- 2023/02/10 掲載
英国、第4四半期ゼロ成長で景気後退回避 物価高で先行き厳しく
[ロンドン 10日 ロイター] - 英国立統計局(ONS)が10日発表した2022年第4・四半期の国内総生産(GDP)は前期比0.0%でロイターがまとめた市場予想と一致した。
第3・四半期は0.2%減。2四半期連続の減少と定義される景気後退(リセッション)入りは辛うじて免れたものの、家計は引き続き2桁のインフレに苦しんでおり、今年の見通しは厳しい。
ONSの高官は「経済は12月に急激に縮小した。このため、第4・四半期全体ではゼロ成長となった」と指摘した。
INGのエコノミスト、ジェームズ・スミス氏は、今年第1・四半期のGDPを0.3─0.4%減と予測。第2・四半期は減少ペースが鈍化するとの見方を示した。
同氏は「少なくともテクニカルなリセッションが基本シナリオであることに変わりはないが、歴史的に見て非常に緩やかなものになりそうだ。ガス卸売価格の急落が当然、寄与する」と述べた。
22年のGDPは4.0%増。21年は7.6%増だった。
第4・四半期のGDPは、新型コロナウイルス流行前の水準を0.8%下回ったが、企業投資は前年比13.2%増加し、コロナ前の水準を取り戻した。
しかし業界団体は、4月からの法人増税が投資にブレーキをかけるとみている。製薬大手のアストラゼネカは9日、薬価押し下げ圧力を背景に一部製造拠点をアイルランドに移す方針を示した。
小売業界では需要減退に対応し在庫を圧縮する動きが見られる。
12月のGDPは前月比0.5%減と、予想(0.3%減)以上に減少。サービスの生産減少が主因。鉄道などのストライキのほか、サッカーW杯開催で国内試合が延期されたことも響いた。
半面、気温の低下で生産が増えたエネルギーがGDPを下支えした。
ただエネルギー需要の増大は貿易赤字を拡大させた。ノルウェーからの天然ガス輸入の増大で、第4・四半期の財の貿易赤字は640億ポンド(780億ドル)と過去過去最大となった。
イングランド銀行(英中央銀行)は先週、同国が今年第1・四半期に緩やかで長期にわたる景気後退に突入するとの見通しを示した。景気後退は5四半期続く見込みという。
昨年10月のインフレ率は11.1%と、41年ぶりの高水準。生活費危機に加え、急激な利上げが企業・家計の重しになっている。
ハント財務相は「英経済は昨年、主要7カ国(G7)で最も高い成長を遂げ、景気後退も回避した。これは多くの人が懸念していたよりも経済が底堅いことを示している」と表明。その上で「特にインフレについては、まだ危機を脱していない」と述べた。
関連コンテンツ
PR
PR
PR