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- 2022/08/12 掲載
コロナ禍に開業でも「月商1,300万円達成」、某イタリアンレストランは何を仕掛けた?
日本フードビジネス経営協会代表理事。飲食企業で店長、SV、事業統括の経験を経た後、2011年に東証一部上場のコンサル会社である船井総合研究所に入社。飲食コンサルティング部門のリーダーとして数多くの飲食店支援を行う。2016年飲食店特化のコンサルティング会社、スリーウェルマネジメントを設立。「飲食店オーナー様に徹底的に親身なサポートを!」を理念に、個人店から大手チェーンまで日本全国の飲食店へ支援を行う傍ら、テレビのコメンテーターや行政、金融機関と一体となった飲食店支援も行う。著書「V字回復を実現する! あたらしい飲食店経営35の繁盛法則 」はアマゾンの外食本ランキングで1位を獲得。

「ULSSAS(ウルサス)」とは
SNSが普及した現代において、人々はSNS上である商品や店舗についての口コミをし、その口コミは「いいね」や「RT(リツイート)」などによってさらに多くの人々に拡散されていくような情報伝達の流れがあります。人々は多くの「いいね」を獲得している投稿や、フォローしている友人やタレントが薦めている商品・店舗に関心を持ったりします。このように、SNSは人々の購買行動に大きな影響を与える要素の1つとなっているのです。こうした時代において、SNSによる情報発信などから消費者行動を読み解くマーケティングフレームワークとして、「ULSSAS(ウルサス)」というものがあります。
「ULSSAS」が想定する顧客行動は、まず顧客が商品・店舗についてSNS上での投稿してくれたところを起点とし、「その投稿を見た人がいいねやリツイートをする」→「いいねを付けた、またはいいねのついた投稿を見た人が商品・店舗のことが気になりSNS上で情報収集をする」→「実際に商品・店舗を知りたいと思い検索ブラウザ上で情報収集」→「商品購入・来店」→「商品購入・来店後、SNSに投稿」といったサイクルです。このサイクルが自律的に回れば、多大な広告費をかけることなく認知を広げることができるのです。
そのため、このサイクルが回るような商品・店舗の設計を考えたり、フォロワー獲得に取り組んだりすることがULSSASの構築にとって有効になります。ここからは、実際にこのULSSASを活用して売上アップに成功している店舗の事例を解説していきます。
厳しすぎる?コロナ禍の飲食店開業
今回紹介するのはコロナ禍直前の2020年2月にオープンしたイタリアンレストランです。オープン時期がコロナ禍直後ということもあり、オープン当初はなかなか顧客の来店が増えず、大変苦戦をしていました。当時の売上はおよそ月商300万円程度だったようです。このように厳しい状況の中、同店舗が注力したのがインスタグラムの活用です。北海道から直送される新鮮で良質な魚介を使ったイタリアンベースの料理を提供している同店では、その日に入荷した鮮魚やメニューの情報を積極的にインスタグラムで投稿していました。ここでポイントなるのがインスタグラムの投稿機能の1つである「ストーリーズ(Stories)」機能です(一般的にはストーリーと呼ばれるので以降はストーリーで統一します)。
このインスタグラムのストーリーを簡単に言うと24時間で消えてしまう投稿で、その手軽さから最近ではフィード投稿(通常のホーム画面投稿)よりもストーリーズをよく利用するという人が増えています。
同店では、このストーリーズ機能を活用して1日5回以上、多い日には10回以上も情報発信をしたそうです。これにより、コロナ禍にも関わらず店舗のストーリーズを見た顧客が1日5組以上来店するといった効果も出ています。ここからは、同店の具体的な1日のストーリーズの投稿スケジュールとともに、どのようなサイクルで顧客を増やしていったのかを解説します。
【次ページ】某イタリアンレストラン事例:月商4倍を実現したインスタ活用術
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