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  • 2022/05/25

勝手に有料に切り替わる?「サブスク被害」と広がる規制強化の動き

動画や音楽、ジムやフードデリバリーまで、今や生活のあらゆる場面に浸透するサブスクリプションサービス(定額課金サービス)。便利な半面、意図しない値上げや困難な解約プロセスなど、サブスクをめぐる問題は後を絶たない。米国では、悪質なサブスクを規制する議論が広がり、州レベルではすでに多数の州で法規制が導入されている。当初無料をうたっていながら有料化したり、(忘れたころに)急に値上げをするといったこともあり、日本でも大きな問題になっている。サブスクビジネスの現状を追った。

執筆:細谷 元

執筆:細谷 元

バークリー音大提携校で2年間ジャズ/音楽理論を学ぶ。その後、通訳・翻訳者を経て24歳で大学入学。学部では国際関係、修士では英大学院で経済・政治・哲学を専攻。国内コンサルティング会社、シンガポールの日系通信社を経てLivit参画。興味分野は、メディアテクノロジーの進化と社会変化。2014〜15年頃テックメディアの立ち上げにあたり、ドローンの可能性を模索。ドローンレース・ドバイ世界大会に選手として出場。現在、音楽制作ソフト、3Dソフト、ゲームエンジンを活用した「リアルタイム・プロダクション」の実験的取り組みでVRコンテンツを制作、英語圏の視聴者向けに配信。YouTubeではVR動画単体で再生150万回以上を達成。最近購入したSony a7s3を活用した映像制作も実施中。
http://livit.media/

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米国でのサブスク支出は前年より増加している
(Photo/Getty Images)

米国で進むサブスクへの法規制

 音楽、映画、ドラマなどのメディアコンテンツだけでなく、ジム、デリバリーなど生活のさまざまな側面に普及するサブスクリプションサービス(以下、サブスク)。クレジットカードなどを登録しておけば、毎月自動でサービス料が引き落とされるため、支払いを忘れることがなく非常に便利だ。

 しかし一方で、無料トライアルからひそかに有料サブスクに切り替わる悪質なサービスが増えており、各国で問題視されるようになっている。

 さまざまなサブスクが登場する米国では、サブスク関連の被害や苦情が多く報告されており、州レベルだけでなく、連邦レベルでも法規制を導入する動きが活発化している。

 法規制の議論では、無料トライアルから有料サブスクへの自動更新、また有料サブスクの自動更新の際に、企業は消費者に対し、自動更新する旨を明確に示すこと、またキャンセルプロセスを簡素化することなどが焦点となっている。

 Protocolの2022年4月27日の記事によると、現時点でサブスク自動更新を規制する法律を導入している州は米国で少なくとも20州あるという。ただし、州ごとに規制対象や規制レベルは若干異なっている。

 米法律事務所Faegre Baker Danielsが米50州のサブスク自動更新に関する法規制の現状(2019年3月21日)をまとめているが、各州では以下のような相違が確認される。

 たとえば、コロラド州では規制が導入されているが、その対象になるのは、ジム(health club)のみ。ジム会員は、サブスクを更新した3日以内であれば、その契約を解約できること、また解約は電話やメールでも可能であることなどが規定されている。

 一方、カリフォルニア州では、自動更新するすべてのサブスクが規制対象となり、要件も細かく規定されている。

 たとえば、サブスクの自動更新の前に、企業は必ず、視覚的に近い場所で、ユーザーに対し契約内容を明確かつ目立つ方法で提示する必要があることを規定している。また、無料ギフトや無料トライアルが含まれる場合はトライアル終了後に請求される価格を、自動更新における価格変更がある場合はその旨を明確かつ目立つ方法で提示することなどが盛り込まれている。

 キャンセルに関しては、自動更新オファーの際には必ずキャンセルポリシーとキャンセル方法について明確に示すこと、キャンセル手段として、通話料無料の電話番号やEメールなど低コストかつ簡易な手段を提供することなどが規定されている。

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自動更新を規制する法律を導入している各州は、規制対象や規制レベルがそれぞれ若干異なる
(Photo/Getty Images)

 カリフォルニアでは、このサブスク自動更新の法規制が2021年秋にアップデートされ、新たな要件が追加されたばかりだ。

 具体的には、企業は利用者に対し、自動更新の15~45日前に更新の通知を行うこと、また無料トライアル/ディスカウントトライアル期間が31日以上あるサブスクは、トライアル/ディスカウント期間が終了する3~21日前に、その旨を知らせることなどが追加された。さらに、オンラインで簡単にキャンセルできるように、キャンセルのためのリンクを用意することも要件として追加された。

知らぬうちに課金開始も

 悪質なサブスクは長らく問題視されてきたが、特に2018年頃から大手メディアの注目を集めるところとなり、当局・消費者の関心が一段と高まったものと思われる。

 TechCrunchが2018年10月に公開した「Sneaky subscription are plaguing the App Store(App Storeにまん延する悪質なサブスクアプリ)」と題した記事で、悪質サブスクをめぐる現状がすでに詳細に報じられていた。

 同記事で、悪質サブスクとしてまず登場するのが「Scanner App」という書類スキャンアプリだ。Sensor Towerのデータによると、この時点で34万人のユーザー数を抱え、年間1,430万ドルの収益をあげていた。

 評価は5点満点中4.7と非常に高いものだが、苦情レビューも多く、サブスクの悪質性が非難されていた。

 苦情レビューが指摘するところでは、同アプリは「無料」であることを強調。ユーザーがアプリをダウンロードすると、もう一度アプリダウンロードの許可を求めるポップアップが出現。しかし、この2度目のポップアップは、ダウンロードではなく、週3.99ドルの有料サブスクを許可するものであったという。3日間のトライアルが終了すると知らぬうちに課金が開始されていたとして、多くのユーザーから苦情レビューが寄せられていた。

 TechCrunchのこの報道の後、同アプリはApp Storeから一度消え、無料トライアルと支払いに関する明確な説明付きで再度復帰したという。

 このほかにも「QR Code Reader」「Weather Alarms」「Translate Assistant」などのアプリでも同様の問題があったと報じられている。

【次ページ】意外に知らない自分の「サブスク支出額」

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