- 2023/07/13 掲載
NY市場サマリー(12日)ドル約1年ぶり安値、利回り低下 株続伸
主要通貨に対するドル指数は一時、2022年4月以来の安値となる100.54を付けた。終盤の取引では1%安の100.55。1日としては2月初旬以来の大幅な下げ率を記録する勢い。
6月の米CPIは前年比3.0%上昇。5月の4.0%から鈍化し、2021年3月以来の小幅な伸びとなった。また、変動の大きい食品とエネルギーを除くコア指数は前年比4.8%上昇と、21年10月以来の小幅な伸びにとどまった。コア指数は前月比でも0.2%上昇と、21年8月以来の低い伸びとなった。
ドルは対スイスフランで一時0.8660フランと、2015年1月以来の安値に沈んだ。その後は1.3%安の0.8675フランで推移した。
マネックス・ヨーロッパのFX分析責任者サイモン・ハーベイ氏はコアインフレ指数の鈍化について、「今回の米利上げサイクルにおいて追加利上げはあと1回というわれわれのベースシナリオを支える内容」と指摘。また、CPIを受け「ドルは先週末に発表された米雇用統計後の下げ幅を拡大し、ノルウェークローネやスウェーデンクローナ、円など、米債利回りの動向に敏感で過小評価されている通貨に対する下げが目立った」と述べた。
金融市場では、FRBが今月25━26日の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げに踏み切るとの見方が依然強い一方、その後、年内に再び追加利上げが決定される確率が低下した。
ユーロ/ドルは一時3月以来の高値となる1.1134ドルを付けた。その後は1.1%高の1.1131ドル。
ドル/円は6週間ぶりの安値となる138.17円を付けた。終盤は1.4%安の138.375円。
英中銀による追加利上げ期待を追い風に、ポンド/ドルはは一時1.30ドルと、15カ月ぶり高値を更新。その後は0.4%高の1.2984ドル近辺で取引された。
<債券> 国債利回りが低下した。6月の米消費者物価指数の伸びが予想を下回ったことを受け、FRBの利上げサイクルは終了に近づいているとの見方が高まった。
10年債利回りは3.861%と、CPI統計発表前の3.945%近辺から低下。前週7日には4.094%と、8カ月ぶりの高水準を付けていた。
2年債利回りは4.742%と、4.845%近辺から低下。前週6日には5.12%と、2007年6月以来の高水準を付けていた。
2年債と10年債の利回り格差はマイナス89ベーシスポイント(bp)と、CPI統計発表前のマイナス91bp近辺から縮小した。
CPI統計を巡っては、リッチモンド地区連銀のバーキン総裁が米国のインフレ率は依然として高すぎるとの考えを示し、FRBが目標とするインフレ率2%を達成できるほど総需要が減速しているかどうかはまだ分からないと発言。
また、FRBはこの日に公表した地区連銀経済報告(ベージュブック)で、経済活動は5月下旬以降、全体としてやや上向いたと指摘し、向こう数カ月は緩やかな成長が続くとの見通しを示した。
財務省が実施した320億ドルの10年債入札は堅調な需要を集め、応札倍率は2.53倍と、2月以来最高となった。最高落札利回りは3.857%と、入札前取引の水準を約1bp上回った。
11日の400億ドルの3年債入札も堅調。13日には180億ドルの30年債入札が実施される。
<株式> 続伸。ハイテク株が多いナスダック総合が1%超上昇し、上げを主導した。6月の米CPIが前年比で約2年ぶりの小幅な伸びとなり、インフレが一段と低下したことを好感した。
CPIの伸び鈍化は、FRBが7月に実施するとみられる0.25%の利上げを最後に休止に入るとの見方を後押しした。
金利上昇に敏感な大型ハイテク関連株が堅調となり、S&P総合500種の上昇に最も大きく寄与した。S&P情報技術株指数は1.3%上昇した。
主要株価指数は終盤に上げ幅を縮めたが、ウェドブッシュ・セキュリティーズの株式取引部門マネジングディレクター、マイケル・ジェームズ氏は「強気派がなお優勢」だったと指摘。「CPIは明らかに強気派が求めていた内容となり、相場が調整することを期待して様子見にしていた投資家にとっては不満がたまる展開が続いた」と述べた。
半導体大手ブロードコムは0.9%上昇。クラウド企業VMウェアの買収計画について、欧州連合(EU)から条件付きで競争法上の承認を取得した。VMウェアは2.8%高となった。
半導体大手エヌビディアは3.5%急騰。関係筋によると、ソフトバンクグループ傘下の英半導体設計大手アームは早ければ9月に予定するニューヨーク新規株式公開(IPO)を巡り、アンカー投資家としてエヌビディアを迎え入れる方向で交渉している。
<金先物> 米インフレの鈍化傾向を示す統計の発表を好感し、続伸した。8月物の清算値(終値に相当)は前日比24.60ドル(1.27%)高の1オンス=1961.70ドルと、中心限月としては約1カ月ぶりの高値となった。
<米原油先物> 米物価指標の下振れを受けて利上げ局面の長期化に対する警戒感が和らぎ、続伸した。米国産標準油種WTIの中心限月8月物の清算値(終値に相当)は前日比0.92ドル(1.23%)高の1バレル=75.75ドルと、前日に続いて約2カ月半ぶりの高値を更新。9月物は0.83ドル高の75.54ドルだった。
ドル/円 NY終値 138.50/138.51
始値 139.53
高値 139.64
安値 138.17
ユーロ/ドル NY終値 1.1128/1.1132
始値 1.1020
高値 1.1140
安値 1.1014
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 94*09.00 3.9529%
前営業日終値 93*05.00 4.0210%
10年債(指標銘柄) 17時05分 96*01.50 3.8613%
前営業日終値 95*03.00 3.9820%
5年債(指標銘柄) 17時05分 99*21.25 4.0751%
前営業日終値 98*30.00 4.2390%
2年債(指標銘柄) 17時05分 99*24.63 4.7483%
前営業日終値 99*15.88 4.8960%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 34347.43 +86.01 +0.25
前営業日終値 34261.42
ナスダック総合 13918.96 +158.26 +1.15
前営業日終値 13760.70
S&P総合500種 4472.16 +32.90 +0.74
前営業日終値 4439.26
COMEX金 8月限 1961.7 +24.6
前営業日終値 1937.1
COMEX銀 9月限 2431.0 +102.9
前営業日終値 2328.1
北海ブレント 9月限 80.11 +0.71
前営業日終値 79.40
米WTI先物 8月限 75.75 +0.92
前営業日終値 74.83
CRB商品指数 268.2988 +0.7028
前営業日終値 267.5960
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