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- 2017/05/16 掲載
野村克也氏がボヤく、「褒める上司」は信用できない
リーダーは自分自身を甘やかしてはいけない
この言葉は組織論の原則であり、野村氏が自らに言い聞かせてきたことである。
組織を伸ばそうとすれば、リーダー自らが成長していくしかない。感じる力を磨き、それをもとに考え、捕手として培った「観察力」「分析力」「洞察力」の向上に励む。ましてやプロの監督ともなれば、選手以上に厳しく己を律し、どんなときでも進歩しよう、向上しようという姿勢を見せなければならないという。
そのうえで野村氏は、リーダーがやってはならないことの1つに、「失敗したときに言い訳をしたり、その責任を選手や部下に押しつけてしまうこと」を挙げる。悲しいことに、野村氏は、こうしたリーダーを数多く見てきたそうだ。
自分自身を甘やかしているリーダーの下では、部下はリーダーと同じ性質の人間になっていくか、「この人についていっても、時間を浪費するだけだ」と諦め、去っていくかのどちらかしかない。
そこで野村氏は、「監督たるもの、すべてにおいて選手に負けてはいけない」と、一切の満足や妥協を排除し、新しい情報や知識を吸収して、ありとあらゆることのバージョンアップに努めた。
春季キャンプ中のミーティングでは新たに気づいたこと、考えたこと、学んだことを随所に織り込み、内容をバージョンアップしてきた。そうした姿勢は50代の頃のヤクルト時代、60代のときの阪神時代、70代の楽天時代と変わらず貫かれた。
リーダーは自分自身の失敗を棚に上げてはならない
だが、こうして自分を厳しく律していても、間違いを犯すことはある。自分が間違えたとき、野村氏は自らの非を皆の前で詫びていたという。野球に限らずどんな仕事においても、人間がやる以上、ミスは必ず起きる。若い人であれ、経験豊富なベテランであれ、組織を束ねるトップでさえ、間違いがあるのは仕方のないことかもしれないが、失敗から学びとって、次にどうつなげていくか。敗者になることを恐れずに、そこから学ぶという姿勢が大切だ。
【次ページ】自信のない上司ほど部下をほめる
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