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- 2017/06/26 掲載
東名高速の衝突事故、東神観光バス「13時間の危機管理」から学ぶべきもの
東名高速のバス衝突事故、その原因と今後の対策は
6月10日、愛知県新城市の東名高速で起きた観光バスと乗用車の衝突事故の事件。ニュースなどで公開されたドライブレコーダーの映像をみると、観光バスのフロントガラスに乗用車が猛スピードで飛び込んでくるという、かなり衝撃的な映像だ。この事故に関して、自動車・土木業界の専門家の間ではさまざまな問題点が議論されている。たとえば、中央分離帯の構造に問題はなかったかという点だ。中央分離帯やガードレールには、事故が起こったときに対向車線への飛び出しを防ぐ役割があるが、今回その役割を果たせていれば、こうした事故は起こらなかったと主張する声もある。
しかし、山岳地帯が多い日本にはさまざまな地形に高速道路を作らなければならず、そうなると中央分離帯の設計や基準に制約が出てきてしまう。そこで、起きた事故や被害をいかに軽くするか、あるいはいかに早く回復できるようにするかだ。
約13時間での緊急リリース発表、迅速な車載動画の公開も見事
今回の事故から学ぶべきことは、東神観光バスが行った事故発生後の対応の適切さであろう。まず、同社では事件発生からおよそ13時間後に「本日の東名高速での弊社貸切観光バス事故に関するお詫びとお知らせ(第一報)」というリリースを出している。
見方によっては「13時間も経っている」と感じる方もいるかもしれないが、リリースの中にはバス出発から事故までの状況の説明や事故後の対応状況、ドライバーの点呼の状況・健康状態、車両の整備状況、さらには原因までが詳細に記載されている点は非常に評価できるポイントだ。
加えて、衝突時の様子はドライブレコーダーの映像として残されており、ドライブレコーダー動画及び事故現場写真をメディアに提供できる旨まで記載されている。短時間でここまで詳細に運行状況を整理できたのは、同社が導入していたクラウド対応の運行管理システムによるところが大きい。
【次ページ】東神観光バスの危機管理から学ぶべきもの
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