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  • 2019/12/27 掲載

従業員の「駆け込み退職」や「退職代行」、企業はどう対応すべきか?

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「辞めたくても辞められない」人向けに提供される「退職代行サービス」に注目が集まっている。「年内に今の会社を辞めて、スッキリと新年を迎えたい」と考える人が多いのか、「年末に向けて、退職代行サービスの利用者が増加しています」と語るのは『退職代行』を上梓した弁護士の小澤亜季子氏だ。今回は企業側の視点で、従業員の「退職代行」にどう対応するべきかを解説してもらった。

弁護士・社会保険労務士 小澤亜季子

弁護士・社会保険労務士 小澤亜季子

1987年生まれ。2011年3月、早稲田大学大学院法務研究科修了。2012年、弁護士登録。2018年、社会保険労務士登録。労働環境を良くするため、企業側・労働者側の双方の弁護に従事。2018年8月、退職代行サービスを開始。その取り組みは「クローズアップ現代+」(NHK)など各種メディアで紹介されている。

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退職代行を立てられた企業側はどう対応すべきか?
(Photo/Getty Images)

もし部下が“退職代行”を差し向けてきたら……

 退職代行サービスを提供していると言うと、経営者や上司にあたる立場の方々から、よくこんなご質問をお受けします。「従業員が退職代行サービスを使って辞めると言ってきたら、どうすればよいでしょうか。」

 正社員が弁護士を雇って「退職したい」と連絡をしてきた場合、大変残念ながら、会社としてできることは限られています。

 この場合、会社はその従業員が、なぜ退職を決意したのか、そして、なぜ退職代行サービスを使うに至ったのかを、従業員の雇った弁護士を通じてなるべく詳細に聞き出し、同じような退職者が続けて出ないように、職場環境を整えることに注力したほうが良いでしょう(同じ職場から、連続して退職者が出ることは多いものです)。

 ただし、退職代行サービスを利用する従業員は、一刻も早く会社と縁を切ることを第一に願っており、会社から退職理由や退職代行サービスを用いた理由を聞かれたところで、本音の理由は伝えるつもりがないということも少なくありません。

 会社としては、平時から従業員の不安や不満を救い上げる仕組みを整えておくことが重要です。

退職希望者には2種類いる

 「弁護士による退職代行サービスを使われた場合、正直あまり打つ手がないです」とお答えすると、こんなご質問も多くお受けします。

「従業員に、退職代行サービスを使われないようにするためには、どうすればよいのでしょうか」

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退職にはライトな理由も、ヘビーな理由もある
(Photo/Getty Images)

 そもそも、なぜ従業員は、安くはないお金を支払ってまで、退職代行サービスを使うのでしょうか。私は、退職代行サービスの依頼者の抱える問題は、次のように、大きく二分されると感じています。

  1. 1.客観的に見てヘビーな問題
    • 退職の申し出をしたところ、暴言を吐かれたり、暴力を振るわれたり、報復を示唆されたりする(慰留ハラスメント)
    • 退職の意思を示しても取り合ってもらえない
    • 常日頃から社長や上司からパワハラを受けているため、恐ろしくて言い出せない
    • 長時間労働やハラスメント等により、心身の健康を害しており、自分で交渉できる状況ではない

  2. 2.客観的に見てライトな問題
    • 自分で退職を申し出るのが面倒くさい
    • 周囲を気にしすぎて、過剰な忖度をしてしまう

 後者のライトな問題、たとえば「自分で退職を申し出るのが面倒」というのは、その従業員のパーソナリティーによる部分が大きく、一見、手の打ちようがないようにも思います。

 しかし、そのような従業員であっても、たとえば恋人に別れを告げる際は他人の口は借りないかもしれません。

 会社としては、会社と従業員との間に、「自分の口で別れを告げるべき」と思わせるだけの信頼関係を築けるよう、常日頃から従業員とのコミュニケーションを密にすることが大切でしょう。

 他方、ヘビーな問題、たとえば、慰留ハラスメントとでもいうべき強引な引き止めや、長時間労働・ハラスメントについては、辞めていった従業員の問題というよりは、会社側の問題です。このような問題が生じている会社は、いわゆる「ブラック企業」に当たるのだと思います。

 「いやいや、会社側に問題などあるものか。忙しいさなか、身勝手に辞めていく従業員は怒鳴られたり、小突かれたりして当然だろう。長時間労働や多少のハラスメントの何が悪い。」と思われる経営者や上司の方もいらっしゃるかもしれません。

 そういったお考えをお持ちの場合、腹の底からマインドチェンジするのは簡単ではないでしょう。

 が、一つ確実に言えることは、少子高齢化による労働力不足が深刻化する今日においては、そのようなブラックな職場環境を改めない限り、あなたの会社は労働者から選ばれなくなり、人手が確保できなくなるということです。

 人手を確保するためには、(内心はともかくとしても)自社がなぜブラック企業化しているのか、原因を突き止め、問題の解消に努める必要があります。

【次ページ】あなたの会社はなぜブラック企業化するのか?

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