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  • 日銀、検証なき「社会実験」=空前の大規模緩和突入―13年1~6月議事録

  • 2023/08/01 掲載

日銀、検証なき「社会実験」=空前の大規模緩和突入―13年1~6月議事録

時事通信社

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日銀が31日公表した2013年1~6月の金融政策決定会合議事録では、安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」の「第1の矢」として、空前の大規模金融緩和に突き進む過程を浮き彫りにした。デフレ脱却効果の十分な検証もなく長期化した「壮大な社会実験」の結果、10年経ても持続的な2%の物価上昇という目標は未達。むしろ、財政規律の緩みといった副作用が目立っている。

12年末の衆院選大勝で発足した第2次安倍政権肝煎りの「アベノミクス」の中核を担うべく登場したのが積極緩和論者の黒田東彦日銀総裁(当時)。就任直後の4月3、4両日の会合で、2年程度で2%目標を実現するため「できることはすべてやる」と宣言。国債の「爆買い」で資金供給量を倍増させる「量的・質的金融緩和」の導入を決めた。

目標達成へあらゆる手段で金融緩和を進める姿勢を家計や企業に示し、物価は上がるという期待(インフレ期待)を喚起するのが狙い。ただ、会合では審議委員から「買い入れ強化がインフレ期待を引き上げる効果は未知数だ」とか、「(資金供給)量を出せば期待が変わるのか、不確実性が高い」といった疑問が呈された。

当時審議委員を務めた木内登英・野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミストは「理論的な検証が全くなく始まった。(政策の)波及経路も明確でなく、大きな問題だった」と振り返る。

「2年」の短期決戦で臨んだ黒田日銀だが物価は伸び悩み、14年10月には追加緩和に追い込まれ、その後もマイナス金利政策や長短金利操作など異例の緩和策を繰り出した。目標未達のまま迎えた今年4月の退任会見で、黒田氏は長引くデフレによる「賃金や物価が上がらないことを前提とした考え方や慣行が根強かった」と釈明した。

一方、日銀が国債発行残高の5割超を保有するに至った国債大量購入には、政府の借金を支える事実上の「財政ファイナンス」との批判が強い。日銀が異例の低金利に抑えつける中、利上げを進める米欧との金利差の拡大で円安も進行。ウクライナ危機後の原材料価格高騰を増幅させ、国民生活に重くのしかかった。

金融政策のかじ取りを引き継いだ植田和男総裁は7月27、28両日の会合で、債券市場の金利形成をゆがめるなど副作用の目立った長短金利操作の運用柔軟化を決定。市場の混乱を避けながら、大規模緩和の出口を目指す難路が待ち受けている。

【時事通信社】 〔写真説明〕就任後初の金融政策決定会合後、記者会見で質問に答える日本銀行の黒田東彦総裁(肩書は当時)=2013年4月、日銀本店

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