- 2023/10/14 掲載
核燃料搬出、綱渡りの計画=貯蔵容量の上限迫る―関電
原発から出る使用済み核燃料の県外搬出計画を巡り、福井県から「お墨付き」を得た関西電力。もっとも燃料プールの貯蔵容量が上限に近づく中、複数の対策を並行して進める綱渡りの計画だ。ほころびが生じれば、県内が最終処分地になりかねないとの懸念も広がる。
原発再稼働を進める関電では、使用済み核燃料がたまり続けてきた。4基が稼働する高浜原発(福井県高浜町)では、あと約4年でプールが満杯になる計算だ。
今回の計画は、青森県六ケ所村の再処理工場の2024年度上期完成が大前提。関電は26年度の搬出開始を見込むものの、再処理工場の完成予定は長年延期を繰り返しており、関電の想定通りには貯蔵量の増加を抑制できない可能性がある。また、使用済み核燃料のフランス搬出を巡っても、確約されているのは現時点での貯蔵している量の5%にすぎない。
使用済み核燃料を再処理するまでの間に一時保管する中間貯蔵施設の確保も難題だ。関電は30年ごろに操業開始させるとの目標を設定。中国電力と共同で山口県上関町での立地可能性を探っているが、まだ調査の初期段階で先行きは不透明だ。
関電は、水や電気を使わずに陸上に使用済み核燃料を保管できる「乾式貯蔵施設」の新設検討も打ち出した。その目的については貯蔵容量の増量ではなく、あくまで中間貯蔵施設への搬出を円滑に進めるための準備だと強調する。ただ、計画が行き詰まり、福井県外への搬出が実現しなかった場合、「(乾式貯蔵施設が)事実上の最終処分地になるのでは」(県議会議員)との新たな懸念も生まれている。
森望社長は13日、最終処分地に関するこうした懸念について、「決してそのようなことが起こらないようにする」と明言した。
【時事通信社】
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