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  • 2019/11/04 掲載

【実践】データ収益化の方法とは?3つの戦略と事例で徹底解説

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近年、データを活用した価値創出に多くの企業が関心を寄せている。データをビジネスに活かす際によく耳にするのは、コスト削減に関する取り組みである。しかし、データを活用して新たなビジネスを創出する、もしくは既存のビジネスの売り上げ・収益を向上させる取り組みができている企業は少ない。今回は、経営戦略と新たな収益源の創出という切り口から、企業がとりうる3つのデータ・マネタイゼーション戦略について、実例とともに紹介する。

フロスト&サリバン ジャパン 伊藤 祐、陳 宇鴻(執筆アシスタント)

フロスト&サリバン ジャパン 伊藤 祐、陳 宇鴻(執筆アシスタント)

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データは集めるだけではなく、活用して収益につなげなければならない
(Photo/Getty Images)

マネタイゼーション戦略1:製品・サービスの個別最適化

 データ駆動型の製品設計・開発は、データ・マネタイゼーションの手法として多くの企業で導入され始めている。とりわけ、近年のトレンドである「One to One」がこの流れを加速させている。

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 「One to One」とは、個々の顧客の嗜好に合わせてサービスや製品を最適化させるマーケティング戦略である。今では多くの企業が製品の使用状況をデータ化し、顧客の期待と製品機能の整合性を確保することで、よりパーソナライズされた顧客体験(ユーザーエクスペリエンス)を提供しようと試みている。

 John Deereが良い例だ。この会社は約180年前に農業機器の製造メーカーとして設立され、現在ではデータ駆動型のソリューションサービスの開発に力を入れている。

 同社では、農業機器向けに予測保守サービス、GPS追跡、マッピング・フリート管理機能などをアドオンサービスとして提供している。農業機器を購入後、顧客が自己のニーズに合わせてサービスを追加的に導入できるのである。

 顧客によって農作業のスタイルや畑の規模・性質は異なる。そのため、必要最低限の機能を備えた農業機器を販売した上で、顧客に現場の判断でサービスを自由にカスタマイズしてもらうのが、本サービスの狙いである。

 その代表例が「Farm Sight」というソリューションである。このソリューションは、農業機器からのセンサーデータとモバイルネットワークを使用し、各農業機器/車両の分散制御を行って、ロジスティクスや電力の最適化を実現する。

 各農地のローカルデータに加えて、John Deereの農業関連のビックデータや統計データにもアクセスできるのが、このソリューションの強みである。これにより、それぞれの農地の気候や地質、農作業の進行状況を考慮しながら、農業機器の設定変更や保守作業をベストなタイミングで実行できる。Farm Sightは、大規模農業が盛んな米国やオーストラリアなどで特に重宝されている。

 John Deereは、データを介してエンドユーザーとの関係を中長期的なパートナーシップへと変化させた。「買ったら終わり」の一回限りの関係ではなく、エンドユーザーの需要に合わせたアップセルが可能になったのである。

 この例のように、データを活用した個別最適化を中心に置いたビジネス展開は、企業のトップラインを向上させるのに非常に有効である。

マネタイゼーション戦略2:既存市場でのシェア拡大

 次に紹介するデータ・マネタイゼーションの手法は、既存市場におけるシェア拡大のためのデータ活用だ。ここでは2つのアプローチを紹介したい。

 最初のアプローチは、リードジェネレーションである。リード(見込み客)とは、自社製品やサービスの顧客・利用者となる見込みのある消費者のことを指す。近年、リードジェネレーションへのデータ利用が活発化している。たとえば、消費者行動データの分析によって、適切なリード(見込み客)層の発見・創出が多く試みられている。

 有名なのはTableauだ。同社のダッシュボードは複数のデータを集約して視覚化し、データごとの関連性を描き出す。このサービスを利用することで、同社の顧客はデータサイエンスのバックグラウンドがなくても、視覚化されたボード上で売上に直結するデータポイント(例:消費者の各種行動データ)を直感的に理解し、潜在的な販売機会を発見することができる。

 また、2つ目のアプローチであるサプライチェーンの最適化もこのくくりで考えられる。サプライチェーン最適化とは、商品が生産者から消費者に届くまでの流れを1つの鎖と捉え、その鎖の全体最適化を目指すことを指す。これまでも研究が進んでいる分野ではあるが、データを活用して、その最適化レベルをさらに上げた会社も存在する。

 例として挙げられるのが、ドイツの国際輸送物流会社 DHLである。同社は2014年にサプライチェーンの視覚化ツール RESILIENCE360を立ち上げた。これは、関連する船舶の位置データや推定到着時間(ETA)データを元に運搬物の到着を予測し、サプライチェーン全体を最適化する。

 また、日々の気候データや企業データ、金融データなどをモニターし、サプライチェーンの潜在的な大小のリスクも特定可能だ。たとえば、化学産業に欠かせないソーダ灰供給元の一部工場の稼働停止が予想される際には、稼働停止に至るまでの生産推移およびこれら原材料不足が市場に与える影響を、詳細な定量的レポートにまとめて報告してくれる。

 既存市場での競争優位性を保つためのデリバリースピード向上のため、DHLのようなパートナーを欲している企業は、今後も増えていくだろう。

【次ページ】マネタイゼーション戦略3:新規市場への参入機会獲得

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