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  • 2016/06/27

2700億のフォト・カメラ事業から撤退したコニカミノルタが、今ITの世界で躍進する理由

連載:「デジタル革新」実践企業のノウハウ

コニカミノルタは、2006年には当時2,700億円規模の売上があったフォト・カメラ事業を終了。現在はカメラ/写真用フィルム事業で培ったコア技術をベースに、情報機器や産業用光学システム、医療用画像診断システムなど、さまざまな分野で事業を展開している。デジタルトランスフォーメーションを成功させた企業の1つだが、その背景にはどのような決断や危機感があったのだろうか。執行役 事業開発本部長 情報機器事業 事業企画本部 副本部長 市村 雄二氏に話を聞いた。

(聞き手:アクト・コンサルティング 取締役 経営コンサルタント 野間 彰)



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コニカミノルタ 執行役 事業開発本部長
情報機器事業 事業企画本部 副本部長
市村 雄二氏

課題解決型のデジタルカンパニーへ変革するコニカミノルタ

野間氏:まずは、現在のITの状況をどう見られているか、といったあたりからお話を伺えますか。

市村氏:IT革命が起きてから、すでに25年~30年がたっていますが、いま起きているのはソフトウェアの急激な進化です。ハードウェアやネットワークは基本的にはムーアの法則でさらに進化していますが、ソフトウェアはそれに輪をかけて急激に進化しています。人工知能による処理、データアナリティクス、シミュレーションなどが、桁違いのスピード、桁違いの細かさで実行可能になり、これまで想像もできなかったことが可能になっています。

野間氏:その激しい変化の中で、コニカミノルタは、いかにして「デジタルトランスフォーメーション」された、あるいはされようとしているのでしょうか。

市村氏:デジタルがわかっている若手を集めて、アイデアコンテストを開催して……といったことはありがちですね。それはそれでいいのですが、その前に、デジタルトランスフォーメーションをどうとらえ、組織としてどう動いていくのかを、まず議論し、定義することが重要だと思います。それがないと、結局続きません。我々が議論し、判断軸としたのはそこに「社会価値があるか」です。どんなに優れた技術があっても社会に価値を提供できなければ意味がない。我々は、デジタルトランスフォーメーションを「社会価値のイノベーションを実現すること」と定義したのです。

 スタートアップの多くは、決して特別な技術を持っているわけではありませんが、ものすごいスピードで動きます。一人が多面的に、CIO、CTO、CFOをこなしながら走り回ります。なぜ、それほどのスピードを出せるのかというと、目的意識がはっきりしているからです。ですから、スピードを出すには、目的意識を明確にしなければならない。それが、当社には「社会価値のイノベーション」なのです。

 そして、これまで「B2B Customer」と表現していたビジネスを、「B2B2 Person」へとトランスフォームすることを目標としました。これは、我々が提供する社会価値を、お客様一人一人にとって意味があるものにすることであり、それによって課題解決型のデジタルカンパニーになると宣言したのです。

売上2,700億円規模のフォト・カメラ事業を終了し、「変革のDNA」が育つ

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アクト・コンサルティング
取締役 経営コンサルタント
野間 彰氏

野間氏:そのデジタルトランスフォーメーションの原動力となったのは、やはり経営層の危機感だったのでしょうか。

市村氏:2003年にコニカとミノルタが統合し、2006年には、当時、約2,700億円の売上があったフォト・カメラ事業を終了しました。約2,700億円の売上がなくなるわけですから、当然、そのインパクトは非常に大きいですが、そこをしっかり計画し、実行し、その後の成長を考えたわけです。その過程で、自分たちの事業ポートフォリオを大きく変えることへの抵抗感のようなものは薄まり、変革のDNAのようなものが育っていったのではないかと思います。私が入社したのは、フォト・カメラ事業を終了して数年たっていた時期でしたが、そういった状況がベースとしてありました。

野間氏:具体的に、どのようなアプローチで事業ポートフォリオを見直し、変革を実行されていったのでしょうか。

市村氏:従来のアプローチとITサービスを掛け合わせたハイブリッドアプローチをとりました。ICTサービス全体からみると、プリントのビジネスは2%程度です。その中でMFP注1ベンダーは必死に戦っています。それはそれで大切ですが、MFP市場の成長が止まる中、我々は、ITサービスを取り込んで、マーケットを広げる努力をずっとしてきました。それは、MFPを売るためのITサービスではなく、MFPとITサービスを掛け合わせて、お客様のワークフローを改革し、マーケットを周辺に拡大していくアプローチです。そうすると、オポチュニティがたくさん出てくるのです。

注1:Multi-functional peripheralsの略。1台でプリンタとスキャナ、コピー機、FAXなどの複数の機能を搭載した複合的な周辺機器のこと。

野間氏:「デジタルトランスフォーメーション」が流行っているからではなく、そもそも統合し、フォト・カメラ事業を終了したあたりから、大きな方向性が定まり、脈々と改革を続けてこられたわけですね。

【次ページ】 成熟企業の「印刷」でも、ITを掛け合わせると価値を生む

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