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  • 2012/08/08 掲載

マーチャントシリコンとソフトウェア仮想化、ネットワーク機器のあり方に起きている大きな変化

ネットワーク機器の劇的な低価格化は進むか?

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いまネットワーク市場は、ソフトウェアでネットワーク構成の制御を行うSoftware-Defined Network(SDN)とその標準技術であるOpenFlowの登場によって大きな変化に見舞われていますが、それと並行してネットワーク機器のあり方にも大きな変化が起ころうとしてます。

Publickey 新野淳一

Publickey 新野淳一

ITジャーナリスト/Publickeyブロガー。大学でUNIXを学び、株式会社アスキーに入社。データベースのテクニカルサポート、月刊アスキーNT編集部 副編集長などを経て1998年退社、フリーランスライターに。2000年、株式会社アットマーク・アイティ設立に参画、オンラインメディア部門の役員として2007年にIPOを実現、2008年に退社。再びフリーランスとして独立し、2009年にブログメディアPublickeyを開始。現在に至る。

 かつて企業向けのサーバやワークステーションは、メインフレームをはじめとしたベンダ独自のアーキテクチャを備えたさまざまな種類のハードウェアが市場で競っていました。しかし1980年代にx86をベースにしたPCサーバが登場し、CISC対RISCなどの構図をくぐりぬけ、ほぼx86サーバが標準となる状況にたどり着きました。

 そしてこの過程で起きた市場の拡大を背景に、x86サーバは大幅な低コスト化と高性能化を実現してきました。ハードウェアが標準化されたことで、ソフトウェア市場も比較にならないほど広がりました。

 サーバ市場で起きたようなハードウェアの標準化が、ネットワーク機器の世界でも起こるかもしれません。ネットワーク機器はこれまで、ベンダごとに独自ハードウェアとして開発されていましたが、x86サーバのようにネットワーク機器向けの汎用チップセットをベースにした標準的なハードウェアが登場し、低価格化と高性能化が進むという流れです。

マーチャントシリコン(Merchant Silicon)の勃興


Arista Network-Blog
 サン・マイクロシステムズの創業者で、ネットワーク機器ベンダのArista Networksを創業し会長を勤めるアンディ・ベクトルシャイム氏は、ネットワーク機器のチップセットがマーチャントシリコン(Merchant Silicon)、つまりx86プロセッサのチップセットのような商品へと向かうことは必然であると、1年前のブログ「The March to Merchant Silicon in 10Gbe Cloud Networking」に書いています。

The inevitable march towards merchant silicon for Ethernet switching is continuing with the announcement from Intel today that it is acquiring Fulcrum Microsystems.

イーサネットスイッチングがマーチャントシリコンへ向かう必然性は、インテルがFulcrum Microsystemsを買収したことによって続いている。

Fulcrum of course the silicon vendor that is the core of our low-latency switch family that is the most widely used switch across the world for high-frequency trading.

Fulcrumはもちろん、低レイテンシスイッチ製品群のコアを構成しているシリコンベンダーであり、株式などの金融商品を超高速に取引する高頻度取引(HFT)の世界で広く使われている。

 すでにネットワーク機器向けのチップセットを販売しているBroadcomの製品は、シスコやジュニパー、IBM、HP、Force10(デル)、そしてAristaなどに広く使われており、ネットワーク機器のマーチャントシリコン化は目に見える形で始まっています。

 先月来日した新興のネットワーク機器ベンダPica8のJames Liao氏は、マーチャントシリコンが一定以上の市場規模を獲得すれば、インテルのチップがハイエンドサーバに用いられるほどの高性能を実現したように、カスタムチップと比較しても十分高性能なものになるだろうと発言しています。

 また、グーグルやFacebookはマーチャントシリコンをベースにした安価なスイッチを台湾メーカーに直接発注し、自社のデータセンターに大規模導入していると言われています。すでに大規模クラウド事業者もマーチャントシリコンの利点を活用しているというわけです。

 もちろん、例えばブロケードのように自社で高性能なASICを開発する能力のあるベンダは、ASICの優位性を引き続き市場に訴えかけていくでしょう。同社は100GbEのラインレートのままOpenFlowに対応するという発表を行っています。これはASICの能力を活用したものです。各ベンダとも、ローエンド製品にはマーチャントシリコンを用いても、高付加価値を目指す製品については引き続きカスタムチップを作り続けるのかもしれません。

 とはいえネットワーク機器の市場は、マーチャントシリコンの登場で大きく変化しようとしています。

【次ページ】物理スイッチ対仮想スイッチの戦い

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