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  • 2018/07/10

農業ロボットはどう役立つ?現状と課題、最新事例を整理する (2/2)

連載:世界のロボット新製品

超精密農業を実現する農薬散布ロボット

 スイスのecoRobotixが開発したのが、Autonomous Weeding Robotだ。このロボットは、噴霧器を備えたロボットアームと2種類の除草剤用タンクを搭載し、必要な場所に必要な量だけ噴霧することで、除草剤を1/20にすることが可能になっている。いわゆる「超精密農業」を実現するロボットだ。

 動力もエコで、太陽電池を使用し、無人で最大12時間まで動作可能。ステアリングと検出のためのカメラを搭載し、GPSとセンサーでナビゲーションする。また、スマホやタブレットで操作することもできる。

 省力化だけでなく減農薬も実現するというコンセプトが非常に面白い。センシングとロボット技術の組み合わせによって、人力ではできない作業も実現可能とした。



高級イチゴを傷付けずに収穫するロボット

 宇都宮大学発のベンチャーである、アイ・イートが開発したのが、「自走式イチゴ収穫ロボット」。

 センサーを使って完熟したイチゴを検知しながら、イチゴのヘタの先に付いている茎のような果柄(かへい)と呼ばれる部分を切り取って収穫することができる。

 その後、一切、果実の部分を触れずに、ロボットのアームは果柄だけをつまんで切断し、そのままつまんだ状態でロボットの格納部分にイチゴを運ぶ。

 さらに、格納部分には、「フレシェル」と呼ばれる同社が開発した格納容器とも連動可能。ロボットは収穫したイチゴをここに装着する。結果、収穫から装着までの間、アームはイチゴの本体にはまったく触れず、ダメージを与えない。そのため、高級イチゴとして流通可能なのだ。

 この技術が評価され、このロボットは2016年の第七回ロボット大賞(文部科学大臣賞)を受賞している。



畜舎洗浄ロボットの遠隔操作が可能に

 大正時代に創業した、畜産向け機器メーカーの中嶋製作所が導入している「クレバークリーナー」。

 この「クレバークリーナー」は、スウェーデンのRamsta Robotics社が開発した機器で、中嶋製作所は「クレバークリーナー」の日本ローカライズと、販売・保守を行っている。

 クレバークリーナーは、高圧洗浄機を使用して畜舎内を自動で洗浄できるロボットだ。手前味噌ではあるが、筆者が所属するアスラテック社が開発した遠隔操作システムを2018年5月に導入した。それ以前は、あらかじめ記憶させた動作による自動運転や、有線コントローラーによる操縦に対応していた。

この遠隔操作システムにより、畜舎から離れた場所にいるオペレーターがカメラの映像を確認しながら遠隔操作することも可能となった。

 畜産の世界では、防疫に細心の注意を払う。一度畜舎に入ると、着替えとシャワーが必要の場合や、他の畜舎に一定期間の立ち入りができないという制限があることもある。そのような課題が遠隔操作では発生しない。


レタス栽培をほぼ全自動化

 京都のベンチャー企業、スプレッドが京都府木津川市に構築したのが、「テクノファームけいはんな」だ。レタスなどの葉物野菜を、ロボットなどによりほぼ全自動で栽培できる植物生産工場である。同社が運営する京都府亀山市プラントでは、すでに2万1000株/日の生産を実現しているという。

 ロボット技術を結集させ、今まで人が行っていた苗の植え替え、パネル運搬を自動化や、栽培棟内を無人化に成功。結果、細菌数の増加、異物混入のリスクの低減につながっている。

 他にも、水のリサイクルも徹底し、いままでの栽培方式に比べて、水資源を1%程度の利用で栽培に成功しているという。

 工業製品だけでなく、農業にもロボット技術を用いた、生産革命が起き始めている貴重な事例と言える。



ロボット化推進では非常に課題の多い分野

 今回、農業分野におけるロボット化の状況をまとめたが、やはりまだ非常に課題の多い分野だ。

・工業製品のように画一ではないものを扱う
・扱う農作物の範囲が多岐
・従事者の高齢化ゆえに、ロボットも簡単でなければならない
・小規模な農家が多い


 事例で紹介したテクノファームは、レタスのみを扱い、企業体で開発・運営、そして 大規模プラントという、上記の問題の多くを回避した事例とも言える。ただ、やはりこのように、すべての課題を回避できるケースを見つけるのは、なかなか難しいもの。

 しかし一方で、農業従事者の高齢化は年々進む。残された時間は少ない。抜本的な解決を含め、ロボット化でやるべきことが多い分野と言える。

(執筆協力:菅沼 美和、水口キリコ、大西いづみ)

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