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- 2019/03/26 掲載
ひろゆき氏が主張、AI時代は「正しさ」より「もっともらしさ」のほうが役に立つ
「人」を相手に「モノ」を売る仕事は淘汰されない
銀行や保険といった金融業界でも、リストラが本格化してきました。かつて、安定した職場として就職したい企業ランキングでも上位だったメガバンクも、数千~数万人規模の人員削減を計画しています。保険会社、たとえば富国生命保険も給付金を査定する部署の人員を3割削減しました。ちなみに、富国生命はIBMのWatsonを導入して査定業務を効率化したそうです。
残る仕事、消える仕事ランキングみたいな記事もよく見かけます。こういう記事では、人間に残るのはクリエイティビティだとか、人間を相手にした仕事は人間にしかできないと書かれていたりします。
そんな中で、僕がこれからも残ると考えている人間の仕事は、「営業」です。コンピューターを使って数字をいじくるデスクワーク系の仕事は全部なくなりますが、人間相手にモノを売る仕事はなくならないんじゃないでしょうか。
「営業」と聞くと、そのワードからにじみ出る体育会系感だけで、苦手意識がわいてくる人もいるかもしれません。「ノルマ」「飛び込み」「接待」などなど。内向的な人にとって営業にはネガティブなイメージがつきまとうでしょう。知らない会社に出向き、名刺交換して、頭を下げて商品を売り込む。あるいは、ある地域の家のインターホンを片っ端から押して、飛び込みで営業をする。勧誘電話をかけまくる。こういうのって営業部門で働いたことのない人にとってはかなり敷居が高く感じられるでしょう。
でもそれは営業を狭く考えすぎています。人間相手に何かを売る行為は、すべて「営業」です。だいたい、飛び込み営業や勧誘電話を受けて、実際にモノを買ったことがある人なんてもういないんじゃないですかね。
たとえば、ブログに記事を掲載して、そこにアフィリエイト広告を貼るのも営業です。BtoC、個人を対象にした記事という商品を用意し、広告によって収益化を図っているんですから。営業部門のサラリーパーソンは自社製品を売るのが仕事ですが、方法は問屋や小売店を回って頭を下げるだけではありません。Amazonのレビューやブログ記事を書きまくって、製品をアピールするのも立派な営業行為。どういうやり方であれ、結果として売上が上がれば営業の成果があったということになるわけです。「人に愛想よく挨拶するなんて自分にはできない」と思っているのであれば、人に会わずに営業して売上を増やす方法を考えましょう。
「売り方」ではなく 「買われ方」から考えてみる
では、営業能力を高めるためには、どうすればいいのでしょうか。売り手の立場から「どうやって売るか」を考え抜くというのは1つのやり方ですが、僕は買い手の立場から考えたほうがラクだと思います。たとえば、あなたがコンビニでお茶を買うとしましょう。商品を選んで手に取りレジに持っていくわけですが、この時「なぜその商品を手に取ったか」を意識するようにします。
棚には、「お~いお茶」や「綾鷹」などいろんな銘柄のお茶があったのに、なぜ自分はその中から1つ選んだのか。商品名の語呂が気に入ったのか、パッケージの色が気に入ったのか、CMが印象に残っていたのか。ネット通販でモノを買う時もそうですね。Amazonや楽天のレビューや広告、ブログなどの記事を見て買うかどうか決めると思いますけど、自分が見た情報のうち「刺さった」のは何かを考えてみましょう。あなたに刺さったキャッチコピーや記事の書き方を真似して、ブログやレビューを書けば、少なくともあなたと同じような感性を持った人に刺さる可能性は高いわけですね。
もしあなたが 20代男性でひとり暮らし、年収400万円であれば、同じような生活をしている人がどんな生活をしているのか、頭の中でシミュレーションしてみましょう。同じような人はけっこういるでしょうから、うまくいけばそれなりのマーケットになるでしょう。僕の場合は、趣味嗜好がすごくニッチだったりするので、この方法は使えないんですけどね。「超面白い!」と僕がハマるゲームはたいてい続編が出ませんし、コンビニで気に入った商品はすぐ店頭から消えてしまうので……。まあそれはともかく、自分の担当する商品を魅力的にアピールする営業能力はどんな会社でも役に立ちますし、商品企画にも使えますよ。
「営業」では、ほんのちょっとだけ人と違うことをしてみると効果的です。たとえば、メールでのやり取り。今はメールでやり取りするのが普通になりましたから、誰かからメールが来たところで印象に残りません。であれば、あえて万年筆で直筆した手紙を送ってみる。今時、直筆の手紙を受け取れば、誰でも「おっ」と感じるはずです。その手紙自体は放置されてしまうかもしれませんが、メールよりは受取人の記憶に残りやすいでしょう。
別の機会で、その人に出会うことがあれば、「昔手紙を送った者です」と言ってみれば、「ああ、あの時の!」ということになって、会話のきっかけになるかもしれません。べつに手紙は直筆でなければいけないということではないですよ。ほかの人がやらないことをやると印象に残りやすい、そういう差別化を行うのが営業の本質ということなのですよ。
こんなふうに「営業」というのはとても幅広い概念なんですけど、どうしても体育会系的なイメージがつきまといますね。何か適当な別の言葉に置き換えたほうがいいんじゃね?とすら僕は思っています。
前項でお話しした「営業」の話とも通じるのですが、これからの時代は「それっぽいことが言える」スキルは身につけておいたほうがいいでしょう。「それっぽいことを言う」は、口からでまかせとはちょっと違います。いかに相手に「もっともらしい」と思ってもらえるロジックを考えられるか、ということなのですよ。
【次ページ】勝負を決めるのは「正しさ」よりも「説得力」
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