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- 2017/12/12 掲載
国際ロボット展レポート、ファナック・安川・川崎重工・不二越は何を展示したのか
※この記事は後編です。
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ファナックが展示した圧巻の自動車リフト
同ブースの見どころは数多くあったが、やはり超大ロボットの「FANUC M-2000iA/1700L」が自動車をリフトする雄姿は圧巻の一言に尽きるだろう。この機種は、ワーク総重量が1700㎏まで対応する。車1台ならば余裕で持ち上げられる怪力だ。
リーチ4.7メートル、上下ストローク6.2メートルのロングアームを活かし、広い動作範囲で長尺物の建材などの搬送やリフターとして使用できる。アーム手首部はIP67相当の防塵・防滴性能があり、劣悪な環境下でも対応できる。
またロボットが減速する際の余剰エネルギーを回収し、電源パワーとして戻す電源回生機能もオプションで付けられるため、消費電力の節約にもなるだろう。同社のビジョンセンサー「iRVision」と組み合わせれば、知能化ロボットを実現することも可能だ。
ロボットアームは、たいていの場合、6軸が標準だ。それ以上の軸数にすると、制御も途端に面倒になるからだ。しかし、実際には6軸だけでは対応が難しい作業もある。同社のブースでは、新製品の7軸アームの「FANUC R-1000iA/120F-7B」と、6軸の「FANUC R-2000iC/165F」を組み合わせ、省スペースな溶接システムのデモを実施していた。
これまで通常の6軸では届かない範囲にあったスポット打点を、7軸にすると十分に届くようになることを示した。このほか、無線式の加速度センサーを使い、学習制振制御による高速なスポット動作や、非常停止機能のスムース・ストップ機能なども実演した。
キズの発見にAI活用が可能に
産業用ロボットへのAI適用も進んでいるようだ。2016年、同社はバラ積みされた対象ワークの取り出しやすさをAIによって判断し、最適なアームの軌道アプローチを計算して取り出すデモを公開していた。今回は、新たなコンセプトとして深層学習キズ検査のデモを行った。カメラ画像からキズを正確に発見するためには、どんなキズかを定義しなければならない。しかし、キズのバリエーションが多すぎるため、従来はなかなか上手くいかなかった。コンセプト展示では、ディープラーニングを活用したモデルから、多様なキズを検出し、その良否を判別していた。抽象的なキズの特徴量を取り出しているため、未定義のパターンでもキズと判断できる。
実際のデモでは「FANUC CR-7iA」がスマートフォンの画面保護カバーを把持しながら、固定カメラで全周を撮影。ある閾値を超えたものをキズとして判定していた。将来的に、人が目視検査していた工程をロボットに置き換え、少人数化したいという。
フルカバーロボットによる「知能化バリ取りシステム」も注目を浴びていた。ここでは「FUNAC Robot M-20iB/35S」が鋳物のバリを自動で取るデモが行われていた。ビジョンセンサのiRVisionを利用し、鋳物の稜線を検出。これにより、ワークを正確な位置に固定しなくても、バリ取りの位置がわかる。さらにハンドの根元に付けられた力覚センサー「FS-40iA」を使い、アームの押しつけ力(5N)を一定に保ちながら、正確にバリを取れるようになったそうだ。
このほか、ロボットによる部品洗浄も興味を引く内容だった。IP67(防水・防塵)の優れた耐環境性を持ち、ロボット本体をむき出しにしたままで、部品を洗浄できるようになった。新製品の「FANUC Robot R-200ic/210WE」で高圧洗浄液をワークに噴射し、「LR Mate 200iD/7WP」が洗浄後のワークをエアブローするという迫力のデモが行われた。
【次ページ】安川、川重、ダイヘン、不二越、日本を代表するロボットメーカーは何を展示?
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