• 会員限定
  • 2022/11/24 掲載

コロナで上野は「もうダメ」か?アメ横商店街が巨大資本を跳ね返してきた猛烈パンダ愛

連載:大手企業に勝つ地方企業

記事をお気に入りリストに登録することができます。
多くの産業に打撃を与えたコロナ。対面販売・値切りを特徴とする上野「アメ横」でも人出が1~2割まで落ち込み、商店街の店舗も撤退が相次ぐなど、大きな影響を受けた。上野観光連盟名誉会長の二木忠男氏は、「上野駅から御徒町駅まで約500mにわたるアメ横に、人が1人もおらず見通せるほどだった」と振り返る。とはいえ、コロナ前は順風満帆だったかというと決してそうではない。歴史をひも解けば、都内はどこも大手資本による再開発が相次いでおり、駅によっては顧客争奪戦に負けて衰退した商店街も少なくない。なぜ上野「アメ横」は昔ながらの商店街を残す稀有の街となったのか。また、コロナを経てどこへ向かうのか。前後編で追ってみたい。

聞き手・執筆:経済ジャーナリスト・経営コンサルタント 高井 尚之、写真:吉成 大輔

聞き手・執筆:経済ジャーナリスト・経営コンサルタント 高井 尚之、写真:吉成 大輔

経済ジャーナリスト・経営コンサルタント 高井 尚之
学生時代から在京スポーツ紙に連載を始める。卒業後、日本実業出版社の編集者、花王情報作成部・企画ライターを経て2004年から現職。「現象の裏にある本質を描く」をモットーに、「企業経営」「ビジネス現場とヒト」をテーマにした企画・執筆・講演多数。近著に『20年続く人気カフェづくりの本』(プレジデント社)などがある。

画像
一般社団法人 上野観光連盟名誉会長(前代表理事・理事長) 二木(ふたつぎ)忠男 氏
立教大学卒業後、大阪の菓子現金問屋で2年間修業。1978年、株式会社二木(にき)入社。アメ横を中心に事業を展開する二木の菓子、二木ゴルフ、東洋茶廊(当時)の社員、役員を経て、現在は二木商会 代表取締役社長

上野観光連盟が掲げる街づくりの3つの方針

 コロナ禍からの上野再活性化を主導してきたのが、二木(ふたつぎ)忠男氏(上野観光連盟名誉会長、二木(にき)商会社長)だ。戦後の上野アメ横の発展に寄与し、「二木(にき)の菓子」や「二木(にき)ゴルフ」などを創業した二木(ふたつぎ)源治氏の息子でもある。

画像
二木氏は、上野駅周辺全地区整備推進協議会会長、アメ横商店街連合会常任顧問など公職も多い。当地の様子を肌感覚で知る人物

「上野は由緒ある建造物も多く、幕末から明治に移る戊辰(ぼしん)戦争の舞台ともなった土地です。文化施設も集積し、人気商店街もある。一言では説明できない魅力があります」

 そう語る二木氏が、観光連盟会長に就任後に進めた3つの施策がある。

  • (1)「山」と「街」と「駅」の連携で集客を図る
  • (2)「パンダ」は上野最大の広告塔
  • (3)「観光」への魅力は「環境」あってこそ

「上野は、山と街と駅の連携で集客を進めてきました。『山』とは上野の山(上野公園)で、上野動物園もあれば、東京国立博物館、国立科学博物館、国立西洋美術館などがある。教育機関の東京藝(げい)術大学もあります。ここまで文化施設が集まっているのは世界的にも珍しい。私はフランスのパリにある“モンマルトルの丘”に匹敵する存在だと思っています」

 こう説明しながら胸を張る。現地に行った経験がある人ならご存じのように、上野の山は、石段で上り下りする程度の高さだが、それが逆に駅や街に移動しやすいのだろう。

 上記の方針は、新任の長岡信裕会長(老舗焼き肉店「太昌園」を運営する大和寿商事社長)にも受け継がれている。

戦後の闇市にルーツ、地元主導「アメ横」誕生の背景

 ここで、「なぜ上野は、地元主導で街づくりができるのか」も聞いてみた。

「自治の精神が根づいているのです。太平洋戦争で敗北後、空襲で焦土と化した都内では、新橋や有楽町など各地で闇市(やみいち)ができました。アメ横もその1つ。現在はJR上野駅と御徒町駅を結ぶ鉄道の高架下、それに並行する通りを中心に店舗が並びます。多くの闇市が的屋(テキヤ=露店や興行を営む者)の仕切りであった中、当時のアメ横では復員兵約400人が共同体となり、怪しい出店を統制しました。当時の商店主が自ら行動したのです」

画像
上野駅から御徒町駅の500mの間に約360件の店舗が連ねる。対面・値切りの販売が特徴。下町を感じるスポットとして訪日観光客に人気

 二木源治氏もその1人で、深川(現在の江東区)で八百屋を営んでいたが、兵隊にとられ中国大陸で軍務に就く。終戦後に帰国してアメ横(御徒町駅側)で商売を始め、アメ横商店街連合会の会長も務めた。現在、アメ横センタービルがある場所(上野駅側)も終戦直後は無法地帯。地元当局が、実業家・近藤広吉氏に頼んで「近藤マーケット」を作ってもらい、怪しい者を排除して出店させて以降、正常化した。

 商店街にそうした歴史があり、有名建造物も多いので、大規模な再開発には向かない。

 自治の精神のもと戦後順調に発展してきたアメ横だが、2020年を迎えコロナ禍が影を落とす…。

【次ページ】外出自粛で「アメ横」は戦後最大の危機に

関連タグ

あなたの投稿

関連コンテンツ

PR

処理に失敗しました

トレンドタグ

おすすめユーザー

会員登録で動画、資料に使えるホワイトペーパー、オンラインセミナー年間500本など、会員限定記事が​閲覧できる!​

投稿したコメントを
削除しますか?

あなたの投稿コメント編集

機能制限のお知らせ

現在、コメントの違反報告があったため一部機能が利用できなくなっています。

そのため、この機能はご利用いただけません。
詳しくはこちらにお問い合わせください。

通報

このコメントについて、
問題の詳細をお知らせください。

ビジネス+ITルール違反についてはこちらをご覧ください。

通報

報告が完了しました

コメントを投稿することにより自身の基本情報
本メディアサイトに公開されます

必要な会員情報が不足しています。

必要な会員情報をすべてご登録いただくまでは、以下のサービスがご利用いただけません。

  • 記事閲覧数の制限なし

  • [お気に入り]ボタンでの記事取り置き

  • タグフォロー

  • おすすめコンテンツの表示

詳細情報を入力して
会員限定機能を使いこなしましょう!

詳細はこちら 詳細情報の入力へ進む
報告が完了しました

」さんのブロックを解除しますか?

ブロックを解除するとお互いにフォローすることができるようになります。

ブロック

さんはあなたをフォローしたりあなたのコメントにいいねできなくなります。また、さんからの通知は表示されなくなります。

さんをブロックしますか?

ブロック

ブロックが完了しました

ブロック解除

ブロック解除が完了しました

機能制限のお知らせ

現在、コメントの違反報告があったため一部機能が利用できなくなっています。

そのため、この機能はご利用いただけません。
詳しくはこちらにお問い合わせください。

ユーザーをフォローすることにより自身の基本情報
お相手に公開されます