• 2014/12/08 掲載

IDC、2015年の世界ICT予測10項目発表 IoTの3分の1は産業特化型、中国支出が世界の43%

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IDC Japanは8日、2015年の世界ICT市場を特徴付ける技術や市場トレンド、ベンダーの動きなど主要10項目を発表した。これによると、IoT支出の3分の1は、産業特化型ソリューションのインテリジェント組み込みデバイスが占めるという。また、中国のICT支出は、世界ICT支出の成長の43%を占めるとした。
 IDCの発表によれば、2015年の10項目の予測すべてにおいて重要な役割を担っているのが、「モビリティ」「クラウド」「ビッグデータ」「ソーシャル技術」からなる“第3のプラットフォーム”への加速的な移行だ。発表した10項目は以下の通り。

  1. 世界ICT支出は前年比3.8%増、3兆8千億ドル。成長のほぼ全てが第3のプラットフォーム技術
  2. 通信サービス市場では、無線データ通信が最大の、かつ最速の成長領域になる
  3. スマートフォンとタブレットの売上は通信サービスを除くIT支出成長の40%を占める
  4. クラウドサービス支出は、1,180億ドル、2015年も引き続きICT市場をけん引
  5. ビッグデータ関連のソフトウェア、ハードウェア、ITサービスへの支出は1,250億ドルに拡大
  6. IoT支出の3分の1は、産業特化型ソリューションのインテリジェント組み込みデバイスが占める
  7. クラウドサービスプロバイダーが運営する「第3のプラットフォームデータセンター」が躍進
  8. 第3のプラットフォームが引き起こすあらゆる産業の変革や世代交代が、数多く表面化
  9. 第3のプラットフォームに最適化されたセキュリティソリューションが台頭
  10. 中国の影響が飛躍的に拡大。同国のICT支出は世界ICT支出成長の43%を占める

 米国IDC シニアバイスプレジデント兼チーフアナリストのフランク・ジェンス氏は次のように述べている。

 「IDCは『第3のプラットフォーム』を発表した2007年に、第3のプラットフォームがICT市場の成長の新たなコアになると予測した。2015年には第3のプラットフォームは世界のICT支出の3分の1、前年比成長の100%を占めている。ICT産業は現在、第3のプラットフォームの時代において最も重要な時期、すなわち『革新ステージ』に入ろうとしている。今後数年にわたり革新と価値創造の急速な拡大が第3のプラットフォームの基盤上で起こるであろう。新たなコア技術の到来がこのステージを牽引していく。これがイノベーションアクセラレーターとなり、第3のプラットフォームの機能と応用分野を全ての産業おいて大きく拡大させていくだろう」

 10項目の詳細は以下の通り。

 1.世界のICT支出:2015年の世界ICT支出は、前年比3.8%増となり3兆8千億ドルを超える。その成長のほぼ全てが第3のプラットフォームの技術に集中する。第2のプラットフォームにおける支出は、2015年末までに後退期を迎える。新興市場におけるICT支出は前年比7.1%増の一方、成熟市場では1.4%増に留まると予測する。

 2.通信サービス:通信サービス市場においては、無線データ通信が最大(5,360億ドル)かつ最高の成長率(13%増)のセグメントとして躍り出る。インフラストラクチャープロバイダーの範疇に取り残されないように、通信事業者は、先を争ってプラットフォームとネットワークに付加価値を与え、開発者の関心を引きつけるためにAPI(Application Programming Interface)ベースのサービスを開発する。さらに通信事業者は、革新的な性能と収益シェアの枠組みにより、OTT(over-the-top)クラウドサービスプロバイダーとの関係改善を模索することになる。

 3.モバイルデバイス&アプリケーション:モバイルデバイスとモバイルアプリケーションは、ここ数年に見られたような驚異的なペースではないものの2015年も急速な成長を維持する。スマートフォンとタブレットの売上は4,840億ドルに達し、通信サービスを除くIT支出全体の伸びの40%を占める。一方、中国ベンダーが世界市場で大きなシェアを獲得する。ウェアラブル端末には劇的な技術革新がもたらされるが、販売台数は伸び悩む。そして、モバイルアプリケーションのダウンロード数の増加は2015年に緩やかになるが、業務用モバイルアプリケーション開発は倍増する。

 4.クラウドサービス:クラウドサービスは、エコシステムを含む市場で1,180億ドルの支出を生みだし、2015年も引き続きICT市場で活性な動きをみせる。IaaS(Infrastructure as a Service)の導入が36%増と高い成長を維持するとともに市場をリードするAmazonは、「Amazonが編み出したアマゾニング」を企てるチャレンジャーによりあらゆる方向から攻撃の的になる。同様に、開発者やアプリケーションの関心を引こうと死闘を繰り広げるPaaS(Platform as a Service)プロバイダー間の競争の激化、SaaS(Software as a Service)ベンダーによるPaaSとクラウドの利用を加速させる動きが予測される。「クラウドにおいては市場機会を拡大するために、Facebookと、MicrosoftあるいはIBMとの提携、AmazonとHPの提携というような従前では考えにくい新しい形のパートナーシップが産まれることも見込まれる」とフランク・ジェンスは補足する。

