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  • 2019/03/29 掲載

ひろゆき氏が予測する日本の未来、「給料は上がらないがブラック企業は淘汰される」

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AI技術の発展や、海外から日本へやってくる人件費の安い労働者たちによって、今この国に存在するホワイトカラー的な職業は代替されていくだろう。とはいえ、目指す人の少ないスキルは、難易度が高いのですぐに身につけることは難しい。2ちゃんねる開設者・ひろゆき氏は「これからの時代に生き残るのは、『目に見えるスキル』をたくさん持った超優秀な人ではなく、そこそこ仕事ができて周りに気に入られる、メンタルスキルに秀でた人です」と語る。来るべきAI時代に備えて、ひろゆき氏が提案する、個人の生存戦略とは何か。

執筆:ひろゆき(西村博之)

執筆:ひろゆき(西村博之)

本名・西村博之。1976年、神奈川県生まれ。東京都に移り、中央大学へと進学。 在学中に、アメリカのアーカンソー州に留学。1999年にインターネットの匿名 掲示板「2ちゃんねる」を開設し、管理人になる。東京プラス株式会社代表取締 役、有限会社未来検索ブラジル取締役など、多くの企業に携わり、企画立案や サービス運営、プログラマーとしても活躍する。2005年に株式会社ニワンゴ取 締役管理人に就任。2006年、「ニコニコ動画」を開始し、大反響を呼ぶ。2009年「2ちゃんねる」の譲渡を発表。2015年に英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人に。 主な著書に『論破力』(朝日新聞出版)、『無敵の思考』『働き方完全無双』(大和 書房)、堀江貴文氏との共著『ホリエモン×ひろゆき やっぱりヘンだよね』(集 英社)などがある。

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ひろゆき氏
(撮影:稲垣純也)


なくなる仕事、沈む産業

 日本は少子高齢化が進んで人口が減っていくわけですから、どうしても日本人を対象にしたビジネスは縮小していかざるをえない。今経営状態がよいといわれる新興企業にしても、正直いってその成長が今後も続くと僕には思えないんです。

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 たとえば、スマホ用ソシャゲを大ヒットさせた企業は、すごく利益率が高くなります。スマホ用ゲームアプリ自体は世界的な市場になっていますが、ガチャで課金するソシャゲなどというのは、世界的に見れば大して評価されていません。

 ある調査会社のレポートによると、2012年から2017年のiOS( iPhoneやiPad )用App Storeでアプリ課金が世界一だったのは日本だそうです。2位のオーストラリアと3位のアメリカ合衆国を合わせても、日本のアプリ課金のほうが多い。どんなアプリに課金しているのかといえば、ソシャゲのガチャということになるでしょう。ほかの国でもガチャで課金させるアプリはありますが、欧米、それに中国で規制強化が進んでいます。

 日本で儲けているソシャゲの会社というのは、結局のところ、日本国内のオタク層からお金を搾り取っているだけなんじゃないですかね。日本国内でぐるぐるお金を回していて一見すると景気がよさそうに見えるけれど、人口が減って規制も厳しくなればこういうビジネスはすぐ頭打ちになってしまいます。

 日本企業がきちんと儲けるなら、外国にモノやサービスを売って稼がないといけないはずなんですが、そういう企業はなかなか増えてこないです。2010年代以降、手軽に飛ばせるドローンが注目を集めるようになってきました。昔のラジコンヘリは飛ばすのが難しいけっこうマニアックな趣味でしたが、スマホ技術の応用で作られたドローンは誰でも簡単に飛ばすことができ、世界的に普及が進みました。

 ところが日本では、ドローンが首相官邸に落下したりとか、祭などのイベントで衝突事故が起こったりしたことがきっかけになって、ドローンを規制しようという動きが進み、2015年には改正航空法が施行されてしまいました。これによって、その辺の公園や河原で気軽にドローンを飛ばして遊ぶことができなくなり、生まれかけていたドローン産業も消えてしまいました。

 この間、アメリカや中国ではスタートアップ企業が次々にドローンの開発を手がけるようになり、ドローンは世界的な産業に急成長していきました。たんにホビー用ドローンを販売するだけでなく、ドローンによる無人配送だとか、人の乗れるドローンを使った空飛ぶタクシーだとか、まったく新しい産業が生まれていったわけです。業界最大手の中国ドローンメーカー、DJIは企業価値が800億ドルといわれていますからね。

 ドローンが登場する前、ラジコンヘリの世界シェアを握っていたのは日本のメーカーでしたから、ドローン規制がなければ、もうちょっと日本企業も世界で活躍できていたかもしれないんですけど。ドローンにかぎらず、将来の産業の芽を摘み取ってしまうようなことばかり、日本は繰り返していますね。外国にモノを売れる会社が増えませんから、日本の産業の競争力は次第に低下していくことになります。

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日本ではどのような産業が残るのか(写真はイメージ)
(© JEGAS RA - Fotolia)

これからの日本で生き残る産業とは

 いろんな産業があまりうまくいかないという状態が続いたあと、最終的に残るのは「観光」でしょう。ポジティブな選択をして観光産業が栄えるのではなく、ほかの産業が消えていった結果、消去法で観光が残るというだけの話ですがね。日本は独自の文化と歴史が蓄積されていますから、観光地としての魅力は持ち続けるはずです。

 海外で稼ぐ産業が増えないから、日本円の価値は下がり続ける。日本に住んでいる人が海外のモノを買おうとすると今より負担が増えることになりますが、逆に海外からやって来る観光客にとってはありがたい。日本円が安くなれば、同じだけのお金でたくさん買い物できるわけですからね。

 世界的に見れば、今でも日本は観光地としておトクです。治安のよさは世界一だし、食事もうまくて安い。東南アジアの屋台を除けば、日本のレストランは世界トップレベルの安さだと思います。独自の文化があり、治安がよく、食事がおいしくて、しかも安い。観光地としては最強ですから、外国から日本にやって来る観光客は間違いなくこれからも増え続けるでしょうね。

 同じようなパターンをたどっている国として挙げられるのは、ギリシアやスペイン、イタリアです。あの辺の国は、観光以外には大した産業もなく(スペインのファッションブランド「ZARA」くらいでしょうか)、失業率はずっと高いままです。

 だけど、観光地としての魅力はトップクラスで、世界中から観光客がやってきています。これらの国は、経済的にはパッとしませんが、国民みんなが不幸のどん底にいるというわけではありません。2018年度の世界幸福度ランキングでは、スペインやイタリアは日本を上回っていますからね(経済危機の瀬戸際にずっといるギリシアは、さすがに日本を下回っていますが)。自殺率は、3カ国とも日本よりずっと低い。今後、20、30年のスパンで日本は衰退していきますが、最悪レベルでもスペインやイタリア、ギリシアよりはけっこういい状況にあるんじゃないでしょうか。

【次ページ】優秀でない人をこき使ってそこそこの利益を目指す

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