• 2012/11/13 掲載

法人向けスマートフォン・携帯電話の導入配布調査:導入企業が急増、配布は今後

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従業員数100人以上の大手・中堅企業および学校・医療福祉法人の総務部門545社への調査によると、法人名義のスマートフォン導入企業は、2011年15.2%から2012年27.2%に急拡大していることがわかった。また、スマートフォンの従業員配布率も現在の4.2%から3年後には11.4%に急拡大する見通し。そのほか、携帯電話を増やす主要因や導入拡大の阻害要因についても明らかになった。
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法人ユーザーにおけるスマートフォン導入状況
(出典:MM総研)

 MM総研は13日、「法人ユーザーにおける携帯電話/スマートフォンの導入配布状況・ニーズに関する調査 (2012年度版)」の結果を発表した。

 Webアンケートの結果によると、スマートフォンを導入する企業が急速に増えている実態と、導入の阻害要因である「セキュリティの不安」を解消するため、MDM(モバイル端末管理)サービスの利用やセキュリティガイドラインの策定が進められている状況が明らかになったという。

 法人名義の携帯電話・PHS、スマートフォンを現在、従業員や役員に「配布している」企業は80.2%、「配布していない」企業は19.8%だった。

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携帯電話・PHS、スマートフォンの配布率の推移
(出典:MM総研)

 そのうちスマートフォンを「配布している」企業は、「本格的に導入利用済み」15.6%と「テストまたは部分導入利用済み」11.6%を合わせると27.2%だった。「配布していない企業」は、導入予備軍が「準備中」2.0%と「検討中」17.2%を合わせると19.2%、その他が「まだ考えていない」24.2%、「必要なし」29.4%で、合計72.8%となった。

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スマートフォンの配布率推移
(出典:MM総研)


 2011年9月に実施した前回調査では、スマートフォンを「配布している」企業は15.2%にとどまっていたため、1年間で配布企業が急拡大していることが明らかになった。

 従業員配布率(総従業員数に占める携帯電話・PHS、スマートフォン配布台数の割合)では、現在・1年後・3年後の有効回答539社において、現在が平均26.8%で、1年後には平均29.1%、3年後には平均31.3%まで堅調に拡大する見通しであることがわかった。

 一方、スマートフォンのみの配布率を見ると、現在は平均4.2%にとどまっているものの、1年後に平均7.3%、3年後に平均11.4%と大きく増加する見通しとなった。スマートフォンの配布率については、前年調査で、現在1.5%、1年後3.5%(今回調査の「現在」に相当)、3年後5.6%だったことと比較すると、想定以上のペースで伸びていたという。

モバイル端末を増やす主要因は?

 法人名義の携帯電話・PHSとスマートフォンの総数を増やす理由として、最も多かったのが「災害時や緊急時における安否確認、連絡手段の確保や、事業継続のため」で40.0%、次いで「個人情報保護法への対応強化のため(携帯電話を企業として管理できない個人所有とした場合、情報漏えいなどのセキュリティリスクがあるため)」37.3%、「法人向け通信料金の低価格化や割引が進んでいるため」34.5%、「事務処理効率化のため(例:以前は個人名義端末で、会社利用分を計算し支払っていた手間を効率化するため)」30.9%、「外出先から社内情報にアクセスする必要が出てきたため」28.2%、「コンプライアンス対応強化、内部統制の強化のため」27.3%となった。

 「災害時や緊急時における安否確認、連絡手段の確保や、事業継続のため」は、前回調査は36.4%で2位、今回は40.0%でトップになった。2011年の東日本大震災を契機として、災害時や緊急時の連絡手段の確保がこれまで以上に求められるようになったという。

 また、個人情報保護法への対応強化は、前回調査では28.0%で4位だったが、今回は37.3%で2位に上昇した。個人所有の端末ではなく、管理のしやすい法人端末を利用することで、セキュリティリスクを回避しようとする傾向が強くなっているという。

スマートフォン導入拡大の阻害要因、およびセキュリティ対策は?

 スマートフォンの導入拡大の阻害要因として最も多かったのが「セキュリティへの不安(不正アクセスによる情報漏えい)」で46.2%、次いで「セキュリティへの不安(端末の紛失による情報漏えい)」の41.1%、「携帯電話・PHS(フィーチャーフォン)と比べての月額料金の高さ」の36.8%、「セキュリティへの不安(ウイルス感染)」の36.0%と上位をセキュリティ、コスト関連が占めた。

 従来型の携帯電話(フィーチャーフォン)からスマートフォンへの移行が進む中で、セキュリティ対策が急務になっているという。

 前回調査と比較すると、「セキュリティへの不安(不正アクセスによる情報漏えい)」、「セキュリティへの不安(ウイルス感染)」といったパソコンと同様のセキュリティ課題の比率がやや低下した一方で、「セキュリティへの不安(端末の紛失による情報漏えい)」、「携帯電話・PHS(フィーチャーフォン)と比べての月額料金の高さ」など、スマートフォン固有の課題は比率が上昇しており、端末の導入・検討が進んだことで、課題も具体化してきたことがわかった。

セキュリティ対策として、MDMサービスの利用やセキュリティガイドライン策定が進む

 上記のセキュリティ問題への対策も徐々に進みつつある。その代表格がMDM(モバイル端末管理)サービスだという。携帯電話の紛失や盗難に遭遇した際に、遠隔操作で端末のロックやデータ消去ができるサービス、端末ごとの管理情報やアプリ導入状況の把握、各種設定の制御などが含まれる。

 スマートフォン導入企業のうち、MDMサービスを「利用している」企業は58.8%にのぼった。スマートフォン未導入の企業(従来型携帯電話・PHSのみの導入企業、もしくは、法人契約の携帯電話端末なしの企業)の27.5%と比較すると、スマートフォンとセキュリティサービスの密接な関係性がうかがえたとしている。

 また、セキュリティガイドラインの策定についても、スマートフォン導入企業で「策定済み」が39.9%、「策定中」が2.7%で、4割強が取り組んでいる現状が明らかになった。「検討中」としている企業も27.7%で、関心は非常に高かった。

 なお、今回は代表的なセキュリティ対策として、MDMサービスとセキュリティガイドラインの策定を取り上げたが、この他にも、業務に利用するアプリの一括適用や、アプリ・機能の一括制限、端末利用ログの取得、なりすまし・不正利用などのリスクから防御するためのスマートフォンでのSSL-VPN、パソコンを含めたマルチデバイスの統合ID管理、複数認証利用、端末に情報が残らないクラウド型サービスなどさまざまなソリューションが登場しており、スマートフォンの普及に伴い、導入が拡大している。今後も端末とソリューションの両輪で市場を広げていくことになるとMM総研では指摘している。

 調査はインターネットアンケート・サービス「gooリサーチ」の会員モニターを使った。従業員数100人以上の大手・中堅企業および学校・医療福祉法人の総務部門545社(1社1回答)を対象とした。

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