- 2023/08/01 掲載
2%目標、押し込まれる日銀=政治圧力に「じくじたる思い」―13年1~6月議事録
日銀が31日公表した2013年1~6月の金融政策決定会合議事録では、「2%物価上昇目標」導入を迫る安倍晋三首相(当時)からの政治圧力に、日銀が押し切られていく様子が示された。それまで慎重だった物価目標の突然の設定に「じくじたる思い」と心情を吐露する審議委員もいた。
安倍政権は、日銀法改正をちらつかせながら2%物価目標の導入を迫った。白川方明総裁(当時)はかねて物価目標の導入に否定的だったが、13年1月21、22両日の会合では「政府も思い切った成長力強化に取り組むのであれば、意味がある」と苦渋の方針転換で、目標導入を決定。目標を「できるだけ早期に実現することを目指す」と明記した政府との共同声明(アコード)を発表した。ただ、「過去に実現できなかった高いインフレ率をいきなり目指すのはじくじたる思いだ」(佐藤健裕審議委員=当時)などとして、政策委員9人のうち2人が反対票を投じた。
政権から「金融緩和が小出し」と再三批判された白川総裁は、任期満了より約3週間早い13年3月19日に退任。退任会見で「ベストを尽くしてきたが、それが十分(な緩和)だったかどうか国民の評価に委ねる」と振り返るのが精いっぱいだった。
【時事通信社】 〔写真説明〕退任の記者会見をする日本銀行の白川方明総裁(肩書は当時)=2013年3月、日銀本店
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