どうすれば、日本にシリコンバレーのような環境を作れるのか
ディスカッション冒頭、モデレータで日本経済新聞社 論説委員兼 産業部編集委員の関口 和一氏が、世界のIT、特にITベンチャーの現状を次のように説明した。
「最初のインターネット革命は、90年代後半に起きました。次にソーシャル革命が起き、これからは産業のインターネット化が始まろうとしています。こうした革命はシリコンバレーで始まり、それが日本にきて、アジアに広がっていきました。しかし、いまはほぼ世界同時多発的で起きています。日本はボーっとしていたら乗り遅れてしまいかねません。はたして日本は、どうすれば日本にシリコンバレーのような環境を作れるのか。パネリストの皆さんには、まずはそのあたりから伺いたいと思います」(関口氏)
パネルディスカッションは、関口氏のこの問いかけに対し、4名のパネリストが順番に答える形式でスタートした。
まずはアジアのシリコンバレーになること
三木谷氏■まず、我々が産業競争力会議で提出した「ベンチャー・イノベーション促進施策」の7項目を説明します。第1は法人税の引き下げです。欧米の実効税率は1桁、多いところでも10パーセント半ばです。これを少なくとも20パーセント前半までは引き下げてほしい。第2は規制の徹底的な見直しです。対面原則や書面交付原則などの見直しを要求しました。第3は起業文化の醸成ということで、国による勲章授与、報奨制度の設立を求めています。
第4は世界中から優秀な起業家、技術者と資金を集めるための施策の推進です。日本はアジアのシリコンバレーになることが重要です。現状はシンガポールに集まっていますので、日本で起業したい、日本に本社を移したいと思ってもらえるような施策が必要です。
第5はイノベーションを起こすための人材育成です。具体的には、プログラミング教育の強化、起業家教育の導入などを提案しました。第6は起業エコシステムを生み出すための環境整備です。アイデアを持っている若い技術者と経験豊富な経営者のコンビネーションの強化、上場株式と非上場株式の損益通算を可能にする制度の廃止の見直し等です。第7が、経営者の経営力の強化等のための環境整備です。
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