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  • 2016/10/28

イノベーション・ロジックとは何か? そのメリットと構築・明確化の方法

経営者の意向を超える企画提案の変革(3)

コンサルティング・プロモーションのコンセプトの一つであるイノベーション・ロジック(IL)は、リターンを生み出し、投資効果を高めるロジックだ。イノベーション・ロジックを明らかにすることで、業務とITの目指す姿、課題と対策が見通せること、イノベーション・ロジックは多様に存在すること、イノベーション・ロジックを明確にする上では「美辞麗句に惑わされない」行動規範が求められることを解説する。

データ総研 シニアコンサルタントマネージャ 大上 建

データ総研 シニアコンサルタントマネージャ 大上 建

システムコンサルティング会社を経て現職。製造・建設・サービス・情報サービスの業界を対象に,ITを伴う業務革新プロジェクトのシステム化計画,プロジェクト管理支援を行っている。また,企画提案方法論の教育・導入支援を得意分野とし,情報システム部門,情報システム子会社及びITベンダ向けには,企画提案力強化やPM力強化のための支援を行っている。
情報処理技術者試験委員。
株式会社データ総研
webサイト:http://www.drinet.co.jp/

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経営者は、戦略達成のための企画提案を待っている



イノベーション・ロジックはリターンを生み出し、投資効果を高める

 コンサルティング・プロモーションでは、システムの機能やツールを提案する前に、まずリターンを向上させるロジック(IL:イノベーション・ロジック)を提案する。

 イノベーション・ロジックは、例えば「各国の在庫偏在の是正による在庫と販売機会ロスの削減」のようなものである。グローバル展開しているコンシューマー製品のメーカーにおいて、在庫コントロールを各国の販売会社任せにしておくと、頑張って在庫コントロールをしていても、その是正はその国の販売会社の中でしか図られないので、在庫過剰や欠品による販売機会ロスを防ぎきれない。国をまたがった視点で見れば、ある国で在庫の山となっている製品が、他の国では欠品しているということがある。これをグローバルに在庫コントロールする機能を本国に設置し、ダイナミックに製品横持ちを指示して、在庫コントロールを行うことで、トータルな在庫の削減と、欠品による販売機会ロスを削減することができる。この事例を、ロジックを明確化するフレームワークで表現すると、図1のようになる。

図1■イノベーション・ロジック明確化のフレームワーク
IL:各国の在庫偏在の是正による在庫と販売機会ロスの削減
現状どのようにしているかそれによるロスはなにか
各国の製品在庫のコントロールは、各国の販売会社に任せており、国を超えた在庫コントロールはしていない。他国で余剰在庫となっている製品が、自国で欠品となり、販売機会ロスを起こす。逆に他国で不足している製品が、自国で余剰となっている。トータルで余剰在庫と販売機会ロスを減らせない。
これをどのように変えるかそれによるリターンは何か
各国の製品在庫の状況を、本国から監視し、偏在があればダイナミックに国を超えて在庫横持ちを指示して、偏在を解消する。上記ロスを削減し、トータル在庫の削減と販売機会ロスを削減できる。

イノベーション・ロジックを明らかにすることで、業務とITの目指す姿、課題と対策が見通せる

 企画提案において、いくらシステムの機能やツールを示しても、意思決定者は、それで何をやろうとしていて、どのような効果を生むのか理解することは難しい。企画提案の段階で、意思決定者に対する説明で、まず求められるのは、効果があるか、その効果をどのようにして得るのか、というシステム化の本質である。イノベーション・ロジックは、それらの本質を意思決定者に伝える上で、ITの知識を前提としない。イノベーション・ロジックをクリアカットに示すことで、企画提案は、意思決定者の意向を超えることができる。

 イノベーション・ロジックを確定できれば、これを実現するための業務とITの目指す姿(システムビジョン)を明確にできる。イノベーション・ロジック「各国の在庫偏在の是正による在庫と販売機会ロスの削減」について、業務とITの目指す姿(システムビジョン)を展開すると、図2のようになる。

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図2■イノベーション・ロジックから業務とITの目指す姿への展開

 業務とITの目指す姿が明確になれば、現状との比較や知見を基に、ビジョンを達成するための課題やリスクが見えてくる。さらに、その課題の対策、リスクのコントロール方法の創造もできる。

 イノベーション・ロジック「各国の在庫偏在の是正による在庫と販売機会ロスの削減」では、グローバルな関係部門で製品コードを統一する合意形成が必要となる。一般に、設計や生産のシステムでは、製品の中身が同じかを把握できるコードが存在するが、販売システムでは、仕向け先別に梱包が異なれば、製品コードが異なるので、コードだけからでは国を超えて横持ち可能な製品かどうか判別がつかない。さらに販売部門でコードの桁に意味をもたせるような運用や、販売の製品コードを前提とした部門システムを構築していることが多く、グローバルに統一された製品コードに切り替えると、さまざまな問題が噴出する可能性が高い。この課題に対しては、トップがリーダーシップを発揮して、トップダウンに製品コード統一を進める対策が想定できる。

 また、各国の販売会社からすると、値下げしてでも売り切るつもりでいた在庫を、本国から他国の販売会社に奪われる話が降ってくる訳だ。グローバルに見ればより多くの利潤を得られるところで販売するのは正しいが、販売会社にすれば売上や利益の目標、その評価を考えると不満がでる可能性が高い。この課題に対しても、トップダウンな方針は必要であるが、在庫横持ちに伴って業績目標や評価をどのようにするかのルール整備の対策が想定できる。

【次ページ】 「美辞麗句に惑わされない」ことがILの明確化において重要

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