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  • 2015/09/30

DeNAライフサイエンスの「MYCODE」は、なぜ短期間でサービスインできたのか?

DeNAライフサイエンスは2014年8月、個人向け遺伝子検査サービス「MYCODE」という新規事業を開始した。遺伝子情報を取り扱う同サービスには、厳格なセキュリティはもちろんのこと、パーソナライズされた膨大な量コンテンツを効率的に管理する仕組みが求められていた。短期間でのサービスインを実現させるために、同社ではどのように開発プロジェクトを進めていったのだろうか。

新規事業「MYCODE」の立ち上げを支えたコンテンツ管理システム

 自分の疾患発症リスクや体質などを知ることができる遺伝子検査は、近年、解析機器の性能が上がり、検査費用が下がってきたため、今では数万円レベルで検査を受けることが可能になってきた。

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2015年8月27日には、がんに特化した項目を検査できる新メニュー「がんパック」が発売された「MYCODE(マイコード)」

 「MYCODE」は、DeNAライフサイエンスが提供する個人向けの遺伝子検査サービスだ。「Adobe Digital Marketing Symposium 2015」に登壇したDeNAライフサイエンス システムグループの泉 雄介氏は、MYCODEの特徴について次のように語る。

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DeNAライフサイエンス システムグループ 泉 雄介氏
「MYCODEでは、東大医科研とコラボし、日本人と関連性の高い疾患予測モデルを確立した。ユーザーは、キットが届き、唾液を入れて送ると、解析終了後にサイト上で検査結果が閲覧できる。解析したDNAの説明と遺伝的な疾患の発症リスクがわかるほか、疾患ごとの個別ページでは、疾患の詳しい説明や、専門家が監修した予防につながる運動、生活改善レシピなども閲覧可能だ」

 同サービスの開発プロジェクトにおいては、以下のような課題が存在していた。

・コンテンツ制作スピードの短縮
・サービスインまでの開発スピードの短縮
・セキュリティ要件

 MYCODEには、疾患や予防のためのアドバイスのページ内には280近い検査項目があり、それぞれにぶら下がるコンテンツがある。そのため、リリース時には1,500ページ近いコンテンツを作成する必要があった。画像もふんだんに使われており、アセットを効率的に管理する仕組みが必要だったという。

 またセキュリティ要件は、遺伝子情報は「究極の個人情報」とも言われており、その取扱いは万が一の間違いも許されないほどの厳しいレベルが要求される。

 ユーザーごとに動的に変化して表示されるコンテンツをパーソナライズするための仕組みとして、MYCODEには、アドビのAdobe Experience Manager(以下、AEM)が採用されている。AEMはJavaベースのコンテンツ管理システムで、ページの要素をモジュールとして共通化し、ページ作成の際に、共通化したモジュールを組み合わせることでページ作成が可能なCMS(コンテンツ管理システム)だ。

「今回の要件を満たすCMSとして、価格面を含め、AEMがもっとも総合的に優れていた。特に、オープンソースの技術を使っていたので、万が一の場合にソースコードが触れる点が、システム管理者として安心できる要素だった」

「協同作業性」によって短期間での開発が可能に

 システム選定後の開発プロジェクトのスケジュールは以下のように進んだ。2014年2月から7月が主な開発期間という短期間の開発スケジュールである。

2013年11月~12月:サイト設計の準備
2014年2月:開発者がプロジェクトに入り、要件と工数固め。並行して構築環境の整理
同3月:ファーストストーリー開始
同4月:コンテンツ制作を開始し、開発スピードアップ
同5月:開発が佳境を迎える
同6~7月:テスト
同8月:最終チェックを経て、8月12日にサービスイン

 プロジェクト体制は、コンテンツ制作に携わる人が20数名、システム開発は15〜20名と、総勢約40名のチームだ。

「各メンバーが効率的に作業を進められる仕組みを整備した。例えば、開発者は要件を拾い、サンドボックスと呼ばれる仮想的な環境で開発を進める。開発したコードはGitHubでマージされ、自動的に開発環境に最新版が反映される仕組みだ」

 また、システム全体が正しく動作するかどうかを検証するE2E(End to End)テストでは、ブラウザを使い、ログインや会員登録などの機能テストが並行して行われた。

「テストが終了後の内容は、QA(Quality Assurance)環境でオーサリングされ、パブリッシングサーバーに同期される。こうした一連の工程は、オープンソースの継続的なインテグレーションツール『Jenkins』で管理された」

 また、開発はアジャイル体制で進められ、以下のような水曜日から翌金曜日までの8営業日を1セットとした工程が、反復で24回ほど繰り返された。40名近いスタッフが並行して稼働できる体制を作ったことが、制作期間の短縮に大きく寄与したといえる。

水曜日:企画ミーティング(次週の作業内容の確認、調整を行う)
金曜日:計画(要件伝達や詳細調整、作業分解などを行う)
翌月曜日~木曜日:開発作業(この間開発スタッフはミーティングを入れない)
金曜日:レビュー、振り返り

 開発したページは、ユーザーインタビューなどを経て、改修されてバージョンアップしていく。この間、企画と開発の間で要件が変わっても、AEMはコンテンツとロジックが分離して設計されているので、コンテンツ制作者が混乱を来すことはなかったと泉氏は語る。

「例えば、『食道がん』の『がん』を『ガン』に変更することや、『遺伝子検査』なのか『DNA検査』なのか、用語やキーワードの揺らぎがある。また、サービス名がサービスイン直前まで決まらないこともある。こうした場合に、AEMは、マスターでいろんなページを変更でき、表記の置き換えの処理速度も早かったので助かった」(泉氏)

【次ページ】プロジェクト成功の背景にあった3つのポイント

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