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  • 2021/12/24 掲載

専門家に聞く「サステナブル商品」ヒットの理由、背後にある消費者マインドの変化とは

連載:図解!ヒットの理由

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日本経済新聞社が2021年12月に発表した「日経MJヒット商品番付」で、“西の大関”に選ばれた「サステナブル商品」(6月発表の「上期ヒット商品番付」では“東の横綱”)。環境や人権、多様性に配慮された商品を指す。日本の脱炭素の取り組みが加速し、SDGsへの関心が高まる世相を反映した選考だ。一方で、良いことをしたい気持ちが消費者にあっても、必ずしも実際にお金を払うわけでないだろう。そこで、本稿では一歩踏み込んだ分析するべく、東京都立大学准教授でマーケティング・サイエンスの専門家である中山厚穂氏に話を聞いた。すると、サステナブル商品が大ヒットする構造が明らかになってきた。

解拓舎 代表 小越建典

解拓舎 代表 小越建典

解拓舎代表、ニュースレター「ソルバ!」主宰。ビジネス、テクノロジー、歴史、旅行など、幅広いジャンルで活動するライター/インフォグラフィックエディター。ビジュアルを交え、ストーリーを描くことで、物事をわかりやすく伝えることにこだわる。コンテンツ制作に加え、企業のマーケティング支援、オウンドメディアの企画運用、広報・PRのプランニングなども手がける。近著に「4コマで日本史: 日本をみなおす50の視点(山川出版社)」

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日経新聞はサステナブル商品の例として、コカ・コーラのラベルレス容器、無印良品のアルミ缶飲料容器、刃以外がほぼ紙でできた貝印の「紙カミソリ」、オンワードホールディングスなどのジェンダーレスファッションを挙げている

言語化できない情報の価値が高まっている

──SDGsの普及浸透やコロナ禍、あるいはデジタル化が進んだことで、消費者の意識はどのように変わっているのでしょうか?

中山厚穂 准教授(以下、中山氏):消費者の意識を理解するために、企業や研究者はビッグデータを解析します。その際に有効なアプローチの1つが、ソーシャルリスニング(ソーシャルメディア上の自然な投稿を解析し、マーケティングなどのビジネスプロセスに生かすこと)で、私はこれを専門に研究しています。

 その中で、以前は、ブログやTwitterの投稿などのテキスト情報を解析していればよかったのですが、現在はInstagramをはじめ、画像や動画が多く投稿されています。ハッシュタグや短いテキスト投稿に加えて、どんな画像/動画が組み合わせられているかを把握することが重要になってきたのです。

 画像や動画はテキストと比べて、商品を触ったり、使ったりといった現実の体験により近い形で表現できます。外出先でも動画再生が苦でなくなるなど、技術の進歩でよりリッチなコンテンツを共有できる環境も整いました。これにより、「体験の共有」が推進されています。

 消費者が感じる価値は、必ずしもテキスト化できるものではありません。たとえばブランドに対するイメージを言語化しようとすると、「かわいい」「シック」「暖かみがある」といった表現になります。しかし、それはブランドイメージをすべて表したことにならないでしょう。

 テキストにすることで、情報は削ぎ落とされ、単純化されます。ある意味、現実をありのままに伝える画像や動画には、テキストよりずっと多くの情報が含まれています。言語化されない雰囲気や感覚も含めて、より深く体験を共有できるのです。

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「言葉で表しづらいシズル感も写真なら表現できる」と中山氏

 そのことで、消費者の中で、テキストでは表現できない価値が大きくなっています。もちろん、ブログでも画像の添付は可能だったわけですが、どちらかと言えばテキストの付帯物でした。今は複雑な情報が入り混じったイメージが、重要度を増しています。

 検索でも従来通りのテキスト入力ではなく、画像をアップロードして情報を探す画像検索をするユーザーが増えています。

サステナブル商品は共有したい体験

──以前から社会貢献のマインドはあったでしょうが、それで自分の財布からお金を払うかは別の話です。サステナブル商品がヒット商品と言われているのは、消費者のマインドに変化が起こっているのだろうと推測しますがどのようにお考えでしょうか?

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社会課題に対する消費者の意識は高まっているのか?

中山氏:サステナブル商品は、必ずしも自分の利益だけのために購買する商品ではありません。地球に負担をかけないためにより多くのコストを払ったり、満足や利便性を少し犠牲にして、フェアトレード認証付きの商品を選ぶかもしれません。

 サステナブル商品のヒットは、「体験の共有」によって起こっている現象の1つだと私は考えています。コロナ禍で飲食や旅行など、リアルの体験機会が減ってしまいました。社会的な危機の中で、環境や他人に配慮した商品を買って使うという行動自体が重要な体験になっているのではないでしょうか。

 SDGsが叫ばれる昨今は特に、サステナブル商品の購買は、わかりやすく誰もが「いいね!」といえる行動ですから、ソーシャルメディアとの相性は非常に良いのです。環境や人権への配慮と同時に、サステナブルな商品を購入することで承認されたい、という意識もあると思います。

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コロナ禍で社会課題への意識が高まっている。サステナブル商品は簡単にできる社会貢献の体験

──新しい体験としても、ソーシャルメディア上のコミュニケーションとしても、サステナブル商品は良い媒介になるのですね。

【次ページ】サステナブル商品を通してブランド価値が共創される

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