- 2023/08/01 掲載
日本、輸出規制の動向注視=中国の半導体材料、調達先見直しも
中国政府が8月1日から半導体の材料に使われるレアメタル(希少金属)のうち、ガリウム、ゲルマニウムの関連品目の輸出を許可制にすることを受け、関連する素材や半導体メーカーが情報収集を急いでいる。各社は「一部在庫は確保している」(ローム)ことなどから影響は限定的とみられる。ただ、長期化した場合は調達先の見直しが必要になる懸念もあり、先行きを注視している。
中国は世界のガリウム生産量の約9割、ゲルマニウムの約7割を占め、日本はガリウムの多くを中国から調達している。許可制の対象となるガリウムのうち、酸化ガリウムは電気自動車(EV)の電力制御に欠かせないパワー半導体に、窒化ガリウムは次世代半導体の基板に使われ、ともに今後の需要拡大が見込まれる。
窒化ガリウム基板を製造する三菱ケミカルは、今回中国がガリウムを輸出管理の対象に加えた影響について「ガリウムはメイン商材ではなく、これから用途を広げる段階だ」とし、現時点では確保している在庫で対応可能という。ただ、措置が長引くと「供給不安がある」と漏らす。
日本は7月23日から、米国やオランダと歩調を合わせる形で、先端半導体の製造装置などを輸出管理の対象に追加した。経済安全保障問題に詳しい明星大学の細川昌彦教授は、中国政府の主な狙いについて「(日米欧による)輸出規制強化に対して揺さぶりをかけるためだ」と指摘する。
ただ、ガリウムはアルミニウムの精錬の副産物として得られ、供給源が世界中にあるため、中長期的に見れば「ビジネスへの影響はほとんどない」(細川氏)という。実際、ガリウムを使った製品を手掛ける三菱電機の幹部は「調達先の見直しを含め、対応策を並行して検討する」と述べており、今回の措置で脱中国依存が進む可能性もある。
【時事通信社】 〔写真説明〕中国・江蘇省の港に積まれた輸送用コンテナ(AFP時事、資料写真)
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