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- 2017/10/18 掲載
世界のCIO 3,160人に聞いて分かった「CIOの本質的な役割の変化」 米ガートナー調査
デジタル・ビジネスの広がりで加速するCIOの役割の変化
ガートナーのアナリストは、このサーベイで明らかになった結果を、米国フロリダ州オーランドで10月1日から5日に開催した『Gartner Symposium/ITxpo 2017』において発表した。2018年のガートナーCIOアジェンダ・サーベイでは、世界98か国のあらゆる主要業種より過去最高となる3,160人のCIOから回答を得ている。回答したCIOが所属する企業・機関の収益/公共分野の予算はおよそ13兆米ドル、IT予算の総額は2,770億米ドルに達する。本サーベイでは、回答者をデジタル化における先進企業、平均的企業、遅れた企業に分類している。サーベイ結果ではCIOの95%が、デジタル化によってCIOの職務が変化または大きく変革されると考えていることが明らかになっている。世界クラスのITデリバリ管理はCIOにとって従来の職務だが、この職務がCIOの時間に占める割合はますます少なくなるだろう。回答者は、CIOの職務における2つの最大の変革は、まず変化のリーダーになること、続けて今以上に大きく幅広い責任と能力を担うようになることであると回答している。CIOの職務が従来のITのデリバリを越えてビジネスの他の分野(イノベーションの管理や能力開発など)に広がることは避けられない。
ガートナーのバイス プレジデント 兼 最上級アナリストのアンディ・ラウゼル・ジョーンズ(Andy Rowsell-Jones)は次のように述べる。
「デジタル・ビジネスが広がり、インテリジェント・マシンや高度なアナリティクスなどの破壊的テクノロジーが普及するにつれて、CIOの役割は成長・発展しなければなりません。CIOにとってITのデリバリは依然として職務の一部ですが、これまで以上に幅広いビジネス目標を達成することが、いっそう重視されるようになっています」(ラウゼル・ジョーンズ氏)
サイバーセキュリティと人工知能がCIOの職務を変える
本サーベイではCIOの大多数が、テクノロジーのトレンド、特にサイバーセキュリティと人工知能(AI)によって、近い将来CIOの職務が大きく変化するであろうと述べている。サイバーセキュリティは2018年も引き続きグローバル規模の脅威であり続け、95%のCIOがサイバーセキュリティの脅威が高まり、自社に影響を与えるであろうと回答している。ラウゼル・ジョーンズ氏は「これらの懸念への対応としてデジタル・セキュリティがCIOにとって上位の課題となっている」と指摘する。
「回答者の35%が既に何らかのデジタル・セキュリティに投資し、それを展開しており、36%が何らかの形でデジタル・セキュリティを実装する計画段階にあると回答しています。加えて、自社にAIを導入するCIOの数も、ますます増えています。初期の導入において、AIは主にカスタマー・エクスペリエンスの向上や不正対策に使われています」(ラウゼル・ジョーンズ氏)
本サーベイにおいて、実装する上で最も問題のあるテクノロジーとしてCIOがトップに挙げたのはAIで、続けてデジタル・セキュリティ、モノのインターネット(IoT)が挙げられている。これらのテクノロジー、とりわけAIには、新しいスキルが必要であるにもかかわらず、その確保は困難であり、そこが一番の悩みの種である、と回答者は口をそろえて言及している。
CIOの最優先事項は「成長」、壁になるのは企業文化
ラウゼル・ジョーンズ氏は「CIOは、デジタルの実験段階からデジタルの拡大段階へ移行する途上にあります。ただし、初期のデジタル実験およびパイロット段階にあるCIOと、デジタルの拡大を実現したCIOとの間には壁が存在します」と解説した上で、この壁として最も大きな障害物は「おそらく企業文化」だと指摘した。
「CIOは現在の企業文化に基づく行動を把握し、将来に対するビジョンを明らかにする必要があります。これによって、現在の企業文化の強みを認識するとともに、文化面における変化を抜本的に行うのではなく、『組織の次のステージ』へ進むことと位置付けて徐々に行うようにする必要があります。その際、従業員のこれまでの貢献に敬意を表し、今後の変化に向けて共に進んでいくことを促さなければなりません」(ラウゼル・ジョーンズ氏)
【次ページ】 先進企業のCIOが、他のCIOよりも最長で「毎月4日」多くの時間を費やす職務とは?
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