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  • 2020/01/21

ダムの科学、施工や保守にドローンやロボットはどう活用されているのか?

【写真でわかる】

日本は雨が多く、国土の約75%を山地が占めているため、大雨が降れば洪水、雨が降らなければ渇水という極端な状況になりがちです。これを防ぐのが「ダム」の大きな役割の1つです。この記事では『ダムの科学』を上梓した一般社団法人 ダム工学会 近畿・中部ワーキンググループのメンバーが、ダムの施工や保守でICT(情報通信技術)やドローン、ロボットがどう活用されているのかを紹介します。

一般社団法人 ダム工学会 近畿・中部ワーキンググループ

一般社団法人 ダム工学会 近畿・中部ワーキンググループ

ダム技術を構成する河川工学、構造工学、地盤工学、環境工学などの各分野を横断し、学・官・民の連携によりダム工学の発展、普及を図る近畿・中部地区の専門家チーム。 リーダー:角 哲也(京都大学防災研究所) メンバー: 赤松利之(ニュージェック 水工グループ) 石井秀紀(ダム工学会 ダム貯水池課題研究部会) 可児 裕(元国土交通省 中部地方整備局 河川部) 川崎秀明(一般財団法人 ダム技術センター) 河野広隆(京都大学工学研究科) 岸田 潔(京都大学工学研究科) 木下 靖(建設技術研究所 大阪本社 ダム部) 小坂馨太(関西電力 水力事業本部) 佐藤正俊(中部電力 技術開発本部) ダム工事総括管理技術者会 道奥康治(法政大学 デザイン工学部) 安田成夫(一般財団法人 ダム技術センター) 山本佳也(国土交通省 近畿地方整備局 河川部) (五十音順)

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今やダムの施工にも保守にもさまざまな最新テクノロジーが活用されている
(Photo/Getty Images)

ダムの施工で活用される最先端のICT

 日本は山がちで雨が多いのが特徴です。降った雨はすぐ低い平野に流れ込み、海へ出てしまいます。このため大雨が降れば洪水に、雨が降らなければ水不足になります。これらを軽減するのがダムの大きな役割です。

 山に降る雨は太陽の恵みがもたらす水の循環の一部で、そのままでは利用できません。ダムは、この太陽の恵みを効率よく集める装置でもあります。河川の水量と落差を活かした水力発電は、日本の風土に適した、化石燃料のいらない貴重な国産エネルギーです。

 このダムを施工する工事では、最先端のICT(情報通信技術)やAI(人工知能)が活用され、施工の全自動化に取り組んでいます。

 五ケ山ダム(福岡県)、大分川ダム(大分県)、小石原川ダム(福岡県)といった最新のダムの工事では、タブレット端末やPCから作業指示を送信するだけで、自動化した建設機械が自律的に作業していました。

 1人1台の建設機械を、リモコンで操作する従来の遠隔運転とは異なり、1人で複数の機械を同時に稼働させることができる「次世代の建設生産システム」です。

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1人で複数の建設機械を同時に稼働させることができる
(写真:ダム工事総括管理技術者会事務局)

1.自動振動ローラー

 汎用の振動ローラーにGPSやジャイロなどの計測機器や制御PC、自動操舵装置を搭載することで、自動・自律運転可能な機械としています。リアルタイムで機械の位置や姿勢、周囲の状況を計測しながら転圧作業を行います。障害物検知や走路の安全性などの認識、自動停止、自動再開機能など、安全性確保の面でも多くの機能を有しています。

2.自動ブルドーザ

 ICTブルドーザに計測機器や制御PCを搭載して、自律型自動ブルドーザに改造しています。熟練オペレータの操作データと、排土板の動きによる材料の広がり形状を推定するコンピュータシミュレーションによって、材料特性に合った精度の高い作業を可能にしています。自動振動ローラーと同じく、自動停止などの安全設備の機能も有しています。

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コマツ製ICTブルドーザを自動化(五ヶ山ダム)
(写真:ダム工事総括管理技術者会事務局)

3.自動ダンプトラック

 55トン積級の汎用ダンプトラックに、計測機器や制御PCを搭載して、自動ダンプトラックに改造しています。あらかじめ指示した経路で運搬し、指定位置でダンプアップ(荷卸し作業)します。自動ダンプトラックと自動ブルドーザを連動させ、運搬/荷下ろし/まき出し/整形をします。一連の作業の自動化にも成功しています。

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自動ダンプトラックと自動ブルドーザの連携(大分川ダム)
(写真:ダム工事総括管理技術者会事務局)

ダム工事でドローンはどう活用されているのか?

 近年、ダム工事においてもUAV(Unmanned Aerial Vehicle)の活用が広がっています。UAVは「人が搭乗しない航空機」を意味します。通称はドローン(Drone)です(写真参照)。

 従来からラジコン航空機やヘリコプターがUAVとしてありましたが、操縦の難しさやコスト面で課題があり、利用は限定的でした。2010年代に入り、比較的低価格で高い操縦性を備えたドローンが広く市販されるようになり、さまざまな産業分野で活用されています。

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ダム工事の現場で使われるドローン
(写真:ダム工事総括管理技術者会事務局)

 特に建設関連では、国土交通省が推進している「i-Construction」の三本柱の1つになっている「ICTの全面的な活用(ICT土工)」が挙げられます。

 これは、調査・測量、設計、施工、検査などのあらゆる建設生産プロセスにおいて、ICTや3次元測量データを活用し、生産性向上を図るものです。

 今後は、ダム本体の点検等維持管理データの収集を、大規模な足場を組むことなく、高精度カメラを搭載したUAVで実施するなど、さらなる展開が期待されています。

 なお、日本では、航空法の改定や小型無人機等飛行禁止法が定められ、無人飛行機の定義、飛行ルール、飛行禁止範囲などが制限されたため、今後の活用においては留意が必要です。

【次ページ】大分川ダムでのUAV活用事例

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