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  • 2013/11/13 掲載

今後のモバイル市場は日本企業にチャンス、LTE-Advanced、ウェアラブル、ソフトバンク買収

Strategy Analytics ニール・モーストン氏インタビュー

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世界的に広がっているスマートフォンおよびタブレット市場。この市場の特徴は進化が早いことだ。そのため、グローバルなモバイル市場における事業戦略はスピード感が非常に重視される。市場分析についても、調査会社の定期レポートを購入するだけでは遅く、専門家のアドバイスやコンサルを適宜受けながら情報収集を行うスタイルが、グローバル企業のトレンドだという。(韓国、台湾、中国、その他アジア諸国を含め、以前より)このトレンドを実践するシンクタンクであるStrategy Analyticsのエグゼクティブディレクターであるニール・モーストン氏に、CDMAにおけるニーズの終焉、これより4G市場に入る国々、また、各領域におけるイマージング市場、LTE-Advancedやスマートフォン・タブレット動向、ウェアラブルコンピューティング、マイクロソフトによるノキアの買収、そしてソフトバンクによるスプリント買収の成否、ベライゾン社を含めその他企業の動きなど、取材時点(9月3日)でのこれからのモバイル市場動向について聞いた。

モバイルでの勝敗を決めるのは新興国市場(分野においては、インドネシア、バングラディッシュ、ブラジルも)

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Strategy Analytics
グローバルワイヤレスプラクティス
エグゼクティブディレクター
ニール・モーストン氏
 Strategy Analyticsは、グローバルな視点で、メディア市場、モバイル市場、オートモーティブ市場などについての情報収集、分析、コンサルティングを手掛けている企業だ。主な拠点をボストン、サンノゼ、ロンドン、パリ、ミュンヘン、東京、ソウル、北京などに持ち、現地の企業から直接得た情報を元に高度な分析を行っているという。 日本支社(東京都渋谷区恵比寿)における代表者として、コムスコア・ジャパン、IMSリサーチ・ジャパンなどの立ち上げを経た若林正規氏が国内事業の拡大にあたっている。

 そのサービス領域のうちモバイル分野では、従来の携帯電話を含めたワイヤレスデバイス戦略、スマートフォン戦略、タブレットデバイス戦略、オペレータ戦略、ウェアラブルデバイス戦略の5つに分けて分析を行っている。

 Strategy Analyticsでグローバルワイヤレスプラクティスのエグゼクティブディレクターをつとめるニール・モーストン氏は現在のモバイル市場について次のように切り出した。

「携帯電話やスマートフォンの市場をけん引しているのは、やはり中国。2013年第2四半期のグローバルでのスマートフォンの出荷台数は、米国や欧州がそれぞれ約2,500万台と同じレベルだが、中国はその2.5倍以上、およそ8,000万台に達する」

 同氏の予測によれば、2017年のスマートフォンの国別販売台数は、中国で3億3,000万台に達するという。この数字はグローバルでダントツの1位で あり、2位の米国の1億6,500万台を大きく引き離す規模だ。なお、3位はインドの1億台、4位はブラジルの5100万台、これに日本の4900万台が続く。

 モーストン氏は「主戦場が新興国となればさらなる価格競争圧力が高まる」と指摘。昨今では中国の地場のメーカーも善戦して低価格品でアップルやサムスンのシェアを奪っているという。さらにこれらの中国国内のメーカー数は大小合わせて500以上にものぼる。

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2017年の国別スマートフォン出荷台数
(Source:Strategy Analytics)


 新興国市場に主戦場が移りつつある中、マイクロソフトがノキアの携帯部門の買収を発表したが、これについてモーストン氏は「発表はネガティブ」と評価。 ソフトウェア会社のマイクロソフトがハードウェアに乗り出す難しさ、既存のハードウェアベンダーとのエコシステムへの影響を懸念した。

LTE-Advanced市場は日韓がけん引

 次世代の高速通信規格であるLTE-Advancedも業界で注目を集めている話題のひとつだろう。2013年6月に韓国のSKテレコムが世界で初めて このサービスを開始している。モーストン氏は、年末までに製品が出荷され、実際の市場が立ち上がるとみている。日本は2014年からサービスインといわれており、おそらく世界で2番目の商用サービスを展開する国となる。

「LTE-Advancedについては、日本のあと、米国、オーストリア、フィンランド、スウェーデンと続くだろう。2014年はこの市場が急速に発展するとみている。LTE-Advanced対応の端末も数年以内に1億台の規模に達する可能性もある。そして、当面韓国と日本がこの市場をリードする2強となっていくと思っている。デバイスメーカーとしては、サムスンを筆頭に、ソニー、富士通、シャープなどが挙げられる。当然、これにアップルも加わってくるはず」

 グローバルで1億台規模の市場に発展するというLTE-Advancedだが、2015年には、日本メーカーがそのうちの20%、およそ2,000万台を占めるとも予想している。2017年には、日本のLTE端末の販売台数は5,000万台に達し、内4,000万台がLTE-Advancedの端末になるだろうという。

 スマートフォン市場では、アップルとサムスンがシェアや売上高についてグローバルでの2強となっているが、来たるべきLTE-Advancedの市場において、先行する日本市場を持つ日本の企業がグローバルプレゼンスをどう回復していくのかが焦点となりそうだ。

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日本におけるLTEとLTE-Advancedの進捗度

【次ページ】ウェアラブルデバイスの広がりが異業種の参入を誘う

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