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矢野経済研究所は、日本国内におけるスマート農業の市場調査の結果を発表した。2017年度ごろまでは農業クラウドや畜産向け生産支援などの「栽培支援ソリューション」がけん引し、2018年度以降は「販売支援ソリューション」や気象予測と連携した「経営支援ソリューション」が拡大する見通しという。この調査は7~9月に、スマート農業参入事業者や農業法人などを対象にしている。
スマート農業のソリューション分野別定義
スマート農業とは、「従来からの農業技術と情報通信技術を連携させることで、さらなる生産の効率化や農作物の高付加価値化を目指すもの」を指すという。
また、農林水産省の活力創造プランでは、「異業種連携による他業種に蓄積された技術・知見の活用、ロボット技術やICTを活用したスマート農業の推進、新たな品種や技術の開発・普及、知的財産の総合的な活用、生産・流通システムの高度化などにより、農業にイノベーションを起こす」という。
同社では、スマート農業市場を「栽培支援(農業クラウド、複合環境制御装置、畜産向け生産支援ソリューション)」「販売支援」「経営支援」「精密農業(GPS ガイダンスシステム、自動操舵装置、車両型ロボットシステム)」「農業用ロボット」の5つの分野に分類。
国内市場を対象とし、市場規模には農業向けPOSシステム、農機などのハードウェア、農業用ドローンなどは含まれていない。
スマート農業の国内市場規模は2023年度に約3倍へ
調査結果によると、2016年度のスマート農業の国内市場規模は、前年度比107.2%の104億2,000万円。2017年度は120億5,000万円(前年度比115.6%)、2023年度には、2016年度比で約3倍となる333億3,900万円まで拡大すると予測している。
スマート農業国内市場は、2017年度頃までは農業クラウド・複合環境制御装置・畜産向け生産支援ソリューションなどの「栽培支援ソリューション」がけん引し、2018年度以降は「販売支援ソリューション」や気象予測と連携した「経営支援ソリューション」が拡大する見通し。
また、2018年度から農機の無人運転を実現するシステム(精密農業)が登場すると見られ、「精密農業」市場の拡大を予測している(図1)。
一方で、スマート農業の普及には、農業機械における情報通信プロトコルの共通化と標準化が重要となり、「農業データ連携基盤」と「準天頂衛星システム」により、状況は大きく変わりつつある。
2017年度から立ち上っている「農業データ連携基盤」は、内閣府戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)として開発が進められているもので、さまざまなデータを共有、活用できる。これにより、スマート農業に関するあらゆるデータの共有化が進展している。
準天頂衛星システムは、2018年度には4機体制になり、誤差数センチメートルの高精度の測位情報が入手可能になる。測位情報は、他の衛星の画像、気象、地形、地質などの多様なデータと組み合わせることで使い道が広がる。
さらに農業は、栽培品目や地域性によって状況が大きく異なるため、それぞれの企業が持っている技術や強みを生かした連携が必要とした。今後は、スマート農業参入事業者、農業資材メーカー(種苗会社、農薬メーカー、肥料メーカーなど)、農業とは関連のない異業種企業の連携が重要になるという。
その結果として、国内農業が現在抱えている課題を解決し、今後急速に拡大する世界の食市場を日本版スマート農業の力で取り込むことができるとした。
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