• 2013/03/21 掲載

BEMS市場調査、中小の設置増が市場を押し上げ 2013年度には3,000億円超に

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国内の法人向けエネルギーマネジメントシステム・ソリューション(EMS)市場の調査によれば、(1)中央監視システム システムインテグレーション、(2)中央監視システム エネルギー管理運用サービス、(3)遠隔監視システムの提供とエネルギー管理支援サービス、(4)エネルギー診断・コンサルティングで構成される同市場は、2013年度に3,000億円を突破、2015年度には3,259億円まで拡大する予測が明らかになった。大規模向けのリプレース需要に加えて、導入率が低い中小企業のEMSの設置増が市場を押し上げる要因になるという。
 ミック経済研究所は21日、国内のエネルギーマネジメントシステム・ソリューション(EMS)市場に関する調査結果を発表した。本調査では、国内の主要EMSベンダ、コンサルティング会社など46社の個別データをベースに、EMS市場の推移、および事業戦略について調査している。

 EMSとは、ITを活用して「エネルギーの見える化」を行い、エネルギー使用量を効率的に管理するシステム。ビル向けはBEMS(ビルディング・エネルギーマネジメントシステム)、家庭向けはHEMS(ホーム・エネルギーマネジメントシステム)などとも呼ばれる。

 今回、ミック経済研究所では、(1)主に大規模工場・事業所ビル向けの「中央監視システム システムインテグレーション」、(2)主に大規模工場・事業所ビル向けの「中央監視システム エネルギー管理運用サービス」、(3)主に中小規模事業所ビルや多店舗系企業向けの「遠隔監視システムの提供とエネルギー管理支援サービス」、(4)主に中小規模事業所ビルや多店舗系企業向け「エネルギー診断・コンサルティング」の4つに分類して調査を実施した。

 特徴として、(1)と(2)は主に大規模な工場や事業所ビルで実施され、(3)と(4)はイニシャルコストやランニングコストの負担が軽いことから、主に中小規模の事業所ビルや店舗で実施される傾向にあるという。

 2012年度の日本国内EMS市場では、大規模から中小規模まで事業所規模を問わず、EMSの導入が増えているという。2011年度と比べ、企業は計画的な節電対策を行う意向が強まり、導入率が低い中小企業のEMSの設置増が、EMS市場を押し上げる要因となった。

 2010~2015年度で、中小規模事業所へのEMS導入がEMS市場拡大を牽引する。2015年度売上規模指数(対2010年度比)を見ると遠隔監視システム 207.9ポイント、診断・コンサルティング200.0ポイントと市場拡大に寄与していることがわかるという。

 市場全体では、大規模向けの「(1)+(2)」は微増だが、中小規模事業所向けの「(3)+(4)」の成長が押し上げとなって、2011年度から2015年度の年平均成長率は4.1%となる見通し。ミック経済研究所では、2013年度に3,000億円を突破、2015年度の時点で、3,259億円まで拡大すると推定した。

photo
売上規模指数(対2010年度実績)推移
(出典:ミック経済研究所,2013)


 規模別で見ると、大規模向けでは、2015年まで大規模向けに関連するEMS市場(先の(1)と(2))の動きは小さく、安定的であるという。大規模ビルや工場には、既に中央監視システムが導入され、節電対策が実施されているため。また、大型施設の新規建設が少ないので、更新需要が中心の市場となっているとしている。

 一方、中小規模向けは、遠隔監視システムとエネルギー診断・コンサルティングに分類。

 まず遠隔監視システム市場では、従来、契約電力1,000kW未満の中小規模事業所においてEMS導入があまり多くなかったが、震災以降変化が見られたという。まず、震災直後はデマンド監視としての機器導入が増加。その後、2011年度後半からは、夏期の電力需給逼迫に伴う節電を経験したことにより、EMSを活用した管理が選択され始めた。

 また、各種補助金制度がEMS市場の追い風となった。例として、2012年4月からスタートした契約電力50~500kW向けエネルギー管理システム導入促進事業費補助金(BEMSアグリゲータ補助金制度)がある。

 2012年度に高い水準で伸びる当市場は、2013年度で500億円を突破、市場は拡大成長を続け、2015年度には売上高702億円(2011~15年度年平均成長率14.8%)となるとミック経済研究所では予測している。

 また、中小規模向けのエネルギー診断・コンサルティング市場は、年平均成長率14.2%で成長継続する見込み。クールビズ・ウォームビズ程度の簡単な省エネを実施していた中小規模事業所が震災以降に行った節電は運用改善が中心。運用改善では、照明の間引き・消灯、空調の温度調整などが行われるという。

 しかし、2011年秋以降、過度の運用改善による節電が事業に悪影響を与えることを実感した企業は、適切な節電を考えるようになった。その対策の一つとして、EMS設置だけではなく、専門家に事前のエネルギー診断や導入後のコンサルティング・教育を依頼するようになったという。

 2011年度後半から堅調に成長し始めた当市場は2012年度以降も一定の成長を続け、2015年度には売上高160億円(2011~15年度年平均成長率14.2%)となるという。

 ミック経済研究所では、大規模向け((1)+(2))市場と中小規模向け((3)+(4))市場を比較すると、2009年度で84.9%対15.1%だった構成比が2015年度では73.6%対26.4%と市場全体の中で、中小規模向け比率が高くなると予測している。

 今回の詳細な調査結果は、A4版757頁のファイル製本で、19万9,500円(税込)(PDF版:241,500円、CD-ROM版:399,000円)で販売されている。

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