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  • 2020/09/07

この「広告」に潜む真実を見抜くことができるか? 統計学を学ぶことで見えてくるもの

連載:文系のための統計学教室

英国の首相ベンジャミン・ディズレーリの有名な言葉に、「嘘には3種類ある。嘘、大嘘、そして統計」があります。数字は客観的かつ誰の目から見ても明らかな考察を得ることができるものではありますが、真実を見抜く目がなくては実は騙されてしまうことにもなりかねません。ここでは身近な「広告」を題材に、統計学を学ぶことで得られるものについて、『文系のための統計学の教室』を上梓したサイエンスライター 涌井 良幸氏、涌井 貞美氏が解説してくれました。

サイエンスライター 涌井 良幸・涌井 貞美

サイエンスライター 涌井 良幸・涌井 貞美

涌井 良幸(わくい よしゆき)
1950年、東京生まれ。東京教育大学(現・筑波大学)理学部数学科を卒業後、教職に就く。退職後はライターとして著作活動に専念。

涌井 貞美(わくい さだみ)
1952年、東京生まれ。東京大学理学系研究科修士課程修了後、富士通に就職。その後、神奈川県立高等学校教員を経て、サイエンスライターとして独立。書籍や雑誌の執筆を中心に活動している。

共著に『道具としてのフーリエ解析』『 図解でわかる多変量解析』(日本実業出版社)、『数的センスを磨く超速算術』(実務教育出版)、『身のまわりのモノの技術』(中経出版)などがある。


統計学を学ぶと身近な広告を正しく理解できる

 我々は、新聞、ラジオ、テレビ、ネット…。さまざまな宣伝情報に囲まれて生活しています。統計学を学ぶと、これらの広告を正しく理解できるようになります。

 たとえば、次の(イ)、(ロ)、(ハ)の広告を見て、あなたはどう思いますか。

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 それぞれ説得力のある統計であり、多くの人が「なるほどね」と認めてしまいます。しかし、統計学を学ぶと次のことが気に掛かってきます。

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◆(イ)の場合

 「売り上げ業界1位」と言われると、なんだかスゴイなぁと思ってしまいます。しかし、広告をよく見ると「○△部門」と書いてあります。このように○△部門と業界の範囲を限定すればその中に入る会社は少数になってしまいます。極端な場合、1社だけになることもあります。そうであれば、「第1位」は当たり前。すごいことでもなんでもない。ただ、不当広告とは言えないところが面白い。

◆(ロ)の場合

 この統計はクスリを服用することによって、1か月の便秘の日数が減少することを宣伝するものです。いかにも効果がありそうに見えますが、グラフは0~11.5の目盛りがカットされています。目盛りを適切に取ると、右図のように大差がないことが分かります。

◆(ハ)の場合

 ある会社が、その資本金の多さを誇張させた立体円グラフで表示しています。一見、トップに見えますが右図のように、平面の円グラフで表現すると2位であることが分かります。しかし、間違ったグラフと非難できない辛さがあります。



統計データで人生の楽しさ倍増

 統計データは人生を楽しませてくれます。たとえばスポーツ。これは参加しても楽しいが、見てもまた楽しい。しかし、スポーツ観戦から統計を取り去ったらどうなるでしょうか。観戦の楽しさがガラリと変わってしまうのではないでしょうか。

 たとえば、野球を例にしましょう。テレビで観戦しているとバッターがバッターボックスに立つと、打率やホームラン数など、その選手に関する情報がいろいろと表示されます。これらの多くは統計を用いて計算されたデータです。どうでしょうか。統計なし観戦の場合、打つんじゃないかという高揚感があまり湧かないのでは。

 これに対して、「打率3割3分3厘、この試合まだノーヒット。今回3打席目!」などとアナウンスされると、「今回は、必ず打つ。だって打率は1/3じゃないか」と勝手な妄想を抱いて興奮してしまいます。

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【次ページ】統計学を学ぶとニュース報道をより正しく理解できる

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