- 2023/08/01 掲載
「大転換」当事者に聞く=日銀の13年1~6月議事録(2)
◇物価目標「外圧」で導入=木内登英元日銀審議委員インタビュー
―なぜ2%物価目標導入に反対したのか。
2%は実際の物価と比べると非常に高いし、金融政策だけでは達成できない。高めの目標を導入したら、金融緩和を求める政府の介入が強まると分かっていた。安倍政権は日銀法改正もちらつかせて圧力をかけてきた。日銀内で議論が発展して2%になったのではなく、外からの圧力でそうなったのは非常に問題だ。
―異次元緩和の評価は。
効果があるかどうか分からないが一度試してみるということで、最後は黒田東彦総裁にも頼まれ、同意した。ただ、2%目標と結び付けるのは、終わりの見えない政策になると思い、反対した。一時的な政策として試すが、2年程度で効果があろうがあるまいが見直していくべきだと考えた。
―インフレ期待に働き掛ける効果を分析できていたのか。
まずは思い切った政策をやるということに共感が広がり、理論的な検証は全くなく始まった。波及効果が明確ではなく、考えを整理しないまま始まったのは大きな問題だ。
―目標未達は2014年4月の消費税増税が原因か。
消費税増税は100年に1度のイベントではないので、それを言い訳にするのはおかしい。結局、異例の緩和もインフレ期待や物価の基調に影響しないと分かってきた。副作用も大きく、うまくいかないなら撤退すべきだと考えたが、黒田総裁は14年10月に追加緩和に踏み切り、その後、マイナス金利まで攻めていった。
【時事通信社】 〔写真説明〕インタビューに答える木内登英・元日銀審議委員=25日午前、東京都千代田区
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