアに仕組みを作り込めば見られるようになりますが、コストに跳ね返ってきます。

 情報は整備しなければ、うまく活用できません。そのために共通仕様が必要になります。共通仕様を整備して情報を流通させるための仕組みが神経系なのです。

──では神経系を整備すれば、セキュリティや情報漏えいなどの問題は回避できるのでしょうか?

 それは別の問題ですね。いまのインターネットで神経系を作っても、危ないところだらけになるでしょう。誰もが同じ仕様を使えば使うほど、いたずらも容易になりますから。したがって、整備と同時に神経系をしっかり守る仕組みも考えなければなりません。そうしないと、危なくて誰も利用できない神経系になってしまいます。

【次ページ】原子力や鉄道などの社会インフラ被害、生体情報漏えいも起きうる?

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