- 2025/05/02 掲載
発送停止や値上げ、中国小口輸入免税撤廃で対応に追われる小売業者
<注文受付の停止、値上げ>
米国には800ドル以下の小口の輸入品の税金を免除する「デミニミス・ルール」がある。トランプ政権は先月、中国・香港からの小口輸入品について、この免税措置を5月2日に廃止すると決定した。免税廃止によって、関税はゼロ%から145%に跳ね上がる。
コスメなどのビューティーアイテムを扱う英スペースNKは、米国からのネット注文の受付と発送を一時停止したと4月30日に明らかにした。「顧客の注文に誤ったコストや追加コストが適用されるのを避けるため」と説明した。
中国製ランジェリーを販売するカナダのアンダースタンスも、関税の影響で米国への発送を中止するとインスタグラムで顧客に通知した。状況が明らかになれば再開するとしている。
米国ビジネスを継続しようとする企業は、値上げを余儀なくされている。
英アパレル小売オー・ポリーは、米国価格を他の市場より20%高くしたが、関税引き上げによって一段の値上げを迫られる可能性があると同社幹部は話した。
<中国系ネット通販に逆風>
小口輸入品の免税を追い風に米国市場に浸透してきた中国発インターネット通販の「Temu(テム)」と「SHEIN(シーイン)」には逆風が吹いている。両社は、米国でデジタル広告費を大幅に削減していることが業界データで判明している。
シーインは1日、インスタグラムのアカウントで「一部商品は以前と価格が異なるかもしれませんが、大部分はこれまで通りお手頃価格です」と説明した。
テムのウェブサイトでは、米国の倉庫にある商品を「Local(現地)」と表示し、輸入手数料がかからないと説明を付けている。ただ、この在庫もいずれ尽きる。国際貨物輸送大手の米ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)のキャロル・トメ最高経営責任者(CEO)は、同社の中小企業顧客の多くは商品の100%を中国から仕入れていると述べた。
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