 5.ビッグデータ:2015年はビッグデータおよびアナリティクスにとって重要な発展の年となる。ビッグデータに関連するソフトウェア、ハードウェアおよびITサービスへの全世界の支出は1,250億ドルに拡大する。リッチメディア(映像、音声、画像)アナリティクスは、ビッグデータ事業の有力な推進役となる。ビッグデータサプライチェーン(すなわちData as a Service)はクラウドのプラットフォームとして重要性が高まり、アナリティクスベンダーは顧客に対して、商用データおよびオープンデータからの付加価値情報を提供する。そのほか、IDCでは、認知学習と機会学習、およびIoT(Internet of Things)アナリティクスにおいて重大な新しい進展が起こるとみている。

 6.IoT(Internet of Things):IoTは第3のプラットフォーム時代におけるIT活用による価値の増大と拡張にとって最も重要なイノベーションアクセラレーターの一つである。ますます多くの自律的に接続される機器が発明され、第3のプラットフォームにおいて何千もの新しいソリューションが開発されるであろう。2015年におけるIoT支出の3分の1は、産業特化型ソリューション市場に参入しようとする大手IT企業との提携に助けられ、ICT産業以外のインテリジェント組み込みデバイスに集中する。故障予測診断がIoTソリューションの重要なカテゴリーとなる。

 7.第3のプラットフォームのデータセンター:データセンターは第3のプラットフォーム時代に根本的な変革を遂げようとしている。ベアなコンピューティング能力とストレージ容量の大部分はクラウドサービスプロバイダーにより運営され、クラウドやモバイル、ビッグデータに最適化された超大規模データセンターに移行する。このシフトは「クラウドファースト」なハードウェア革新の起爆剤となり、サーバー、ストレージ、ソフトウェアおよびネットワーク機器ベンダー間でのさらなる集約を促進する。IDCでは2015年に2~3件の大規模な企業合併、買収、または最大手のITベンダー同士の再編が起きると予測する。

 8.第3のプラットフォームの産業:第3のプラットフォームは、テクノロジー産業にとどまらず、地球上の全ての産業を変革している。IDCは、第3のプラットフォームの発展が引き起こす大きな世代交代が2015年に数々の産業で表面化するとみている。例として、金融サービスにおける決済ネットワークの代替、IoT技術の都市安全、公共事業、交通機関への拡大、そして小売業における位置情報サービスの拡大が挙げられる。特定産業特化型のクラウドベースのデータとITサービスのプラットフォームは、通常その産業のリーディングカンパニーによって生み出されるが、その数は急速に増加し、2015年に2倍になる。

 9.イノベーションアクセラレーター:IoTや認知学習と機械学習システムに加えて、2つのイノベーションアクセラレーターが2015年における重要な成長促進剤となる。「第3のプラットフォームに最適化された」セキュリティソリューションがモバイル端末上の生体認証機能などのクラウドエッジの保護とクラウド内の暗号化のデフォルト化によるクラウドコアの保護の助けになる。そして、脅威検出保護サービスがData as a Serviceにおけるキラーサービスとして登場し、個別ニーズに合わせた脅威情報の提供を受ける企業が急速に増加する。そのほか、3Dプリンティングでは、2016年に迫り来る業務向け市場および製造業向け市場の獲得に向けた闘いに備えて、既存のプリンターベンダーが顕著な動きをみせるであろう。

 10.中国の影響力:中国は2015年、世界ICT市場への影響力が留まるところを知らぬ勢いで増大する。中国のICT支出は、世界ICT支出の成長の43%を占め、世界のスマートフォンの3分の1は中国で購入され、そして世界のオンラインショッパーの約3分の1を占めるようになる。強大な国内マーケットを有する中国のクラウドおよび電子商取引のリーダー達(電子商取引のAlibaba、ソーシャルネットワーキングサービスのTencent、検索サービスのBaidu)はグローバル市場で存在感を示す。同様に、中国ブランドのスマートフォンベンダーが世界市場の3分の1以上を獲得する。

 フランク・ジェンス氏は「『2015年はICT産業において極めて重要な年になる』と言うと、あまりにも控えめなコメントになってしまう。数多くのベンダーの統合や脱落、呉越同舟のパートナーシップ、アプリケーション開発者やそのアプリの注目を集めるための死闘、増大する認知学習、機械学習とIoT関連製品、データサプライチェーンへの注目の高まり、そして、留まるところを知らぬ中国の影響力といった事象を通じて、我々は第3のプラットフォームがついには無視できない規模に達するのを見届けることになる」とコメントしている。

 今回の発表はIDCが発行したレポート「IDC Predictions 2015:Accelerating Innovation-and Growth-on the 3rd Platform」(IDC #252700)にその詳細が報告されている。本レポートの日本語訳版は、2015年1月に発行の予定という。

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