- 2023/01/31 掲載
IMF、新興国の23年経済成長予測を上方修正 昨年底入れか
[ニューヨーク 30日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)は30日、今年の新興国の経済成長予測を上方修正した。新興国経済は昨年、底を打った可能性がある。
中国経済の再開、底堅いインド経済、ロシア経済の予想外の成長が背景。
今年の新興国・途上国の経済成長予測は4.0%。昨年10月時点の予測から0.3%ポイント上方修正した。昨年の推定値は3.9%。来年の予測は4.2%。
インフレ率は高水準だが、今年から来年にかけて鈍化すると予想されている。新興国・途上国のインフレ率の昨年の推定値は9.9%。今年は8.1%、来年は5.5%と予測されている。2017─19年の平均である4.9%を依然上回っている。
低所得国の約15%は、すでに債務返済に支障をきたしているとみられ、さらに45%がそうした状態に陥るリスクが高い。新興市場国の4カ国に1カ国もリスクが高いという。
インドは、今年と来年も6%以上の成長が予想されている。中国の今年の経済成長予測は0.8%ポイント上方修正された。5%を超える見通し。
IMFのチーフエコノミスト、ピエール・オリビエ・グランシャ氏は「中国とインドを合わせると、今年の世界経済の成長の約50%を占める。非常に大きな貢献だ」と述べた。
今年のロシアの経済成長予測は2.6%ポイント上方修正され、プラス0.3%。主要国では最大の上方修正となった。
昨年の輸出収入が「かなり高水準」だったことや、軍事支出など大規模な財政支出が上方修正の主因。ただ中期的には、ウクライナ侵攻の影響で経済生産の大幅な縮小が予想されている。
中東・中央アジアの今年の経済成長予測は3.2%で、昨年10月時点の予測から0.4%ポイント下方修正された。ウクライナ戦争やそれに伴うコモディティー価格の変動で、エジプトとサウジアラビアの予測が下方修正されたことが主因。
IMFのペチヤ・コエバ・ブルックス調査局長代理は「この地域の石油輸入国の状況は非常に厳しい。多くの国が重債務国だ。このため、依然として高い食品価格やエネルギー価格が大きな重しになる。生活費危機は続いており、社会不安のリスクもある」と述べた。
ブラジルとメキシコの今年の経済成長予測はそれぞれ0.2%ポイント、0.5%ポイント上方修正された。中南米・カリブ地域の経済成長予測は0.1%ポイント上方修正され1.8%となった。
新興国の約半数は、今年の経済成長率が昨年の推定値を下回る予想されている。
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