- 2026/01/18 掲載
話し上手が「時間」を意識するワケ──あなたの評価を下げる“時間泥棒”というリスク
教育コンテンツ・プロデューサー/士教育 代表取締役。福岡県久留米市出身。東京大学大学院学際情報学府修了。業界最難関といわれている駿台予備学校の採用試験に当時最年少の25歳で合格。駿台時代に開発したオリジナル講座は3000人以上を動員する超人気講座となり、季節講習会の化学受講者数は予備校業界で日本一となる(映像講義除く)。2017年、駿台を退職し、予備校講師時代の経験を活かしたプレゼンテーション指導や、企業研修・人材育成プログラム・講座の開発、教材作成サポート、講師養成を請け負うサービスを開始。大企業から中小企業まで登壇オファーが殺到。受講アンケートでは満足度95%超。主な著書に、累計5万部を突破した『頭のいい説明は型で決まる』(PHP研究所)、電子含め5万部を突破した『説明組み立て図鑑』(SBクリエイティブ)などがある。
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説明がうまくない人の発言で起きる「奇妙なこと」
あなたがチームリーダーとして、メンバーに新しいプロジェクトの重要性を伝えようとしている場面を想像してみてください。「今回の新しいプロジェクトは、市場の動向や競合他社の動きも踏まえつつ、我々の部署が長年培ってきた技術力を最大限に活かしながら、会社全体の売上目標を達成するためにも、絶対に成功させなければならないと考えています」
一見すると、熱意のある立派な発言に聞こえます。しかし、聞き手の頭の中では、少し奇妙なことが起こっています。
この文の主語は「今回の新しいプロジェクトは」です。しかし、述語(文の結び)は「~と考えています」になっています。プロジェクトという「モノ」が、人間のように「考える」ことはありませんよね。
このような主語と述語の「ねじれ」は、話している途中で本来の主語を忘れ、いつの間にか「私は」という隠れた主語にすり替わってしまったことで起こります。聞き手は、この小さな違和感を無意識に感じ取り、「なんだか、すっと頭に入ってこないな」と感じてしまうのです。
では、説明がうまい人は、同じ内容をどう伝えるでしょうか。
「今回の新しいプロジェクトは、絶対に成功させなければなりません。なぜなら、このプロジェクトは、会社の売上目標を達成するための鍵だからです。そして私は、我々の部署が持つ技術力があれば、必ず成功できると考えています」
いかがでしょうか。後者の説明は、一文が短く、1つひとつの文の主語と述語が明確に対応しています。そのため、聞き手はストレスなく、内容を正確に理解できます。
聞き手の負担を軽減する、科学的に正しいアプローチとは
では、どうしたら、話しながら「主語と述語」を意識していけるのか。そのためには、2つのことを頭に置いてみてください。
1つ目は、「一文に込めるメッセージは、1つだけ」という、シンプルで強力な大原則を常に頭においておくことです。
1つのメッセージに対して、主語と述語は1つずつです。主語を話したら、次はその述語へと、自然と意識が向かいます。すると、一文ずつ落ち着いて話すことができるため、説明もわかりやすくなるのです。
主語と述語の距離は、離れれば離れるほど、理解がしづらくなります。
説明がうまい人は、常に自分が話した主語を頭の片隅におきながら、その主語に対応する述語は何かを意識しています。文の始まり(主語)と終わり(述語)が、決して離ればなれにならないように、細心の注意を払っているのです。
2つ目に意識していただきたいのは、「一文を、できるだけ短くする」というものです。具体的には、一文を60~80字程度に収めることを意識してみてください。
なぜなら、長い文章は、それだけで聞き手の脳に負担をかけます。主語や文脈を記憶しながら述語を待たなければならず、脳の記憶装置である「ワーキングメモリ」(Baddeley et al., 1974)を圧迫してしまうのです。一文を短くすることは、聞き手の認知的な負担を軽減する、科学的に正しいアプローチなのです。 【次ページ】説明がうまい人が極力避ける「あれ」「これ」「それ」
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